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第二章 王国騎士団入団試験と3人の女子
2-12 試験2日目 その7 相談
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カレンの話を聞いてると、向こうで紅茶を飲んでるシャーロットが言った。
「実は、その時カレンに凄いことが起きましたの。カレンは気絶しているにも関わらず、治療魔法を使い続けましたの。カレンの手を怪我をした所に当てると、みるみる治っていったそうよ。かなりの人がそのお陰で助かったみたい。その時のカレンを、村の人たちは【眠れる聖女】と呼んでいたわ。」
その話、冒険者から聞いたことがある。崩壊した村に聖女が現れたと。作り話では無かったのか。でも・・・
「分かっています。こんなでは、実際の戦闘では役に立たないことを。その出来事の後、私は数ヶ月家に引き込んでいました。私の両親はとても心配し、地震のあと出張で訪問した、ヤポンからお土産を買って帰って来ました。私はお土産の本や絵をとても感動し、その中でも忍者に憧れて、真似をするようになりました。忍者のお陰で元気になりました。」
一人の少女を救った忍者よ、グッジョブ!
「ですから、私頑張ります!」
カレンは胸の前に両手を持っていき、握りこぶしを作った。何て頑張り屋さんだ。
僕とカレンがしんみりとしている中で、シャーロットはその雰囲気などまったく気にせず話しかけてきた。
「だいぶ暗くなってきたわね。夜の夕食と睡眠の準備をしない?」
「・・・そうだね。暗くなると大変だからね。」
僕はさっそく支給された、乾パンと簡易スープを用意しようと、小さなカバンを探していたところ、シャーロットは僕が運んできた大きいカバンから、下着とパジャマを取り出して、テントの中に広げた。
「あのー、何をしているのでしょうか?」
「何って、寝る前時にはお着替えが必要でしょ?って覗いたらタダじゃおかないからね。」
「エリックさん、水を汲んで来てくれませんか?私たち体を拭きますので。」
こいつらー、完全になめてるな!後でお仕置きしてやる!
僕は怒りと言うか呆れを隠し、笑顔で少し離れた所にある川から水を大量に持ってきた。水を入れる折り畳み容器もちゃっかりカバンに入っていた。
僕は薪を集め、火を焚こうと準備していると、クリスティーナが魔法で簡単に火を着けた。魔法士はこういう時にも便利だなぁ。
僕たちは薪の前で食事を済ませた。相変わらず食事にいちゃもんつけていた。その後女子たちは暖めたお湯で髪を洗い、テントの中にこもって暖めたタオルでお互いの身体を拭いているようだった。そしてパジャマに着替えて出てきた。おお、3人ともパジャマ姿も可愛い。
「そうそう、ちゃんと魔除けの薬撒いておいてね。あと、外で寝てね。」
「エリックさん、お願いします。」
テントの扉を閉められた。まあ、一緒に寝れるとは思っていなかったが、何だか悲しい。
----------------------------------------------------------------------------------------------
今は深夜。さっきまでテントの中で騒いでいた女子たちがおとなしくなった後、僕とパトリシアは対策会議を始めた。パトリシアはずっと僕の陰にいたので、今日の出来事はすべて聞いていた。
「パトリシア、アドバイス下さい。」
「まずシャーロット殿の件ですが、状況からすると【戦(いくさ)酔い】かと思われます。」
「戦酔い?!
「この症状は、戦闘中のみ【酔う】状態になります。馬車に乗ると、気分が悪くなる方がたまにいらっしゃいますが、その状態に似ています。」
「分かる。僕も小さいころ、初めて馬車に乗った時はそうだった。」
「一般的には戦闘のような緊張する場面では、相手の動きを見ることに集中するのですが、この【戦酔い】はその集中力の影響で、身体のバランス感覚を調整している三半規管を乱してしまう症状です。」
「この症状は珍しいのか? 」
「そうですね、昔から少なからず有りました。戦闘に向いていない人の中にはそのような方がいたと思います。」
「僕は色んな書物を読んでいたのだか、そのような病気については書かれてなかったぞ。良く知っているな?」
「趣味が人間観察なもので。」
その趣味、何だかちょっと怖い。
「そして、彼女の場合は、極端にその症状が出ており、目の前の相手にすら距離感を失うほど症状が強いのではないかと思われます。何せ戦闘中の、本気モードの時のみですので、通常の生活や練習では現れません。よって周りはともかく、本人も気づいていないと思われます。」
「なるほど、だから、日常ではとてもよく見えているというわけか。」
「先ほど、目が回るような気がすると言っていましたが、先ほどの戦闘からすると、実際はかなりの【酔い】状態だと思われます。ただし、シャーロット殿は強い精神力を持っているため、【気がする】程度にしか思っていないのではないかと。」
「なるほど、彼女は【戦酔い】の症状がでているが、強い精神力でその症状に自覚がないということか。」
「【戦酔い】の知識を彼女や周りの方々、お医者様などが持っていないのであれば、気づけないのでしょう。しかしここまで症状が出ているということは、裏返せばそれだけ本気モードは集中しているという事でもあります。本当に強くなりたいのですね。」
シャーロットは適当女王様キャラに見えるのだが、真面目なんだな。
「次はクリスティーナ殿です。彼女は【マジックドライアイ】ですね。」
「また、初めて聞いた。」
「この症状は、魔法を見ていると眼が極端に乾燥し、眼を開けてられない状況になります。一般的には、たくさんの魔法を見ていると、誰でも起きるもなのですが、瞬きすることで治まるので問題にはなりません。ただ彼女はそれが極端に出ていており、耐えられず眼をそらしてしまうのです。瞬きでもすればよいのですが、彼女はとても集中しているため、それが出来ないのでしょう。」
「だから、顔をそらして方向に曲がるのか。」
「そこが不思議なのです。普通は顔をそらしても、魔法は曲がりません。そもそも、魔法を放出した後に操作なんて出来ませんので。」
まだまだ謎が残りそうだ。
「最後にカレン殿ですが、お話のとおり過去のトラウマが原因です。」
「これはなかなか手強いな。心の問題だからな。」
「そうですね。こればかりはやる気だけでは・・・。しかし、気絶した状態で治療魔法を使い続けるとは、聞いたことがありません。たまに、気がついたら敵を全滅させていたという戦士の話を聞くことが有りますが、同じように意識がなくても治療したいという気持ちだけで出来るものなのでしょうか?」
「僕も分からない。」
とにかく、パトリシアのアドバイスで、それなりに情報は集まった。
「実は、その時カレンに凄いことが起きましたの。カレンは気絶しているにも関わらず、治療魔法を使い続けましたの。カレンの手を怪我をした所に当てると、みるみる治っていったそうよ。かなりの人がそのお陰で助かったみたい。その時のカレンを、村の人たちは【眠れる聖女】と呼んでいたわ。」
その話、冒険者から聞いたことがある。崩壊した村に聖女が現れたと。作り話では無かったのか。でも・・・
「分かっています。こんなでは、実際の戦闘では役に立たないことを。その出来事の後、私は数ヶ月家に引き込んでいました。私の両親はとても心配し、地震のあと出張で訪問した、ヤポンからお土産を買って帰って来ました。私はお土産の本や絵をとても感動し、その中でも忍者に憧れて、真似をするようになりました。忍者のお陰で元気になりました。」
一人の少女を救った忍者よ、グッジョブ!
「ですから、私頑張ります!」
カレンは胸の前に両手を持っていき、握りこぶしを作った。何て頑張り屋さんだ。
僕とカレンがしんみりとしている中で、シャーロットはその雰囲気などまったく気にせず話しかけてきた。
「だいぶ暗くなってきたわね。夜の夕食と睡眠の準備をしない?」
「・・・そうだね。暗くなると大変だからね。」
僕はさっそく支給された、乾パンと簡易スープを用意しようと、小さなカバンを探していたところ、シャーロットは僕が運んできた大きいカバンから、下着とパジャマを取り出して、テントの中に広げた。
「あのー、何をしているのでしょうか?」
「何って、寝る前時にはお着替えが必要でしょ?って覗いたらタダじゃおかないからね。」
「エリックさん、水を汲んで来てくれませんか?私たち体を拭きますので。」
こいつらー、完全になめてるな!後でお仕置きしてやる!
僕は怒りと言うか呆れを隠し、笑顔で少し離れた所にある川から水を大量に持ってきた。水を入れる折り畳み容器もちゃっかりカバンに入っていた。
僕は薪を集め、火を焚こうと準備していると、クリスティーナが魔法で簡単に火を着けた。魔法士はこういう時にも便利だなぁ。
僕たちは薪の前で食事を済ませた。相変わらず食事にいちゃもんつけていた。その後女子たちは暖めたお湯で髪を洗い、テントの中にこもって暖めたタオルでお互いの身体を拭いているようだった。そしてパジャマに着替えて出てきた。おお、3人ともパジャマ姿も可愛い。
「そうそう、ちゃんと魔除けの薬撒いておいてね。あと、外で寝てね。」
「エリックさん、お願いします。」
テントの扉を閉められた。まあ、一緒に寝れるとは思っていなかったが、何だか悲しい。
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今は深夜。さっきまでテントの中で騒いでいた女子たちがおとなしくなった後、僕とパトリシアは対策会議を始めた。パトリシアはずっと僕の陰にいたので、今日の出来事はすべて聞いていた。
「パトリシア、アドバイス下さい。」
「まずシャーロット殿の件ですが、状況からすると【戦(いくさ)酔い】かと思われます。」
「戦酔い?!
「この症状は、戦闘中のみ【酔う】状態になります。馬車に乗ると、気分が悪くなる方がたまにいらっしゃいますが、その状態に似ています。」
「分かる。僕も小さいころ、初めて馬車に乗った時はそうだった。」
「一般的には戦闘のような緊張する場面では、相手の動きを見ることに集中するのですが、この【戦酔い】はその集中力の影響で、身体のバランス感覚を調整している三半規管を乱してしまう症状です。」
「この症状は珍しいのか? 」
「そうですね、昔から少なからず有りました。戦闘に向いていない人の中にはそのような方がいたと思います。」
「僕は色んな書物を読んでいたのだか、そのような病気については書かれてなかったぞ。良く知っているな?」
「趣味が人間観察なもので。」
その趣味、何だかちょっと怖い。
「そして、彼女の場合は、極端にその症状が出ており、目の前の相手にすら距離感を失うほど症状が強いのではないかと思われます。何せ戦闘中の、本気モードの時のみですので、通常の生活や練習では現れません。よって周りはともかく、本人も気づいていないと思われます。」
「なるほど、だから、日常ではとてもよく見えているというわけか。」
「先ほど、目が回るような気がすると言っていましたが、先ほどの戦闘からすると、実際はかなりの【酔い】状態だと思われます。ただし、シャーロット殿は強い精神力を持っているため、【気がする】程度にしか思っていないのではないかと。」
「なるほど、彼女は【戦酔い】の症状がでているが、強い精神力でその症状に自覚がないということか。」
「【戦酔い】の知識を彼女や周りの方々、お医者様などが持っていないのであれば、気づけないのでしょう。しかしここまで症状が出ているということは、裏返せばそれだけ本気モードは集中しているという事でもあります。本当に強くなりたいのですね。」
シャーロットは適当女王様キャラに見えるのだが、真面目なんだな。
「次はクリスティーナ殿です。彼女は【マジックドライアイ】ですね。」
「また、初めて聞いた。」
「この症状は、魔法を見ていると眼が極端に乾燥し、眼を開けてられない状況になります。一般的には、たくさんの魔法を見ていると、誰でも起きるもなのですが、瞬きすることで治まるので問題にはなりません。ただ彼女はそれが極端に出ていており、耐えられず眼をそらしてしまうのです。瞬きでもすればよいのですが、彼女はとても集中しているため、それが出来ないのでしょう。」
「だから、顔をそらして方向に曲がるのか。」
「そこが不思議なのです。普通は顔をそらしても、魔法は曲がりません。そもそも、魔法を放出した後に操作なんて出来ませんので。」
まだまだ謎が残りそうだ。
「最後にカレン殿ですが、お話のとおり過去のトラウマが原因です。」
「これはなかなか手強いな。心の問題だからな。」
「そうですね。こればかりはやる気だけでは・・・。しかし、気絶した状態で治療魔法を使い続けるとは、聞いたことがありません。たまに、気がついたら敵を全滅させていたという戦士の話を聞くことが有りますが、同じように意識がなくても治療したいという気持ちだけで出来るものなのでしょうか?」
「僕も分からない。」
とにかく、パトリシアのアドバイスで、それなりに情報は集まった。
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