ライアークエスト

かしわで

文字の大きさ
32 / 39
第六章 ウソつき勇者と王宮の姫

6-8 勇者の覚悟と救出作戦

しおりを挟む
 ケントが勇者である発言で、周りの人たちは驚いている。

「先ほど、ケント殿のギルドカードを見せていただいた。その時、確かに【職業勇者』と記載されていた。ギルドカードは正確にその職業を記載する。つまり、ケント殿が勇者であることは間違いない。そして・・・・」

「そして?」

「今、ケント殿はその【勇者の剣】を軽々と片手で持っておられる。実はこの剣は昔からの言い伝えで、勇者以外が持つと、とてつもない重量になり、戦闘としては全く扱えないものなのじゃ」

「ケントは簡単に持っているぜ?」

「それこそ、ケント殿が勇者であるもう一つの証拠じゃ」

 全員が納得したようだ。

「そして、ケント殿にこの呪われた【勇者の剣】を持たせた理由はもう一つ」

「本物の勇者が、勇者の剣を触れば、呪いが解けるかも知れないってとか?」

「ミラン殿その通りじゃ。しかし、今だ呪いは解けておらん。呪いを解くには別の方法が必要のようじゃ。だが、我々はその方法は知らない・・・・」

 ジルの顔が少しがっかりしたように見えた。

「リチャード王、この剣、今回の作戦に持って行ってもよろしいでしょうか?」

「そうですな、ここに有っても誰も使えない・・・・本当の勇者である、ケント殿が使うべきものだと考えます。どうぞお持ちください」

「ケント、もしかして、人は切れないが、魔人は切れるかもって考えか?」

「いや、魔人も切れないだろう。ただ、なんとなく持っていたほうがよさそうだと思ったんだ」

「ケントのカンは当たるからな。お前に任せるぜ。それはそうと、魔人にダメージを与える武器はどうする?」

「それなのですが、王宮騎士団には、最も安価な聖材料である、白銀のメッキを施した件やナイフがございます。それを使用しましょう」

「お、いいね。俺はそれを借りるとしよう。アンナはどうする?このおてんば娘は武闘家だから、武器は持てないぜ?」

「あらミランさん、冗談がお好きなようで・・・・」

 そう言って、ミランの足を踏んだ。ミランはうっすらと涙を浮かべた。

「アンナ殿はやはり武闘家でしたか・・・・その美しさに見とれておりました。大変失礼いたしました」

「いいえ、私は気にしていませんわ。それよりも、私の武器は基本拳と蹴りですので、どうすればよいか教えてください。」

「アンナ殿、その身に着けているグローブを見せていただけますか?」

 アンナはグローブを外してリカルドに渡した。

「このグローブ、確かに拳の部分に金属のナックルが取り付いていますね。このグローブ、6時間ほどお借りできますか?中のナックル部分に白銀のメッキを騎士団で施します」

「本当ですか?それならば、このブーツもお願いします」

 アンナは履いてるブーツを脱いだ。スラっとした、白く美しい足が見えた。ミラン以外の全員が息をのんだ。

 その足に見とれていたリカルドは、気を取り戻し口を開いた。

「このブーツの先端とかかと部に金属がはいいているのですね。分かりました。こちらもメッキいたしましょう。」

「よろしくお願いいたします。その間は裸足だけど・・・・まあいいわ」

 全員が、ずっとそのままでも良いと思った。

「え~では、準備等含め、明日の朝9時発でレイアこと、マリア姫を救出に向かいましょう。参加者は・・・・」

「俺とケントとアンナはもちろん参加だ」

「わし、ジルも参加しよう」

「私、リカルドと、優秀な騎士団を3人連れて行きます」

「皆、すまない。私の娘を救出してほしい。」

 リチャード王は全員に頭を下げた。我々全員片膝をついて礼を返す。

 作戦名は【ライジング・プリンセス】と決定した。【クエクエ3】のクエスト名と同じだ。

 僕たちは、作戦実行前の休息をとることにした。ミランと騎士団で保管されていたバーボンを飲みながらいろいろと思い返していた。
 今回のクエスト、いろいろなバージョンのクエクエのイベントが重なっているため、僕もどういう展開になるのか予想がつかない。気を引き締めないと。

 ちなみに、【勇者の剣】を鞘から抜いて、振り下ろしてみた。バーボンの瓶が真っ二つに割れて床に転がった。本当に物は切れるようだ。
 ただ、中に入っていたバーボンがこぼれてしまったため、僕とミランは「あ~」と言いながらこぼれたバーボンをふき取った。そのため、お酒が無くなったということで早めの睡眠に入った。


---第六章 完---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...