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経験値を貸し付ける
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俺の意識が戻った時、何やら暖かい物にくるまれているようだった。
「元気な男の子ですよ」
「おお、そうか。頑張ったな、エミリア」
どうやら、俺は今し方産まれたようだった。
赤ん坊の目は殆ど見えないと聞いたが、何か不思議な力が働いたのか、俺が目を開けると普通に視力1以上の感覚で見ることができた。
そう言えば、普通に言葉も理解できるな。
俺は何処かの部屋にいて、ちょっと厳つい20代くらいの男に抱きかかえられているようだ。
視線を左に移すとベッドがあり、そこには俺を産んだであろう赤い髪をした女性が寝ていた。
隣にはもう一人女性がいた、俺を取り出してくれた人だろうか。
少し辺りを確認しているだけで、眠気が襲ってきて、そこで一度意識が途切れた。
次に気がついた時、俺はベッドの上で寝かされていた。
「あっ、シンゴが目を覚ましたわよ」
母親らしきその女性は俺の事をシンゴと呼んでいる。
どうやら、俺の名前はシンゴらしい。
「エミリアに似て可愛いな」
「オライアスに似て目つきが鋭いわよ」
母親の名前はエミリア、父親の名前はオライアスと言うようだ。
赤ん坊の身体では何も出来ないな。
そして、すぐ眠くなる。
俺はぐっすりと眠りながら、すくすくと育った。
育っている間、あまり自由の効かない俺は情報に努めた。
どうやら、この家は農家のようで家族も父と母しかいないようだ。
俺が産まれてから、父や母の友人らしい人の姿は見たが、祖父母は見かける事がなかった。
そして、この家はあまり裕福ではないようだ。
エミリアに抱かれて外の光景を見たが、家はあまり建っておらず、畑が沢山の面積を占めているのが見えた。
人口がどれだけいるのか分からないが、農村のようだ。
0歳児の俺に出来る情報収集はこれ位が限界だ。
大人しく寝て過ごす事にしよう。
ある日、そう言えば、ステータスとかないのかなとふと思った。
すると、ステータス画面が自然と目の前に浮かんできた。
名前 シンゴ
Lv 1
総取得経験値 0
どうやら、念じるだけで、ステータス画面を開いたり閉じたり出来るようだ。
当たり前だが、総取得経験値は0だな。
貸し出すには最低でも経験値10は必要みたいだし、どうやったら経験値が手に入るのだろうか。
エミリアの経験値を確認したところ、家にいて家事をしているだけでも、毎日1,2は増えているのがわかった。
どうやら、日常生活を送っているだけでも僅かに経験値は手に入るようだ。
毎日ベッドに寝ている俺の経験値は全然増えていかないので寝ているだけでは駄目なようだ。
半年後、ハイハイが出来るようになった俺は家中を駆けずり回った。
身体を動かして運動する事が経験値獲得に必要な事だと考えたのだ。
経験値は全然獲得出来なかったが、俺は諦めずに毎日這いずり回った。
そして、3ヶ月と少し経ったある日、俺の総取得経験値が1になった。
おおっ、遂に経験値をゲットしたぜ。
たった1の経験値だったけど、0から1に上がったと言うのは大きな一歩だ。
俺はできる限り身体を動かすように努めた。
そして、2歳になって少し経った時、俺の総取得経験値がついに10に到達し、レベルが2にあがった。
早速誰かに貸し付けて利息を徴収したい所だったが、さすがに実の親から経験値を取得するのは気が引けた。
そこで、先ずはたまに訪ねてくるダルアーと言うオライアスの友人に経験値を貸し出す事にした。
「よお、遊びに来たぜ」
数日もしないうちに、ダルアーが家にやって来た。
ダルアーは、俺の近くの椅子に腰掛ける。
先ずはダルアーの経験値を確認するか。
経験値透視スキルを使ってダルアーの経験値を盗み見る。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,111
今持っている経験値10をダルアーに貸し付けてみよう。
俺は、経験値マージンスキルを発動する。
頭の中で対象を選択するようなイメージが流れ、ダルアーを選択する。
ダルアーに経験値をどれだけ貸し付けるかのイメージが頭の中で再生された。
そして、俺はダルアーに持っている経験値10を全て貸し付けた。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,121
ダルアーの経験値が確かに増えている事を確認した。
それとは別にダルアーの頭に緑の矢印のようなものが突然出現した。
経験値マージンスキルで貸し付けた瞬間から出たようなので、恐らく貸し付け対象者がわかるマーキングのようなものだろう。
それから、自分の状態を確認してみる。
名前 シンゴ
Lv 1
総取得経験値 0
総取得経験値は0になり、レベルも1に戻っていた。
これで1日毎に経験値1の利息が発生するはずだ。
3日後、ダルアーが再び家にやって来た。
「よお、遊びに来たぜ」
俺はダルアーの経験値を確認した。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,128
俺はダルアーから経験値を回収するためにスキルを発動した。
頭の中には元本を含めて全て回収するかと言う問いと、利息分のみ回収するかと言う問いが流れる。
俺は元本を含めて全て回収することを選択した。
ダルアーの頭上のマーキングが消える。
それから、ダルアーの経験値と自分の経験値を確認した。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,115
名前 シンゴ
Lv 2
総取得経験値 13
ダルアーの総取得経験値は13減少し、俺の経験値は13増えている。
そのことを確認した俺は、ダルアーに再び10の経験値を貸し付けておいた。
そして、ダルアーがやってくる度に利息を回収し、経験値が10増える毎に経験値の元本を増やしていった。
1ヶ月後、俺の総取得経験値は110になっていた。
「元気な男の子ですよ」
「おお、そうか。頑張ったな、エミリア」
どうやら、俺は今し方産まれたようだった。
赤ん坊の目は殆ど見えないと聞いたが、何か不思議な力が働いたのか、俺が目を開けると普通に視力1以上の感覚で見ることができた。
そう言えば、普通に言葉も理解できるな。
俺は何処かの部屋にいて、ちょっと厳つい20代くらいの男に抱きかかえられているようだ。
視線を左に移すとベッドがあり、そこには俺を産んだであろう赤い髪をした女性が寝ていた。
隣にはもう一人女性がいた、俺を取り出してくれた人だろうか。
少し辺りを確認しているだけで、眠気が襲ってきて、そこで一度意識が途切れた。
次に気がついた時、俺はベッドの上で寝かされていた。
「あっ、シンゴが目を覚ましたわよ」
母親らしきその女性は俺の事をシンゴと呼んでいる。
どうやら、俺の名前はシンゴらしい。
「エミリアに似て可愛いな」
「オライアスに似て目つきが鋭いわよ」
母親の名前はエミリア、父親の名前はオライアスと言うようだ。
赤ん坊の身体では何も出来ないな。
そして、すぐ眠くなる。
俺はぐっすりと眠りながら、すくすくと育った。
育っている間、あまり自由の効かない俺は情報に努めた。
どうやら、この家は農家のようで家族も父と母しかいないようだ。
俺が産まれてから、父や母の友人らしい人の姿は見たが、祖父母は見かける事がなかった。
そして、この家はあまり裕福ではないようだ。
エミリアに抱かれて外の光景を見たが、家はあまり建っておらず、畑が沢山の面積を占めているのが見えた。
人口がどれだけいるのか分からないが、農村のようだ。
0歳児の俺に出来る情報収集はこれ位が限界だ。
大人しく寝て過ごす事にしよう。
ある日、そう言えば、ステータスとかないのかなとふと思った。
すると、ステータス画面が自然と目の前に浮かんできた。
名前 シンゴ
Lv 1
総取得経験値 0
どうやら、念じるだけで、ステータス画面を開いたり閉じたり出来るようだ。
当たり前だが、総取得経験値は0だな。
貸し出すには最低でも経験値10は必要みたいだし、どうやったら経験値が手に入るのだろうか。
エミリアの経験値を確認したところ、家にいて家事をしているだけでも、毎日1,2は増えているのがわかった。
どうやら、日常生活を送っているだけでも僅かに経験値は手に入るようだ。
毎日ベッドに寝ている俺の経験値は全然増えていかないので寝ているだけでは駄目なようだ。
半年後、ハイハイが出来るようになった俺は家中を駆けずり回った。
身体を動かして運動する事が経験値獲得に必要な事だと考えたのだ。
経験値は全然獲得出来なかったが、俺は諦めずに毎日這いずり回った。
そして、3ヶ月と少し経ったある日、俺の総取得経験値が1になった。
おおっ、遂に経験値をゲットしたぜ。
たった1の経験値だったけど、0から1に上がったと言うのは大きな一歩だ。
俺はできる限り身体を動かすように努めた。
そして、2歳になって少し経った時、俺の総取得経験値がついに10に到達し、レベルが2にあがった。
早速誰かに貸し付けて利息を徴収したい所だったが、さすがに実の親から経験値を取得するのは気が引けた。
そこで、先ずはたまに訪ねてくるダルアーと言うオライアスの友人に経験値を貸し出す事にした。
「よお、遊びに来たぜ」
数日もしないうちに、ダルアーが家にやって来た。
ダルアーは、俺の近くの椅子に腰掛ける。
先ずはダルアーの経験値を確認するか。
経験値透視スキルを使ってダルアーの経験値を盗み見る。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,111
今持っている経験値10をダルアーに貸し付けてみよう。
俺は、経験値マージンスキルを発動する。
頭の中で対象を選択するようなイメージが流れ、ダルアーを選択する。
ダルアーに経験値をどれだけ貸し付けるかのイメージが頭の中で再生された。
そして、俺はダルアーに持っている経験値10を全て貸し付けた。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,121
ダルアーの経験値が確かに増えている事を確認した。
それとは別にダルアーの頭に緑の矢印のようなものが突然出現した。
経験値マージンスキルで貸し付けた瞬間から出たようなので、恐らく貸し付け対象者がわかるマーキングのようなものだろう。
それから、自分の状態を確認してみる。
名前 シンゴ
Lv 1
総取得経験値 0
総取得経験値は0になり、レベルも1に戻っていた。
これで1日毎に経験値1の利息が発生するはずだ。
3日後、ダルアーが再び家にやって来た。
「よお、遊びに来たぜ」
俺はダルアーの経験値を確認した。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,128
俺はダルアーから経験値を回収するためにスキルを発動した。
頭の中には元本を含めて全て回収するかと言う問いと、利息分のみ回収するかと言う問いが流れる。
俺は元本を含めて全て回収することを選択した。
ダルアーの頭上のマーキングが消える。
それから、ダルアーの経験値と自分の経験値を確認した。
名前 ダルアー
総取得経験値 17,115
名前 シンゴ
Lv 2
総取得経験値 13
ダルアーの総取得経験値は13減少し、俺の経験値は13増えている。
そのことを確認した俺は、ダルアーに再び10の経験値を貸し付けておいた。
そして、ダルアーがやってくる度に利息を回収し、経験値が10増える毎に経験値の元本を増やしていった。
1ヶ月後、俺の総取得経験値は110になっていた。
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