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一章 異世界漂着

24話 一段落

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 処置が済み容態が回復したあと、少し進んだ先にある小さな村の宿の一室に設置されたベッドでくつろいでいた。
 レベッカは今、体を洗うと言ってシャワー室へ行っているので、部屋には自分1人だ。

 「今になって痛くなるのかよ……」 

 包帯を巻いた腕を見て呟きを呈す。矢が刺さった時は全く痛くなかったし、ここへ来る時も痛覚はこれといってなかった。だが、止血してから急に痛み始めたのだ。

 「また傷が増えたな……」

 手元のガバメントには槍で弾かれた際の新たな傷が生まれていた。パーツは欠損していない。やはり100年以上現役の拳銃は伊達じゃないな。

 「それにしても、寝れる気配がねえな……」

 森でレベッカに施した治療を忘れる事は一生ないだろう。
 荒々しい戦場で戦う兵士だというのに牛乳の如く真っ白な背中と、後ろから微かに見えた胸部の膨らみ。流石に前は覗いていないが、あれは刺激が強すぎる。

 「あいつ、顔も結構いいよな……」

 ボスホートルーシの軍や民兵にも幾人かの女性が居たが、全員が筋肉質で険しい顔つきな上、態度も鉄壁だった。
 色々な妄想を編み出しているとドアが開き、すぐさま平静を装った。

 「お待たせしました」
 「も、もういいのか?」
 「ええ、汚れは全て落ちましたので」

 レベッカが部屋に置かれているソファに座り、こちらに手招きしてきた。

 「ベッドよりも、こっちの方が落ち着きますよ」

 断る事無くベッドを離れ、軽い足取りで向かった。

 「本当だ、こっちの方がいいな」
 内心では緊張と気まずさを覚えつつ、ソファに腰を下ろす。
 「…………っ」

 横顔を盗み見る。 
 真正面から見た顔も絶景だが、横は横で絵画みたいな美しさがある。まともに直視するのが困難だ。
 服装もいつもの甲冑ではなく、和やかな雰囲気を漂わせる白い半袖のシャツと黒いスカートだ。
 風貌は話し掛けやすい見た目なのに、逆にそれが原因で会話が弾まない。

 「顔に何か付いていますか?」
 「あ、いやっ、何でもございません! はっはっはっ!」

 無意識に見つめていた内に目が合ってしまい、慌てて逸らして誤魔化す。

 「そ、それよりも、背中の傷は?」

 ようやくまともな質問を飛ばす。

 「違和感はありますが、何ともありません」
 「それはよかったよ」
 「助けてくださって、ありがとうございます」

 温かみを感じる笑顔で礼を言うレベッカを見て、心臓が躍動する。
 戦う時は勇敢だが、平時はこんなに丸いのか……もはや反則だ。

 「顔が赤くなっていますが、具合でも悪いのでしょうか?」
 「ち、違う! 部屋が暑いだけだ!」
 「かなり冷えていると思いますが……まあ、今日は色々ありましたからね」

 休憩を味わっているというのに新たな疲れが積もる。
 鏡を奪還したのであとは帝都とやらへ戻るだけだが、今のままだと何かしらのトラブルに見舞われそうだ。
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