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「だ、誰だ!?」
突然聞き覚えのない声が会場に響いたと思うと、その次に慌てたフットマンの声が聞こえてきた。
「ラ、ランカ帝国皇帝陛下のご入場です!」
皆の視線が一気に入り口の扉へと向かう。
私もそちらに視線を向けると、そこには二人の男性が立っていた。
一人は赤い髪の美丈夫。あの髪は間違いない。
フットマンが告げたとおり、ランカ帝国の皇帝陛下だろう。
遠くからだが、なんとなく雰囲気がハルと似ている気がする。
それともう一人。
その人は皇帝陛下の一歩後ろに立っているにもかかわらず、とても存在感を放っている。
そしてその人の髪は、輝く銀色で。
(すごく綺麗……っ!)
そんな感想を抱いた次の瞬間、銀髪の男性と目が合った。
男性と私の立つ場所はだいぶ離れている。
もしかしたら気のせいだったかもしれない。けれど心臓がとてつもない速さで脈を打っている。
二人が歩き始めると、驚き固まっていた参加者たちは我に返ったように慌ててその場から移動し、あっという間に舞台までの一本道が出来上がった。
そして頭を下げ、彼らが通り過ぎるのを静かに待つ。
「お待ちしておりました」
周囲が固唾を呑んで見守るなか、ハルは軽く頭を下げた。
「待たせたか?」
「いえ、ちょうどよかったです」
それに対し皇帝はハルに言葉を返す。
こうして並んで立つと、二人が親子だということがはっきりと分かる。
そんな二人が言葉を交わしていると、それに割って入る者がいた。
「なぜ皇帝陛下がここに!?」
「わ、儂はそんな話聞いておらんぞ!」
王太子殿下と国王だ。
突然の皇帝登場に戸惑うのは分かる。
けれどいくらこの国の王族であっても、自分たちよりも格上の存在の会話に割って入るなど不敬としかいいようがない。
しかし皇帝は気にする素振りすら見せず、なんでもないかのように答えた。
「ん?ああ、これはこれは。挨拶もせずにすまないな。なに、先ほどこちらに着いたばかりでな、ははは!」
「今日はなぜこちらに……?事前の招待状では欠席するとのお返事でしたが……」
「最初はそのつもりだったんだが、息子がせっかくだから参加して欲しいと言ってきてな。たしか家族の参加は自由だっただろう?」
「そ、それはそうですが……」
困惑する王太子殿下をよそに、まさかこんなことになっているなんてと言って、皇帝はクツクツ笑っている。
「まぁそんなことより今はこちらのご令嬢の話をしていたようだが……初めましてお嬢さん」
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