金色の魔王(魔法の王)は微笑む

誠くん2F29

文字の大きさ
5 / 22
転校生編

第5話 醜形恐怖症の少女 Part2

しおりを挟む
 犯人の少女は、あまりの衝撃から気を失って、走馬灯のようなものを見ていた

~~~~~~~~~~~~
 全身鏡の前で、叫びながら顔を掻きむしっている、"可愛らしかった"少女が、佇んでいた。

「醜い!醜い!醜い!何で私はこんなに醜いの!周りのみんなが、友達と遊んでいる間も、自分をキレイにしようと、血が滲むような努力をしてきたのに!」


 少女は物心がつく前から、モデルやアイドルなどの、華やかな人達に強い憧れを持っていた。

「羨ましいなぁ、私もこの人達みたいに、キレイになりたいなぁ~」

「ルナちゃんも、将来はこの人達に負けないほど、キレイな人になれると、私は思うよ!」

 その時、話しかけられた方の少女は、ヒステリックをおこした。

「アナタに何が分かるのよ!そんな簡単に言わないで!」

「う…うん、ごめんね」

 ルナは、普段は良い子なのたが、顔の頬に、事故でついた、異能によるやけどの跡があり、それがコンプレックスだった。それのせいか、時々みせる凶暴的な一面に、周りの人々は彼女から離れてしまったので、ルナは"孤独"になってしまった。

「私のことを理解してくれる人は、誰もいない…」
「でも、それでいいの…」

 この後のルナは、家族の静止もまったく聞かずに、ストレスなどの影響で、自傷行為を繰り返していた。

 "パリン"   "ガシャン"

「あ~あ、鏡を殴って壊しちゃった…」

 ルナの小さな手は、血まみれで、非常に痛々しかった。

 「物に当たっても、この気持ちは収まらないな…」

 ルナのストレスが、マックスになった時、"憧れ"の感情が反転して、"憎悪"に変わっていた。

 その後も、ストレスや鬱憤が溜まりに溜まっていって、そのはけ口が高校生になってから、ついに人に向けられるようになってしまった。

「ハハハハハ!このキレイな顔を、グチャグチャにする感覚、最高!」

 幸か不幸か、ルナの異能は、周りの景色と同化して、自分の姿を消すことが出来た。そのおかげか、風紀委員に見つかることも無く、4人の女生徒が被害にあうことになってしまった。

~~~~~~~~~~~~

 少女が気を失ってから、目を開けるとそこには、見知らぬ天井が広がっていた。

 「ずいぶん寝ていたね」

 すぐ隣から、優しげにも、無感情にもとれる、不思議な声がした。
 そこで、ようやく他人に自分の顔を、見られていることに気づき、少女は急いで顔を隠した。

「私のことを見ないで!!」

「おや?どうしてだい?」

「だって私は…すごく醜いから…」

「醜い?どこが?俺の目には、ただの美少女にしか見えないけどね」

「嘘よ!だって、私、全身傷だらけで、ブサイクだし…」

「ブサイク?1回鏡を見たほうがいいんじゃないかな?」

 ヘルトは少女のために、魔法で鏡を作って、少女の姿を映して、見せてあげた。

「えっ…これが私?」

「当たり前だよ」

「…だって…私…の頬の傷が…」

「ああそれね、それなら俺が治しておいたよ」

 ヘルトは、なんでもないように言った。

「だって、どんな回復系の異能力者でも、治せなかったのに…」

「俺を、誰だと思ってるの?"セブンキングス"だよ、これぐらいは普通に治せるさ」

「でも、あなたに対して、刃を向けた私に、なぜここまでしてくれるんですか?」

「それはね君の異能は、この学園の風紀委員にも見つからない程の、強力な隠密系の異能だ」
「だから、君には手伝って欲しいんだ」

「な、なにを…ですか?」

「別段変わったことでは無いよ、ちょっと俺の学園生活が、楽しくなる手伝いをして欲しいんだよ」

「わ、私にできる事ならなんでもします!」(この方は私の頬や、全身の傷を治してくださった!絶望の淵にいた私を、救ってくださった!この命は、ほぼヘルト様のもの、といっても過言ではないはずです!)(だから、ヘルト様は私を"ステナイ"ですよね…)

「フフ、ありがとうね」(思いも寄らない、有能な駒を手に入れたな)
「そういえば、君の名前はなんて言うのかい?」

「私の名前は、藍月 ルナ 1年生です!ヘルト様は、たしか2年生でしたよね?」

「ああ、そうだよ」

「ってことは、先輩ですね(ニコッ)」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 月とルナが、意味一緒じゃないか!と、おっしゃる方がいるかと思いますが、気にしないで下さい。

※キャラ紹介(少しだけ)
・藍月 ルナ 過去に自分の周りから、友人が全員いなくなった経験があるので、へルトに執着しています。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...