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第十三章
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―新芽―
春先に膨らみつつある新芽を見て
遠い空の下の君を思い出します
僕の人生の中でひと季節だけいた君のことを
その時の君はまだ若草でした。
青い草の匂いがいたしました。
女の匂いなど一つもない君が好きでした
あの頃は二人でよく海にまいりました。
海の水が塩辛いのは誰かの涙だと君は言います
それは君の涙だったのでしょうか
飛ぶ鳥を見て必死に真似をして手で飛ぼうとする君を見て
僕は思わず君を後ろから抱きしめていました
君が遠くへ行かないように
けれども僕は君の鳥かごにはなれぬのです
それを知ったのは僕がずっと大人になってからでした
春が来て恋をした君は綺麗でした
君は初めて口紅をひいて髪を伸ばしました
僕の知らぬ男のために
君はもう若草ではありませんでした
花へと急ぐ新芽になりました
そして僕を振り返ることなく去っていきました
その時僕は飼っていた鳥を空に逃がしました
そして僕はからの鳥かごを何もいれずに
今も机の上に置いています
空に羽ばたく鳥は綺麗でした
僕の届かぬ君は綺麗でした
春が来て新芽の芽吹くのを見るたびに
季節は再びめぐったのだと気づきます
おして僕はそのたびに遠い残響のように
いった春を思います
春先に膨らみつつある新芽を見て
遠い空の下の君を思い出します
僕の人生の中でひと季節だけいた君のことを
その時の君はまだ若草でした。
青い草の匂いがいたしました。
女の匂いなど一つもない君が好きでした
あの頃は二人でよく海にまいりました。
海の水が塩辛いのは誰かの涙だと君は言います
それは君の涙だったのでしょうか
飛ぶ鳥を見て必死に真似をして手で飛ぼうとする君を見て
僕は思わず君を後ろから抱きしめていました
君が遠くへ行かないように
けれども僕は君の鳥かごにはなれぬのです
それを知ったのは僕がずっと大人になってからでした
春が来て恋をした君は綺麗でした
君は初めて口紅をひいて髪を伸ばしました
僕の知らぬ男のために
君はもう若草ではありませんでした
花へと急ぐ新芽になりました
そして僕を振り返ることなく去っていきました
その時僕は飼っていた鳥を空に逃がしました
そして僕はからの鳥かごを何もいれずに
今も机の上に置いています
空に羽ばたく鳥は綺麗でした
僕の届かぬ君は綺麗でした
春が来て新芽の芽吹くのを見るたびに
季節は再びめぐったのだと気づきます
おして僕はそのたびに遠い残響のように
いった春を思います
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