ライアークエスト

かしわで

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第五章 ウソつき勇者と賢者の石

5-7 賢者の石が盗まれた理由

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 アンナは平らな岩の上に立って、片手を掲げた。手にはクリスタルを持っている。太陽の光でキラキラと輝いている。

「キェー!」

 そう鳴きながら、【ギガクロウ】は両足の爪を立てて、空からアンナに襲い掛かってきた。

「これでもくらえ!」

 アンナの近くに隠れていたミランは、【閃光玉】を【ビッグクロウ】の目の前で爆発させた。閃光玉は一瞬だが、目眩ましの効果がある。登る直前に、ミランが珍しいと採っていた【光苔】で作ったのだ。

 ギガクロウはひるんだ。

「百裂脚!」

 アンナは飛び上がり、百裂脚を浴びせた。ビッグクロウは岩の上に落ちた。

「良し、ロープだ!」

 僕とミランは、それぞれ足にロープを絡ませて、ロープの逆側を岩に結びつけた。

「今度は外さないわ!」

 アンナはその間に【正拳突き】をタメていた。そして、ビッグクロウにはなった。
 ビッグクロウの身体に大きな凹みが出来た。とんでもない威力だ。

「ギャー」

 そう叫び、【ビッグクロウ】はものすごい力で羽ばたいた。ロープを引きちぎって、空に逃げて行った。

「私の出番ですね」

 ルドルクスは、得意の矢で下から何本も矢を放った。ギガクロウは嫌がって、とても高いところまで上がっていった。

「じゃあ、みなさんで奴の最後を見とどけましょう」

 そう言って僕は【タイムシフト】を発動させた。
 すると、上空にいたギガクロウの全身が連続で大爆発を起こした。

「す、すごいですね」

「これだけ離れていれば、爆発の影響は来ないな。うまく行った」

 実は、アンナが【ギガクロウ】に正拳突きをついたと同時に、ミランは大量の爆弾を羽の下に潜り込ませていたのだ。
 そして同時に、僕の【ファイアボール】を爆弾にかけ、【タイムシフト】でストップさせていたのだ。
 そして、ルドルクスの弓で高いところまで追いやり、【タイムシフト】を解除し【ファイアボール】を発動させ、その炎で爆弾に点火させて爆発させたのだ。

【クエクエ】の中では、単純に魔法を後で発生させるだけの呪文だが、この世界では、こんな使い方が出来る。ものすごく便利な魔法になった。

 燃え上がったギガクロウは、炎に包まれながら下に落ちてきた。当初鳴き声が聞こえていたが、徐々に小さくなっていった。
 そして、僕ら3人のレベルが上がった。

「倒しましたね」

「火葬は・・・・済んだようだ」

 やがて炎は消えていった。同時にギガクロウは消滅し、【賢者の石】が残った。

 上空ではカラスがくるくると回っている。まさか、【賢者の石】を狙っているのでは?と思い、そのカラスを見上げると、一瞬そのカラスが光ったように見えたが、すぐに消えた。まあいいか。

「やっと終わりましたね。お疲れさまでした」

「私たちも、新しい連携プレイを完成させたから、チームとして成長したって感じかしら」

「あとは晩飯のための村人の宝石を見つけるか。どこに隠してやがる?ぜんぜん見当たらないが」

 そう言って僕たちが周りを見渡すと、突然岩の影から突然人が現れた。そして落ちていた【賢者の石】に向かって、ハンマーを振り下ろした。

「こんなもの!!」

 それは、ルドルクスの妻、レンツィアだった!

【賢者の石】は真っ二つに割れた。先ほどまで戦っていた4人は、何が起きたか分からない状況だった。ただ、賢者の石は破壊されてしまった。壊れた賢者の石は使い物にならない。

 ルドルクスは、ショックと驚きで震えながら言った。

「なぜ?なぜなんだレンツィア!」

「あなたが悪いのよ!」

 涙を流しながら、レンツィアは叫んだ。

------------------------------------------------------------------------------

「まあ落ち着いて、本当のことを話してもらってもいいかしら?」

 アンナは優しくレンツィアに語り掛けた。

「私はルドルクスをとても愛しています。ルドルクスはとても優しく、私のことをとても愛していていることも分かりました。そして結婚まで出来て、本当に本当に幸せです。でも、ルドルクスは、結婚祝いに【賢者の石】をお父様から譲り受けてから変わりました。毎日毎日【賢者の石】のことばかり。最初はいずれ飽きるかと思い、気にしていませんでしたが、全くそんなことは無く、私のことなどほったらかしで・・・・だから、この【賢者の石】さえ無くなれば、きっとあの頃の、私のことを愛してくれるルドルクスに戻ってくれると思って」

「あなたが、賢者の石をモンスターに?」

「いいえ、私は盗もうと思ったのですが、やっぱり怖くなって、箱を開けたままにしていたのです。すると、夕方にその部屋から音がして・・・・そこからは今朝話した内容と同じです」

「そういうことなんですね。で、ルドルクスさん、どうするのですか?」

 アンナの顔は優しそうに見えるが、明らかに怒っている。まあ、アンナの気持ちはわからんでもない。

「ごめんよ、レンツィア。僕が悪かった。目が覚めたよ。僕はあの時のように君を一番大切にするよ。賢者の石を壊してくれてありがとう」

「とりあえず、円満解決って感じだな。賢者の石が壊れたのは残念だが、愛に勝る宝石など無いからな」

「ミランもたまにはいいこと言うわね」

 僕はがっかりしながらも、一組の夫婦が救われたと思えば・・・・と考えることにしようと、何気に割れた【賢者の石】を手に取り、そしてその石を何げに見た。

 当然だか、透明な石が割れた後がある。その瞬間、頭の中に大きな衝撃が走った。

「ちょっと待て、おかしいぞ!」
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