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第七章 それなんてホラー?
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ハナの行動範囲が広がった、それは良いことであるが――だからといって、じゃあ何をするかは別問題であった。
とはいえこれまでもマーサやナタリーたちに会う度に、ヨシヤの妻……つまりハナと会ってみたいと言われていたこともあった。
(ハナだってきっと話相手がほしいだろうしなあ)
ヨシヤは前の世界でもハナが社交的でご近所の奥様方とよく世間話をしていた姿を目撃している。
殆どがご近所の(年上の)奥様方で、ちょっとした家事のコツや周辺スーパーのどこが安かった、どこのお宅でトラブルが……なんていう生々しい話だったことなどヨシヤは知らない。
それに茶飲み友達という意味で言えば、あっちゃんとエイトがいるのでそれも事欠いてはいないのだ。
あの二匹もメスなので、女子会である。
女子会なのである。
そんなことが今ひとつ理解できていないヨシヤはそういうことならと、できれば賑やかな町がいいなと考えた。
それに外義大亜のこともある。
勇者というこの世界に置いてどういう地位なのか不明なハナのつきまとい少女が逸現われるとも限らない以上、ある程度周囲の協力はほしいところだ。
「うーん」
ヨシヤとしてはあれこれ悩ましいところではあったのだが、一番頼りになるといえば今のところ王太子妃クローディアだ。
戦の神様の神殿やら、お酒の神様の神殿もある王都が案外目立つようで安全なばしょでもあるとヨシヤは考えた。
クローディアによれば宗教国とは表面上穏やかな関係を築いているものの、その実情はお互い目を光らせているといったところだろうか。
そのため、彼らが王都でヨシヤたちにちょっかいをかけることはしづらいはずだ。
それにクローディア経由で王都に居を構えるならば、彼女の庇護も得られるということだ。
そしてハナ自身も、他の神々を頼ることもできるだろう。
多少なりとも権力争いなどに巻き込まれる可能性があるのが難点だが、それでもハナも町の賑やかさを近くに感じられたら楽しいかもしれない。
ヨシヤの脳内で、『厄介ごと』と『ハナの笑顔』が天秤にかけられた結果は当たり前のようにハナの圧勝である。
愛妻家なので。
「よし、八木さん! クローディア様になんとかして連絡を取ろう!!」
「またとんでもないことを仰いますね、ご主人様!?」
「ああいや、いきなり王城に押しかけようとかそんなんじゃないよ、さすがにね」
そこはヨシヤだって常識人だ。
いや、ハナ謹製の仮面をつければ王城だって忍び込めるかもしれないが、あれは意思疎通に難点がある。
サラリーマン経験のあるヨシヤにとって、アポイントメントは重要であった。
とはいえ、どのような形であれ接触が必要なことは変わらない。
クローディアがいくらヨシヤたちに感謝していようとも、彼女の立場から考えれば神の遣いとしての身分を隠しているヨシヤたちはただの平民であり、おいそれと会えるような人物ではないのである。
そのことはヨシヤだって重々承知しているのだ。
で、あれば。
頼るのは辺境伯である。
ハナ謹製の仮面を被り、クローディア様にお願いしたいことがあると記した看板を突きつけて手紙を渡してもらうことにしたのだ。
王都に住まうつもりであること。
そのための金子はきちんと自分たちで準備すること。
そこから始まり、ダイア・ソトギの動向について知りたいこと、また彼女が絡んだ場合協力をお願いしたいこと。
そういう意味で兵士の巡回などが多いところがいいこと。
それらの要求に対しブロッサム様の加護が王都に広まること。
特別な食材を王都の商業ギルドに卸す予定であること。
権力争いに力を貸すことはないが、クローディア個人に対しては協力を惜しまないこと。
それらをヨシヤは記したのだ。
基本的には以前商業ギルドで家を探すという話をしていたし、ちょっとばかり財布問題はあるがそこについてはあっちゃんやエイトたちに協力をしてもらってなんとかするのが一家の主というものだろうとヨシヤはぐっと拳を握る。
もちろん、手紙を書き上げた後、辺境伯のところに行く前にハナにはきちんと話を通すつもりである。
家を買うのはいつだって大きな買い物であるので、夫婦での意思疎通は大事なのである。
「ハナ~、相談があるんだけど~!」
とはいえこれまでもマーサやナタリーたちに会う度に、ヨシヤの妻……つまりハナと会ってみたいと言われていたこともあった。
(ハナだってきっと話相手がほしいだろうしなあ)
ヨシヤは前の世界でもハナが社交的でご近所の奥様方とよく世間話をしていた姿を目撃している。
殆どがご近所の(年上の)奥様方で、ちょっとした家事のコツや周辺スーパーのどこが安かった、どこのお宅でトラブルが……なんていう生々しい話だったことなどヨシヤは知らない。
それに茶飲み友達という意味で言えば、あっちゃんとエイトがいるのでそれも事欠いてはいないのだ。
あの二匹もメスなので、女子会である。
女子会なのである。
そんなことが今ひとつ理解できていないヨシヤはそういうことならと、できれば賑やかな町がいいなと考えた。
それに外義大亜のこともある。
勇者というこの世界に置いてどういう地位なのか不明なハナのつきまとい少女が逸現われるとも限らない以上、ある程度周囲の協力はほしいところだ。
「うーん」
ヨシヤとしてはあれこれ悩ましいところではあったのだが、一番頼りになるといえば今のところ王太子妃クローディアだ。
戦の神様の神殿やら、お酒の神様の神殿もある王都が案外目立つようで安全なばしょでもあるとヨシヤは考えた。
クローディアによれば宗教国とは表面上穏やかな関係を築いているものの、その実情はお互い目を光らせているといったところだろうか。
そのため、彼らが王都でヨシヤたちにちょっかいをかけることはしづらいはずだ。
それにクローディア経由で王都に居を構えるならば、彼女の庇護も得られるということだ。
そしてハナ自身も、他の神々を頼ることもできるだろう。
多少なりとも権力争いなどに巻き込まれる可能性があるのが難点だが、それでもハナも町の賑やかさを近くに感じられたら楽しいかもしれない。
ヨシヤの脳内で、『厄介ごと』と『ハナの笑顔』が天秤にかけられた結果は当たり前のようにハナの圧勝である。
愛妻家なので。
「よし、八木さん! クローディア様になんとかして連絡を取ろう!!」
「またとんでもないことを仰いますね、ご主人様!?」
「ああいや、いきなり王城に押しかけようとかそんなんじゃないよ、さすがにね」
そこはヨシヤだって常識人だ。
いや、ハナ謹製の仮面をつければ王城だって忍び込めるかもしれないが、あれは意思疎通に難点がある。
サラリーマン経験のあるヨシヤにとって、アポイントメントは重要であった。
とはいえ、どのような形であれ接触が必要なことは変わらない。
クローディアがいくらヨシヤたちに感謝していようとも、彼女の立場から考えれば神の遣いとしての身分を隠しているヨシヤたちはただの平民であり、おいそれと会えるような人物ではないのである。
そのことはヨシヤだって重々承知しているのだ。
で、あれば。
頼るのは辺境伯である。
ハナ謹製の仮面を被り、クローディア様にお願いしたいことがあると記した看板を突きつけて手紙を渡してもらうことにしたのだ。
王都に住まうつもりであること。
そのための金子はきちんと自分たちで準備すること。
そこから始まり、ダイア・ソトギの動向について知りたいこと、また彼女が絡んだ場合協力をお願いしたいこと。
そういう意味で兵士の巡回などが多いところがいいこと。
それらの要求に対しブロッサム様の加護が王都に広まること。
特別な食材を王都の商業ギルドに卸す予定であること。
権力争いに力を貸すことはないが、クローディア個人に対しては協力を惜しまないこと。
それらをヨシヤは記したのだ。
基本的には以前商業ギルドで家を探すという話をしていたし、ちょっとばかり財布問題はあるがそこについてはあっちゃんやエイトたちに協力をしてもらってなんとかするのが一家の主というものだろうとヨシヤはぐっと拳を握る。
もちろん、手紙を書き上げた後、辺境伯のところに行く前にハナにはきちんと話を通すつもりである。
家を買うのはいつだって大きな買い物であるので、夫婦での意思疎通は大事なのである。
「ハナ~、相談があるんだけど~!」
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