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得体の知れないゲーム
しおりを挟む『集合日時、20XX年、.12/13~12/15』
見渡す先、真っ直ぐ、真っ直ぐ、真っ直ぐ。
…そんな道があと何歩続くんだろうか。
俺は、あるゲームに参加しようと思い立ち、見知らぬ村へ続くひたすら真っ直ぐな道をなにも考えずただ歩いていた。まわりにはポツポツと人がいる。見た限り8.9人くらい。きっとこのゲームは知られていない。俺みたいに、毎日ネットに耽るようなヤツにしか見つからないんだろうな、そのサイト。妥当な人数だ。
俺は一応学校は行ってる。成績はそこそこ優秀、誰にでも優しく運動神経も良い、先生からは子供のように可愛がられる。俺は外面は最高だと思ってる。勿論恋人もいた。可愛がっていたけど、やりたいことがあると言われたのでついこの間身を引いた。俺と同じでゲームが好きだが、将来の夢とかが見つかったんだろうな…あいつには自分を支えてくれるもっといい男がいるよ。…正直まだ好きだけど。
今回俺が応募したゲームは他でもない、ナイトフラッグというゲーム。内容はよく知らない。年齢制限も無く、男女問わないようなフリーなゲーム。1つの条件を除いては。
『何があっても後悔しない人』
それが参加する条件。後悔したら痛い目見るらしい。
…ところで。
時計を見ると19:30の文字。もう既に2時間は歩いている。何かがおかしい。何か[違和感]はないだろうか。
例えば30歩ごとに現れる大きい看板。俺より少し背の高いそれは、あと三十歩で次の指示。と書いてある。
次の指示、とは。30歩先の看板に、次あなたがどう動けばいいか書いてあると言うことだろう。
単純に考えればそうだ。だかそれが永遠に繰り返されるなど、不毛である。これがもし、ゲーム運営側の[仕掛け]だとしたら…。
「そう言うことね」
大きい看板に気を取られて、一切足元を見ていなかった。看板は、〈さっき俺が歩いた30歩〉からあと一歩歩いた場所にある。そこをスタートで考えられていたんだろう。
足元には小さな蟻がいた。蟻は左に向かって歩いている。…そっちが答えだ。ごく単純な問題に2時間もかけるとは。俺も馬鹿になったもんだ。
左に進むと、寂れた村が現れた。人がいなさそうな村には、昔栄えていたであろうボロボロだが広い廃校が見えた。
村の入り口の前に誰か立っている。マジシャンのような服を着てて、見た感じイケメンな男だ。くっそイケメンだな。誰だ?
「おっみっごっとぉぉ!!オーディション合格ですぅ♪かかった時間二時間…ですねぇ、短いですよぉ短い!なかなかなもんですぅ」
クセの強い喋り方だな、おい。運営か…?
「短いのか?二時間もかかったけど」
「短いですよぉ。お兄さん、集合日時が12/13~12/15なのは見ましたよねぇ?」
見た…が、あぁそう言うことね。あの謎に気づかなかった人向けか。
「そーゆーこと。3日間なら待ってやるよってことね」
「うふふふふふ、さてはお兄さん…頭良いでしょぉー」
「学校ではな」
「そう言う方々が、このゲームに参加するんですよぉ」
「ほお」
「お兄さん…名前は?」
名前、か。
「本条巧だ」
「そうなんっですかぁ!良い名前ですねぇ。さて本条さん…実はですね、このゲームにはプレイヤーネームが必要なんですよぉ。本名では呼び会わないんですぅ…なので、貴方のプレイヤーネームを教えてくださいませんかぁねぇ?」
「あー。それって単純でも良いのか?」
「勿論でございますよぉ」
「じゃあローマ字、全部大文字でTAKUMIだ。それがいい」
「かっこいいですねぇ、では登録しておきますねぇ♪」
「さんきゅ」
思ったより友好的な運営で助かった。正直この運営はどんなものか分かったものじゃない。
「さてさてさてぇっ!最初のゲームはですねぇ、四人組に別れて行われるチィィィィム戦なんですよぉ。あ、な、た、は…001番が開いてますねぇ、見込みがあるのでそこに入れちゃいましょぉ♪」
「一番最初かよ」
「このチームは100組あるんですよぉ♪」
「100?」
「このナイトフラッグは、400名様だけが集まるんですっ!全国で500名様しかサイトに気付かないように、MASTERが決めているんですよぉ」
「MASTER?」
「このゲームのボスでぇす♪」
「なんで400人なのに500人気付くようにするんだ?」
「オーディションで100人落ちるんですよぉ」
オーディションで100人落ちるんですよぉ。へええ。
…このゲーム危ない気がする。なんだ、この異様な空気。この村自体入りたくもねぇ。
「001のメンバーは揃ってますのでぇ早く向かってくださぁい!チーム用の服もありますのでぇっ」
「どこを、どう行けばいい」
「あそこの学校に入るとトロッコがありますぅ、そこにパネルがありますのでぇ、001と打ち込んでくださぁい」
はぁーい♪
…喋り方直せよ。
「でわでわぁ、貴方に女神が笑いますよーぉに♪」
女神?
変な表現だな。
学校に入ると、景観からまるで雲のように浮いている洒落たトロッコがあった。廃校は予想通りボロボロだ。
トロッコに乗り、001と押す。
『カシコマリマシタァ♪』
さっきの運営と同じように喋るトロッコ。AIなのは褒めてやるが絶対モデルあの救いようの無いイケメンだろ…。
進み出すトロッコは、別棟へと進んで行った。別棟の一番奥。しかしそれは明らかに綺麗で、あとから付け足されたのが目に見えてわかる。大方、運営がこの村を買って、改造してるんだろうな。
001の部屋についた。開ける。もう3人集まっていて、俺が最後の一人だった。視界の片隅でいちゃつくカップル。
「にゃー?」
「キモいからやめて」
撤回。彼氏の方だけだ。あと一人はー…。
「たくみ?」
セミロングの綺麗な髪、地毛が茶色い彼女。
「…菜々」
元カノだった。
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