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幕間
姉妹の分かれ道
しおりを挟む私の姉は私とは違った。
姉は周りとは違った。
「ねぇるぇいり~!きれいないしがあるの!みて~!」
「わ!ほんとだぁ!りぃふぁきれいね~!」
きゃはは、あはは。
私の1番古い記憶は姉との会話だ。
この時既に私と姉には色々な差があったと思う。
「きれいだけど、おとうたまがかってくれたたまのほうがもっときれいだよ~」
「いいなぁ~!りぃふぁもらったことないよ~」
無邪気にあの頃は大人たちの前だと怒られると知っていたから2人でよく隠れながら会話してたっけ。
「みどりいろのね~きれいなたま!りぃふぁにもみせたげるね!」
「うん!みたーい!!」
何故大人のいるところで話しかけると怒られるのかよく分かっていなかった。
当時はまだ同じ年頃の子供はおらず、話し相手は麗華だけ。
姉は私とは違って、白い髪、赤い瞳を持ってたけど私には一等綺麗な物に見えていた。
優しくて楽しい時間。
私が姉に対して対等に話した最後の記憶。
「ほら!これ!きれいでしょー!」
私は無邪気にその石ころを渡したのだ。私たちにとっては単なる綺麗な石ころ。
物の価値など、この頃は全く知らない。
「わぁ!きれ~い!ほんとだね~!こっちのほうが、ひかっててきれい!」
「でしょー!りぃふぁはもってないの?」
「うん!まぁるいきれいないしころいいなぁ」
「そしたらるぇいり~があげる!」
「えー!ほんと!?るぇいり~ありがと~!!」
きらきらと光った宝石は姉の手に大事に握られた。
昔、瑞麗があげた翡翠の玉。
姉はその玉のために1度命を落としかけた。
「何故お前がそれを持っているんだ!!取ったのか!!」
「あっ……」
「なんて卑しい子なの!瑞麗の玉を取るなんて!!」
両親に玉を持っているところを見つかった姉は怒声と共に身体が吹っ飛ばされた。
「りぃ……」
空中を舞う小さな身体。
ガタンと大きな音を立てて倒れ込む姉。
私からもらったのと麗華は震えながら言っても父と母は信じなかった。
床に這い蹲って許しを乞う姉の姿に瑞麗は本当の事が言えなかった。
本当の事を言って、もし私が姉みたいになったらどうしよう。
幼心にそう思った。
やめて。
叩かないで。
それは私があげたの。
その一言がどうしても言えなかった。
私には優しい父と母が鬼みたいな化け物になって姉をいたぶる姿に自分の姿が重なった。
これに触れてはいけない。
これに優しくしてもいけない。
そういうものだ。と理解した。
その後高熱を出した姉は三日三晩苦しそうに寝てた。
誰も世話をしない様子に怖くなって、瑞麗は食事で出た食べ物をこっそり置きに行った。
皆、あの容姿が怖いと言う。
気持ち悪いと言う。
あんなに綺麗なのに。
家にいる他の大勢の方がよっぽど化け物だった。
「るぇいりぃ……?」
「りぃふぁ……だいじょうぶ?」
「……もうここにきちゃだめだよ」
姉の小さな呟きに幼かった私は傷付いた。
「なんで!?どうしてだめなの!?いしのこと、おこってるの?」
そう聞いた私に姉はこう答えた。
「ううん。りぃふぁがいるとね、るぇいりーがのろわれちゃうんだって」
「のろい?」
「うん。のろい。のろいってなんだろうね。わかんないけど、りぃふぁはるぇいりーにかなしいおかおになってほしくないから」
麗華は悲しそうな顔をして私にそう言った。
あの時私はなんて答えたっけ。
思い出せない。
一つだけ覚えているのは、私がその日以来姉を構わなくなった事だった。
◇◇◇
「因果応報とはこの事かな……」
瑞麗は牢獄から出された後、使用人部屋に連れてこられた。
処刑されるのだと思って、震えながら出された後使用人の制服を投げる様に看守から渡された。
話を聞くと、私はこれから麗華の下女として働くらしい。
今まで姉をそう扱ってきたのだろうと蔑まれた。
何も言い返せなかった。
だって事実だから。
でも何故私は殺されずに麗華の下女として生かされる事になったのだろう。
わからない。
今まですっかり忘れていた昔の記憶を今思い出すなんて。
妙に霧がかかったようだった頭もはっきりしている。
わからない。
姉と私の道はいつ違えてしまったのだろうーーーー。
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