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しおりを挟む『お前が婚約者など、俺は認めない!』
婚約が決まり、初めての顔合わせの時にシェザート殿下から言われた言葉だ。シェザート殿下は、勝手に婚約者を決められたことが気に入らなかったようで、頑なに私を婚約者とは認めなかった。私だって勝手に婚約者を決められて腹立たしかったが、王太子相手に文句を言うわけにもいかず、そのまま顔合わせは終了したのだ。
しかしいくら嫌だからとこのままではいけないと思い、私はシェザート殿下に歩み寄ろうと努力した。
『シェザート殿下。よろしければ少しお茶でも……』
『ふん!お前と茶など飲みたくもない!』
『庭園の花が綺麗に咲いているそうです。一緒に見に……』
『花にもお前にも興味はない!』
いくらお互いに望んだ相手ではなかったとしても、婚約者になった以上いつかは結婚しなくてはならない。愛し愛されるような関係でなくとも、お互いに協力できる関係くらいになれればと思ったのだが、無駄な努力に終わることとなった。
シェザート殿下との関係が改善しないなか、王太子妃教育は順調に進んでいった。関係改善が難しいなら私にできることをしようと思い、懸命に学んだ。元々学ぶことが好きだった私は、教師たちに優秀だと褒められたが、その話がシェザート殿下の耳に入り、ひどく気に障ったようで私に文句を言ってきた。
『少し勉強ができるからって調子に乗るなよ』
どうやら王太子教育の進みがあまりよくないらしい。シェザート殿下は今までも少し気に入らないことがあれば教師をクビにしたり、勉強するのが嫌だからとサボっていたようだ。
国王はその度にシェザート殿下を叱るのだが王妃が庇うので、王妃に弱い国王はそれ以上は何も言えない、ということを繰り返していた。
そして結局教育は進まず、そのツケが婚約者である私に回ってくることになる。
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