君に嫌われるまで死ねない

月址さも

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第一章

7.魔工製薬所

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 不思議に思って近づくと、窓の奥に人影があることに気づいた。

(まさか、あれが魔女......?)

 なんとか姿を見ようとしてその場で目をこらす。
 しかしステンドグラスになっている窓からは性別すら判別できない。
 建物に入ろうか迷っていると突然横から声が。

「あら、入らないの?」

「っ!」

 その声にハッとする。
 振り向くとそこには白いローブを着た年老いた女性が立っていた。

「もしかして、貴方は......”魔女”ですか?」

 神妙な面持ちで目の前の人に尋ねる。
 すると女性は一瞬ぽかんとした表情をしたかと思えば次の瞬間、大笑いし始めた。

「うふふっ、ふふっ......!」

「あの?」

「あ、ごめんなさいね。あまりにも真剣だったから。とりあえずうちでお茶でもいかが?」

 そう言って老婆は魔工製薬所まこうせいやくじょと書かれた建物のドアを開けた。







「――それでね、真剣な表情で貴方は魔女ですか?って言うのよ。私もうだめ、笑っちゃって」

「ふふふっ! それでマリアを魔女だって勘違いしたのね? かわいいわね、ふふっ」

「ぷっ。まあ、私たちなんかよりもマリアの方が貫禄あるものね」

「あの、もう笑わないでください......」

 そうして魔工製薬所に入った僕は後悔していた。
 後悔というか、恥をかいていた。

 結論から言うとさっきの白いローブの老婆は魔女ではなく、ただのお手伝いさんだったのだ。
 本当の魔女は中にいて、たった今僕の勘違いを笑っている彼女たちだ。

 ああ、恥ずかしい。
 なんかもうあんな真剣な雰囲気で聞いた自分を殴りたい。

「ごめんなさいね、笑っちゃって。それで? 貴方は何か用があったの? それとも魔女に会ってみたかっただけ?」

「あ、えーっと......」

 そう言われて言葉につまる。
 確かに魔女に会ってみたかったのは事実だけど、だからといってそのまま言ったら失礼になるかもしれない。

「それとも薬の依頼とかかしら?」

「そ、そうです。それをしにきたんでした」

 その瞬間、とっさにそう言ってしまった自分に焦る。身分を隠してフレンドリーに話そうと思うと、なぜだか僕はイエスマンになってしまうのだった。

「そうだったのね、じゃあ問診票をもってくるわ。マリア、お茶とお菓子を出してくれる?」

「ええ、もちろん」

 そう言うとその場にいた魔女が一斉に動き出した。

(ああ、どうしよう......)
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