18 / 75
第二章 シリウスという男
17
しおりを挟む
シリウスは私を連れてあっちこっちと夜市を歩き回り、アレを買うかコレを買うかとなんでかあれこれ買い与えようとしてきて……いやいや私は地方から出てきた小さい子じゃないんですけど!?
どうにも一緒に暮らすうちに情が湧いてしまったんだろう。
そのせいで私の生まれや育ちに対して同情する気持ちが強く出て、オニイチャン気質なことも手伝って世話を焼いてやりたくなったわけだ。
何故断定的なのかって?
そりゃあ……本人がそう言ったからだよ。
「聞いてるのか? セレン」
「はいはい聞いてますよシリウス様! そろそろ寝ましょうよ、いっくら酒に強いからってあんなに何本も呑むとか何を考えてんですか」
「……呑みたかったんだ」
「限度ってもんがあるでしょうが、限度ってもんが」
そう、家に帰ってきてから呑むとは宣言していたわけだから、夜市で買ってきた食品に加えて私も軽いおつまみを作ったんだよ。
地下にある貯蔵庫の一角に酒蔵があって、シリウスは私が調理をしている間にそっから十本ほどのお酒を持ってきたんだよね。
まあ家主が呑みたいってんだから止めはしないよ、酒量は弁えているって言われたらそれ以上言えることもないでしょ?
ところがこれだよ!
この酔っ払いめ!!
最初は良かった。
私にもお酒を勧めてくれて、呑みやすい果実酒。
ところがシリウスが呑んでいたのはめっちゃ度数の高いお酒で、そいつを続けざまに呑んだだけじゃなくて『足りない』なんて言い出して追加で持ってきたんだよね。
私は知っている。
このお酒、度数が高いだけじゃなくてお値段も高いんだよ……それをこんな味わうんじゃなく水を飲むように呑みやがってえええ!
このブルジョワめ! いやブルジョワだから仕方ないのか!?
「……お前が、自分のことを話してくれるのが嬉しかったんだ」
「え」
「聞かれたから答えた、その程度だろうが……いくらでも誤魔化せただろう?」
ほんの少し頬を染めて。
ふわりと微笑むシリウスに、ああ、この人ったら本当に私みたいな人間に絆されちゃったまあ、と呆れてしまった。
呆れると同時に、嫌いになれないタイプの人間だなあとつくづく思う。
こんなね、全身で喜びを表現する大型犬みたいな人、嫌いになれないでしょうよ。
「なのにお前はちゃんと答えてくれた。それって俺を少しは信頼してくれたってことだろう」
何がおかしいのかくふくふ笑う姿はどっから見ても大型犬。
くっそう、撫でてえな。
「懐かない野良猫が撫でさせてくれたみたいな気持ちになってな。つい、いい気分になった」
な、な、な、にゃんですと~~~~!?
こっちが相手を大型犬だと思っていたら、あっちは私のことを野良猫と思っていたとかなんだそのわんにゃん大戦争! 意味わかんない!!
「お前が話してくれたんなら、俺も少しは俺のことを話そう。フェアじゃないだろう?」
「え、いや別に無理に話していただくことはないですかね」
思わず素で返したけど、彼はそれが面白かったのかまた笑ったのだった。
どうにも一緒に暮らすうちに情が湧いてしまったんだろう。
そのせいで私の生まれや育ちに対して同情する気持ちが強く出て、オニイチャン気質なことも手伝って世話を焼いてやりたくなったわけだ。
何故断定的なのかって?
そりゃあ……本人がそう言ったからだよ。
「聞いてるのか? セレン」
「はいはい聞いてますよシリウス様! そろそろ寝ましょうよ、いっくら酒に強いからってあんなに何本も呑むとか何を考えてんですか」
「……呑みたかったんだ」
「限度ってもんがあるでしょうが、限度ってもんが」
そう、家に帰ってきてから呑むとは宣言していたわけだから、夜市で買ってきた食品に加えて私も軽いおつまみを作ったんだよ。
地下にある貯蔵庫の一角に酒蔵があって、シリウスは私が調理をしている間にそっから十本ほどのお酒を持ってきたんだよね。
まあ家主が呑みたいってんだから止めはしないよ、酒量は弁えているって言われたらそれ以上言えることもないでしょ?
ところがこれだよ!
この酔っ払いめ!!
最初は良かった。
私にもお酒を勧めてくれて、呑みやすい果実酒。
ところがシリウスが呑んでいたのはめっちゃ度数の高いお酒で、そいつを続けざまに呑んだだけじゃなくて『足りない』なんて言い出して追加で持ってきたんだよね。
私は知っている。
このお酒、度数が高いだけじゃなくてお値段も高いんだよ……それをこんな味わうんじゃなく水を飲むように呑みやがってえええ!
このブルジョワめ! いやブルジョワだから仕方ないのか!?
「……お前が、自分のことを話してくれるのが嬉しかったんだ」
「え」
「聞かれたから答えた、その程度だろうが……いくらでも誤魔化せただろう?」
ほんの少し頬を染めて。
ふわりと微笑むシリウスに、ああ、この人ったら本当に私みたいな人間に絆されちゃったまあ、と呆れてしまった。
呆れると同時に、嫌いになれないタイプの人間だなあとつくづく思う。
こんなね、全身で喜びを表現する大型犬みたいな人、嫌いになれないでしょうよ。
「なのにお前はちゃんと答えてくれた。それって俺を少しは信頼してくれたってことだろう」
何がおかしいのかくふくふ笑う姿はどっから見ても大型犬。
くっそう、撫でてえな。
「懐かない野良猫が撫でさせてくれたみたいな気持ちになってな。つい、いい気分になった」
な、な、な、にゃんですと~~~~!?
こっちが相手を大型犬だと思っていたら、あっちは私のことを野良猫と思っていたとかなんだそのわんにゃん大戦争! 意味わかんない!!
「お前が話してくれたんなら、俺も少しは俺のことを話そう。フェアじゃないだろう?」
「え、いや別に無理に話していただくことはないですかね」
思わず素で返したけど、彼はそれが面白かったのかまた笑ったのだった。
107
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
『婚約なんて予定にないんですが!? 転生モブの私に公爵様が迫ってくる』
ヤオサカ
恋愛
この物語は完結しました。
現代で過労死した原田あかりは、愛読していた恋愛小説の世界に転生し、主人公の美しい姉を引き立てる“妹モブ”ティナ・ミルフォードとして生まれ変わる。今度こそ静かに暮らそうと決めた彼女だったが、絵の才能が公爵家嫡男ジークハルトの目に留まり、婚約を申し込まれてしまう。のんびり人生を望むティナと、穏やかに心を寄せるジーク――絵と愛が織りなす、やがて幸せな結婚へとつながる転生ラブストーリー。
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
人生に絶望していたら異世界のデスゲームに巻き込まれました~ヤンデレ悪魔を召還したので、最期まで楽しもうと思います!~
雨宮 叶月
恋愛
「人の「正しさ」が崩れていく瞬間って、美しいと思いません?」
学校でも家でも理不尽な扱いを受ける少女・成瀬伊澄。
ある日、クラスメイト・担任と共に異世界のデスゲームに巻き込まれた。
召喚したのは悪魔・ディオラル。
なんだか様子がおかしいが、嬉しいので気にしない。
『死』は恐怖じゃない。だから最期までデスゲームを楽しむことにする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる