瞳孔

Hai-ne(灰猫)

文字の大きさ
1 / 3

GW明け

 GW明けの出社。

「長すぎる連休はちょっと残酷だな?」

なんて独り言を呟きながら、ベッドを出た。

何があったわけでもなかったけれど、通り過ぎた今年のGW。

その日々を振り返れば、少しだけ寂しさを覚えた。

 いつもの電車、いつもの景色、いつもの席。

10日ぶりに帰ってきた、10日前の日常。

何故か懐かしく、少しだけ前向きな姿勢が戻ってきた(笑)

そんなタイミングで、部下の沢田君がどこか
神妙な面持ちで僕のデスクの前にやって来た。

「あの・・・灰猫さん、ちょっと良いですか?」

不安がよぎる・・・GW明けあるあるな・・・

(「僕、辞めます」とか言わないでね?)

なんて思いながら、平静を装って彼に尋ねた。

「ん!?何ですか?」

「実は・・・お願いがあって」

「お願い?」

「・・・ハイ」

「仕事のこと?それともプライベート?」

「・・・仕事のことです」

「僕に出来ることであれば・・・何でしょう?」

「僕の顧客の『粟山さん』ってご存知ですか?」

「お会いしたことはないかもしれませんが?」

「彼女が個人的にセミナーを開催するらしくて」

(「辞める」じゃないんだ~)内心、ほっとする。

「セミナー?」

「はい。それで・・・」

「それで?」

「先方の希望では可能な限りシニアの方にご参加頂きたいと・・・」

「『シニア』!?」

「はい、50代以上の方々に積極的にと(汗)」

「・・・うん」

(そうか、僕ももう『シニア』かぁ・・・)

 なんて、心の中で独り言つ。

「お付き合い頂けませんか?」

「いいですけど・・・何のセミナー!?」

「『釈迦の教えと50代からの心得』みたいな」

「何か紙粘土で作ったみたいな、ペンダントを
 買いなさいとか言われない?」

「あ、その辺は大丈夫かと・・・(汗)」

「う~ん、オシャカシャマぁ・・・!?」

「灰猫さん、言えてないです」

「早口言葉は苦手なんですよ」

「『お釈迦様』は早口言葉ではないです」

「粟山さんの会社って、貢献度高いですよね?」

「はい。僕の売上の・・・『要』です」

「ですよね?了解です。お付き合い致します」

「ありがとうございます!!」

「まぁ、『ジュリー』の頼みは断れないよね?」

「アハハ!!僕の苗字が沢田だからって 『ジュリー』とか
 呼んだりするのは灰猫さんだけですよ(笑)」

「『ジュリハラ』で訴える?」

「もしかしたら(笑)」

「マジですか?(笑)」

 僕は早速、稟議書を作成し、2人分の参加費と
当日に会場に届くように花を手配した。

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...