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悲しみのお酒
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「おはようございます!」
いつもの様に元気よく笑顔で挨拶をし、自分の席に着く。
いつもの様にパソコンを開き、仕事を始める。
いつもと何の代わりもない一時。いつもの朝。
ふと自分の名札を見る。
鈴村陽華(すずむらあすか)
それが私の名前。
母が愛を込めてつけてくれた名前。
太陽のように眩しく、華のように綺麗になるようにと意味がこもっている。
決して綺麗では無いかもしれないけど、ちゃんと心掛けている。
それにもうすぐ鈴村から"風間"に変わるのだから。
「おはよう。陽華。」
そんな時を思い出している間に噂の彼がすぐ横にいた。
「奏斗!おはよう!」
風間奏斗(かざまかなと)
私の彼。2歳年上で、私が入社してから色々と良くしてもらい、そのおかげで彼と付き合えた。2ヶ月前に彼と婚約した。もうすぐで結婚と思うと嬉しくて仕方がない。
「で、どうしたの?なんかあった?」
「いや。少し話があって。昼休憩開けといてくれない?」
「あっうん!分かった。」
そう言って彼は仕事に戻った。話ってなんだろ。もしかして会社で正式にプロポーズ?!ちょっと斬新じゃない?
なんて浮かれ気味で仕事を頑張った。
お昼になり、携帯を見てみると彼からLINEがきていた。
【屋上に着て。そこで大事な話がある】
私は急いで屋上に行くことにした。ついでにお弁当を持って、今日は奏斗の分もお弁当を作ったから。毎日パンの彼の為にサプライズで作ったのだ。
この時間帯の屋上は案外人が来ない。皆食堂か、外に食べに行くから。
そういえば、奏斗に告白されたのもお昼の屋上だったな~。
なんて考えながら屋上のドアの前に着いた。
ドアを開くとそこには既に奏斗がいた。
「お待たせ!話って何?」
そう尋ねると奏斗は俯いていた。嫌な予感がした。
昔からカンがいい私はよく祖母に褒められていた。
カンが当たるのは嬉しくて、カンは良いものだとこの歳まで思っていた。でもこのカンだけは、当たっても嬉しくなんてない。
初めて私はカンよ当たるなと心から願った。
そして、黙っていた奏斗が口を開いた。
「ごめん。陽華。実は他に好きな人が出来たんだよ。だから婚約は無かったことにして欲しい。」
当たってしまった。最悪だ。素敵な思い出の場所が一瞬で最悪な思い出の場所へと変わった。
自分のカンが何よりも憎い。
「えっ?なんで?意味が分からないんだけど。」
「だから陽華とは別れたい。ごめん。じゃ俺行くわ。」
「は?ちょっとまだ話…」
言葉を遮るようにドアが閉まり、奏斗はいなくなった。
私は状況が読めなかった。どうしてこうなったのか。
私は1人屋上のベンチに座り、お弁当を開いた。
何故だろう。お弁当の中身がぼやけて見える。食べたら味がしょっぱい。調味料入れすぎたかな。
もう1つのお弁当箱を見た途端、涙だと分かった。
「なんでなのよ…私どうしたらいいのよー!」
いつもの様に元気よく笑顔で挨拶をし、自分の席に着く。
いつもの様にパソコンを開き、仕事を始める。
いつもと何の代わりもない一時。いつもの朝。
ふと自分の名札を見る。
鈴村陽華(すずむらあすか)
それが私の名前。
母が愛を込めてつけてくれた名前。
太陽のように眩しく、華のように綺麗になるようにと意味がこもっている。
決して綺麗では無いかもしれないけど、ちゃんと心掛けている。
それにもうすぐ鈴村から"風間"に変わるのだから。
「おはよう。陽華。」
そんな時を思い出している間に噂の彼がすぐ横にいた。
「奏斗!おはよう!」
風間奏斗(かざまかなと)
私の彼。2歳年上で、私が入社してから色々と良くしてもらい、そのおかげで彼と付き合えた。2ヶ月前に彼と婚約した。もうすぐで結婚と思うと嬉しくて仕方がない。
「で、どうしたの?なんかあった?」
「いや。少し話があって。昼休憩開けといてくれない?」
「あっうん!分かった。」
そう言って彼は仕事に戻った。話ってなんだろ。もしかして会社で正式にプロポーズ?!ちょっと斬新じゃない?
なんて浮かれ気味で仕事を頑張った。
お昼になり、携帯を見てみると彼からLINEがきていた。
【屋上に着て。そこで大事な話がある】
私は急いで屋上に行くことにした。ついでにお弁当を持って、今日は奏斗の分もお弁当を作ったから。毎日パンの彼の為にサプライズで作ったのだ。
この時間帯の屋上は案外人が来ない。皆食堂か、外に食べに行くから。
そういえば、奏斗に告白されたのもお昼の屋上だったな~。
なんて考えながら屋上のドアの前に着いた。
ドアを開くとそこには既に奏斗がいた。
「お待たせ!話って何?」
そう尋ねると奏斗は俯いていた。嫌な予感がした。
昔からカンがいい私はよく祖母に褒められていた。
カンが当たるのは嬉しくて、カンは良いものだとこの歳まで思っていた。でもこのカンだけは、当たっても嬉しくなんてない。
初めて私はカンよ当たるなと心から願った。
そして、黙っていた奏斗が口を開いた。
「ごめん。陽華。実は他に好きな人が出来たんだよ。だから婚約は無かったことにして欲しい。」
当たってしまった。最悪だ。素敵な思い出の場所が一瞬で最悪な思い出の場所へと変わった。
自分のカンが何よりも憎い。
「えっ?なんで?意味が分からないんだけど。」
「だから陽華とは別れたい。ごめん。じゃ俺行くわ。」
「は?ちょっとまだ話…」
言葉を遮るようにドアが閉まり、奏斗はいなくなった。
私は状況が読めなかった。どうしてこうなったのか。
私は1人屋上のベンチに座り、お弁当を開いた。
何故だろう。お弁当の中身がぼやけて見える。食べたら味がしょっぱい。調味料入れすぎたかな。
もう1つのお弁当箱を見た途端、涙だと分かった。
「なんでなのよ…私どうしたらいいのよー!」
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