紅月の神話 EP4 黒い悪魔

与那覇瑛都

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第三章 抗う者達

第四話 不器用と言えば何でも許されると思うなよ! 上

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 ガレックの姿が見えないくらい離れたがリッカは使徒であるためガレックと見えない糸で繋がっており魔力を使い戦ってるのを察したが、ガレックの状態が通常で念話もしてこなかったためリッカは電話である人物に連絡をする。
 五回コールしてでないのはいつも通り十回コールしても出ず十三回コールしてそろそろ切ろうかなと考えた時ようやく目的の人物が電話に出た。
『何の用ですか? リッカ』
「お疲れ様です。レティシア様」
 電話の相手は時と叡智の女神、アルバ帝国の大軍師レティシア・ミョゼ・クロノスであった。
『挨拶はいいので用件を言いなさい』
 少し不機嫌な声からリッカは相手が寝てたか新しい本を読んでる途中だったかと思いつつ報告をする。
「ガレックが近いうち魔神と戦います」
『・・・それは避けられないのですか? 兄さんは何と?』
「レイジ様はもともと近いうちに最上位種と戦わせるつもりだったらしく今回何もしなかった事から、この戦いに賛同かと」
『成長させる手っ取り早い方法は戦わせる事、しかし相手によります。魔神はどのタイプですか?』
「狼型の魔神が一体、それと未確認ですが魔人とおもしき人物が一人」
『魔人がいるのですか!?』
「まだ未確認ですがおそらく」
 魔人は時が経つ事に己の欲望に忠実になり壊れ暴走し手が付けられなくなっていくため世界中で特級討伐対象である。
 見付けしだい討伐しなければいけない魔人だが唯一討伐せず生かす方法は他の最上位種が魔人を使徒にし配下にした場合のみである。
『その魔人にはって、未確認って言ってましたね。仕方ありません。レベッカを向かわせます』
「・・・こちらには妹の末裔が二人います」
『・・・レベッカはなしですね』
 愛と情熱の女神レベッカ・フレア・エロース、本人は日本人のせいでエロスと言われるのが嫌いだが行動はエロスであり建国皇の妻の一人がガレックにアプローチするのは拙い、ガレックの正体がばれる可能性があり不倫を噂されれば皇家としてかなり拙い。
『他に暇そうな人いましたかね・・・ああガレシアがいましたね』
「ガレシア様を送るのですか?」
『そろそろあの子に外の国を見せるのもいいでしょう。少し待ってなさい。そこにガレシアを送還します』
 そう言ってレティシアは電話を切った。

 アルバ帝国皇城スカーレットはオベロン大陸の中心にあり妖精王ジークハルトが築城し建国皇ガレイクが増改築した城である。
 自室で本を読んでいたレティシアはガレシアに念話する。
『ガレシア、部屋に来なさい』
『えぇぇ、かったるい。行かないとダメ?』
『どうせゲームして遊んでるんでしょ』
『いやしてないし。今ケーキ作ってるの』
 城内にある厨房の片隅でレティシアと同じ銀髪紫眼の少女がいた。
 彼女がレティシアの念話の相手ガレシアである。
 ガレシアは小柄なレティシアとは違い一般女性と同じくらいの背の高さで胸も大きすぎず小さすぎない程よい大きさをしている。
 彼女の傍には燃えるような紅い眼と髪をした一般女性より少し背が高く見事なスタイルをした胸が大きい美女がいた。
『傍に誰かいますか?』
『お姉ちゃんだけ』
 ガレシアには沢山の兄弟姉妹がいるが現在姉は目の前にいる紅い眼と髪をした美女だけである。
『珍しいですね。あの子が料理なんて・・・大丈夫なんですか?』
『さぁ? って「お姉ちゃんミルク入れすぎ! って、もうビチョビチョだし、うわぁぁ、どうしよう」』
『大変そうですね。料理は失敗でいいですか?』
『っえ? ああ、うん。作り直すのに時間掛かるね』
『そうですか』
 そう言ってレティシアはガレシアと傍にいるガレシアの姉に念話をする。
『レイナ。ガレシアを暫く借りますよ。ケーキの方は他の人から習いなさい』
 レイナと言われた人物が尋ねる。
『何かあったの?』
『ええ。ですが詳しくは言えません』
『言えないって事は御父様がらみ?』
『はい』
 二人はガレイクの娘、レイナはレベッカを母に持ちガレシアはレティシアを母に持つ腹違いの姉妹である。
『お父さんか。写真で見た事はあるけど会った事ないんだよね』
 ガレシアはまだ一度も父親に会った事がない。ガレシアが生まれる前にガレイクが捕らわれ現在生きている兄弟姉妹の中で唯一ガレイクに会った事がない。当然の事ながらガレシアの弟妹達もガレイクに会った事はなく全員が既に天寿を全うしている。
『ガレシア、貴方は私と同じ軍師。戦時中以外は全ての役職を免除され相談役という名のぶっちゃけ便利屋です。現在も戦時中ですがカミーク(アルバ帝国現皇帝カミレイク)はまだ私達を必要とはしていません。つまり私と貴女は現在仕事がありません。かといって私がこの国を空けるのはかなり拙いです。そこで名前だけが広まり顔までは知られておらず皇族って事以外名声がない貴女に、私の代わりにお父さんの所に行って貰いたいのですがいいですか?』
『名声がないのは役職がないからだよ! カイ兄(カミレイク)は皇帝だし、お姉ちゃんは皇太子だし、悪名ならお兄ちゃん(同腹の兄カシウス)ダントツだし、シャム(シャルロットを母に持つ腹違いの同い年をした兄シャムロック)なんか何考えてるか分かんないし!』
『まあ確かにシャムは何考えているか分かりませんね』
『父親と母親のダメな血を一番濃く継いでるのはあの子よね。オタクとして。そういえばこの前シンフォニアに行った時、御父様に会ったって言ってたわね』
『えっ!? 何それ聞いてない!?』
『あの子いつの間に行ったのですか?』
『何ヶ月か前にリンネがどうとか聖地巡礼とかカードとか言ってシンフォニアに行ったわね』
『聖地巡礼って・・・』
『シンフォニアに聖地なんてなかったわよね?』
 聖地巡礼の意味を正しく理解しているレティシアとは違い姉妹はよく分かってなかったがレイナの方はオタク的な何かだろうと考えていた。
 レティシアはコホンッと咳払いをして言う。
『話がだいぶ逸れましたが元に戻してガレシア、今から私の代わりにお父さんの下へ行きお父さんを手伝いなさい』
『いいよ。私もお父さんに会ってみたかったし』
『一つ注意します。表に出ているガレックは全ての記憶を封じられ無垢な赤ん坊から今まで成長した人格的に貴女のお父さんとは別人です。お父さんと話したいのならガレックの深層世界にいるレイジと話しなさい。まぁ詳しくは現地にいるリッカから聞きなさい』
『分かったわ』
『それじゃあレイナ。私の代わりにガレシアをリッカの下へ送還お願いします』
『ええ』
『それではガレシア、お父さんを頼みましたよ』
『うん!』
 レイナはガレシアの足下にリッカの下へと行く魔方陣をだしガレシアに言う。
「暫くお別れね。ガレシア。確か国外に行くのは初めてだったわね。いろいろ勝手が違うけど頑張ってね」
「うん。行ってきます」
「先に言っておくわ。ごめんね。行ってらっしゃい」
「は?」
 謝る理由を尋ねる前にガレシアはリッカの下へと送還された。
 ガレシアがいた場所には彼女が身に付けていた全ての物があった。
「ああ、やっぱり失敗した。転移って苦手なのよね」
 そう呟いてレイナはガレシアの物を片付け始めた。
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