ライアークエスト

かしわで

文字の大きさ
9 / 39
第三章 ウソつき勇者とダリアスの町

3-3 ウソつき勇者の現状

しおりを挟む
 僕は晴れて勇者になった。

【クエクエ】では、ある程度の職業を経験しないとなれない伝説の職業という設定なのだが、主人公だけは初めから選べる。つまり僕は【ライアー・チェンジ】の能力で、この世界の主人公になってしまったようだ。本格的に魔王を倒さなければいけないのか?

「ところで、ケントさん、勇者って職業は何が出来るの?」

「さあ、僕もよく分かりません」

「俺も知らない。伝説では魔王を倒せる唯一の職業って触れ込みだったが、実際初めて見たからよく分からないな」

【クエクエ】の設定では、勇者はマルチプレイヤーだった。なんでも出来るが、決して能力が一番ではないって感じだった。でも、魔王を倒すには最終的には誰かが勇者にならなければいけない。

「まあ、考えても無駄ね。分からないから。それより、他に用はあるの?」

「そうそう、こいつ金が無いから、クエストいろいろやらせようと思っているんだ」

「であれば、あちらの掲示板に依頼があるから、見て来たら?」

 掲示板に行き、貼ってある依頼書を見てみた。

「草むしりに、迷子のペット探し、薬草探しって、全部小銭稼ぎの仕事だな」

「最後の薬草探しは、ミランが依頼したものよ」

「え?そうだったっけ?デートの約束以外すぐに忘れちまう。そういやこの薬草昨日手に入ったから、取りやめるよ。」

「じゃあ、剥がして持ってきて」

 そんな会話を聞きながら、僕はクエストをいろいろ見てみる。確かに、小銭稼ぎのクエストがいくつもある。クエクエでは、このような小さなクエストは無かった。ずいぶんと生活に密着でリアルだな。

「お、これなんかどうだ?畑に繋がっている水路の水が最近止まって、上流に見に行ったら、モンスターが住み着いているのが分かったから、退治してくれって内容だ。15万ダイスだって」

「そうね、スーザン村の依頼よりも、ちょっとレベルが高いくらいと思うわ。」

 このクエスト、聞いたことがあるぞ。【クエクエ1〉のイベントだ。この町のクエストではなかったはずだが、内容は全く同じだ。クエスト名は、【水路の水を復活させて】だ。

「じゃあ、これにするか?」

「そうですね。このクエストにします」

「じゃあ、ミーナ、これをケントが受けるぞ」

「分かりました。こっちに持ってきてください」

 僕はクエストの紙をもって、カウンターへ行く。依頼中のハンコが押された。

「ちなみにいつやるの?一応期限は3日後までだけど」

「明日にします。いろいろと揃えないといけないので」

「そうだな。ケントは武器や防具等々、何も身に着けてない、裸同然た。裸は美女以外は勘弁だぜ!」

 僕は相変わらずジャージのままだった。これで戦うにはいくら何でも無茶だ。

「そうそう、これ渡すの忘れていたわ。あなたの【ギルドカード】よ。無くしたら再発行でお金かかるからね。ちなみに、初回はミランに免じて無料にしとくわ」

「いつも済まねえな、ミーア」

「どういたしまして。ちゃんと借りは返してもらうからね」

「おーこわ!それはそうと、俺は用事があるから行けないが、大丈夫だよな?まあ、モグリンマスターを一発で倒したんだから、心配ないか」

「ああ大丈夫だよミラン、問題ないさ」

 僕は自信があった。初期のクエストということと、いざとなれば、【ライアー・チェンジ】の能力で、ウソをホントにすれば良いと思ったからだ。

「へー、見た目頼りないけどやるわね。モグリンマスターを一発なんて、なかなかのものよ」

 モグリンマスターは洞窟崩壊で倒したのだが、いつの間にか一発で倒したことになっている。この間違った嘘の認識は、改めたほうが良いのだろうか?


 僕は店を出て、貰ったクエストのお金で、武器、防具を購入した。
 武器はとても一般的な【青銅の剣】で、防具は【くさりかたびら】だ。頭と足は革ので出来た物を買った。また、ゲームでは存在しなかった生活用品店で、文字通り生活用品を揃える。そして、道具屋で毒消し草を忘れずに購入した。

 ついでに、以前【シンゴ】から、アウトドアには【ロープ】は必須だとか言っていたので、腰に下げていれば邪魔にならないかなと思い、余ったお金で【ロープ】も買った。

 僕は用事があるミランと別れ、そのまま町の外に出た。自分の今の能力を確認する必要があるからだ。
 まず、ギルドカードを見てみる。書いてある言葉が分からないが、唯一レベル4であることは分かった。モグリンマスターは倒したことになっているようで、経験値が入っている。

 次に、使える魔法を自分の心に確認する。勇者になったのならば、きっとあるはず。。。。あった。【ヒール】だ。最初に勇者が覚える魔法だ。

 次は武の才能の確認。町の外にいる、最弱モンスター【赤スライム】と戦う。一撃で倒せた。

 次に【モグリン】だ。これも一撃で倒せた。

 さらに、【石カタツムリ】だ。防御力が高いモンスターだ。こいつは3回ほど攻撃して倒すことが出来た。

 よし、【クエクエ】と同じくらいの設定のようだ。自分のクエクエの知識が使える。

 因みに、ボスバージョンになったモンスターのみ、倒すとクリスタルに変わる。クリスタルはそれなりに高値で売れるので、それを街で売ってお金稼ぎも出来るが、そもそもボスバージョンはたくさん設定されていないので、お金稼ぎには効率は良くない。

 このあたりのルールも【クエクエ】と同じだ。この世界でやっていけるような気がしてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...