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★vs張学良★
【裏切りの代償①】
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拳銃の発砲音は聞こえたし、硝煙も部屋中に立ち込めている。
なのに私は、何事もなく生きている。
ハハハとヤツがヒステリックに笑う。
からかわれたのだ。
「いったいこれは、何のつもりだ‼」
飛び掛かってヤツをぶん殴りたいが、今は我慢しなくてはならない。
「1発目に空砲を入れておいた。死を覚悟した人間の最後の姿を見てみたくてね」
「……」
「趣味が悪くてすまなかったな。だが君ともう少し話してみたいと思ってね」
張学良はそう言うと撃鉄を降ろした拳銃を、私が寝ていたベッドに放り投げた。
拳銃はオートマチック型。
次の弾が入っていなければ、遊底は後退したままのはず。
だがこいつの遊底は次弾を薬室に押し込むために閉じた。
この拳銃を手に取って張学良を人質にすれば、ここから逃げ出せるかもしれない。
1発目は空砲だと言ったが、ヤツは2発目については何も言っていない。
だが、どうするべきなのかはハッキリしている。
私の任務は逃げ帰る事ではなく、張学良軍を止めることなのだ。
「話とはなんだ?」
私はベッドに投げられた拳銃には目もくれずに彼に聞いた。
彼はほんの少しだけ「おやっ?」という顔をしたのちに、私を応接用の椅子に座るように案内した。
「まあ座れ」
「……」
言われるまま、私は椅子に座った。
何を聞きたいのかと尋ねると、彼は日本軍の兵力などは聞かずに、これから戦争をしたとしてどうなるかと聞いてきた。
私は自分が分析した結果を素直に伝えた。
張学良軍単独では、どのような手を使っても日本が敷く防衛線を突破することはかなわない。
たとえ日本軍の背後から朝鮮軍が参戦して来ようとも、それは何ら変わらないと。
張学良が、朝鮮軍も参戦するのかと私に聞いてきたので、そっちの方が詳しく知っているはずではないのかとだけ答えると彼は何も言わなかった。
戦うにしてもまず汚名を残さないようにしなければならない事を伝えると、汚名とは何の事だと聞かれた。
張学良軍の汚名とは、進軍を早めるために途中の農家などから略奪した馬や牛、それに車両などだと伝える。
張学良は日本びいきですっかり腰の抜けてしまった国民党政府を打破するために必要なことだと言ったが、戦闘となればその略奪した物や動物たちも甚大な被害を受けることと、それらが戻らなければ農民たちが困る事を伝えた。
日本兵は降伏しない。
だからもし勝ったとしても、捕虜は得られないから強制労働という手も使えない。
得られるのは貴方の軍が破壊した戦車やトラック、大砲などの鉄くずだけで、それらは何の役にも立たない。
春に農業が出来なければ、飢饉が訪れる。
そのとき農民たちは日本軍と張学良軍のどちらを恨むのか?
そしてその時、中国共産党は農民と貴方たちの、どちらに味方するのか?
「共産党が僕を裏切る?」
「今はまだ利用価値があるから、今すぐ裏切ることはないだろうが、将来的にこの事件は粛清の口実にはなるでしょう」
「君は僕が共産党に利用されているというのか!?」
「貴方の日本への恨みを一緒に晴らしてくれるはずだった盟友である蒋介石は、日中友好条約の締結により日本との融和政策に舵を切った。そこで毛沢東はそのことに不満を持つ貴方に目を付けたとしても何も不思議ではない。毛沢東は蒋介石を倒し、貴方は日本を倒し、新しい反日の中国が産まれる」
「まるで見てきたように言うな。しかし共産党政権が誕生すれば僕は中国を離れ、再び満州に戻るだろう」
「満州国はもう存在しません」
「存在しない?」
私は日中友好条約に記載されていることを伝えた。
それは満州国の扱いについて。
日本の期限付き統治後には、中国へ返還すると書かれていること。
張学良はそのことについては国民党と日本が結んだ条約だから無効だと言った。
たしかに彼の言う通りではあるが、国民党を倒したあと中国の政権を握った共産党が自分たちにとってうまい話をわざわざ貴方のために手放すとは思えない事を伝えた。
「敵となるかもしれない国は、少ないほうがいいでしょう?」と付け加えて。
なのに私は、何事もなく生きている。
ハハハとヤツがヒステリックに笑う。
からかわれたのだ。
「いったいこれは、何のつもりだ‼」
飛び掛かってヤツをぶん殴りたいが、今は我慢しなくてはならない。
「1発目に空砲を入れておいた。死を覚悟した人間の最後の姿を見てみたくてね」
「……」
「趣味が悪くてすまなかったな。だが君ともう少し話してみたいと思ってね」
張学良はそう言うと撃鉄を降ろした拳銃を、私が寝ていたベッドに放り投げた。
拳銃はオートマチック型。
次の弾が入っていなければ、遊底は後退したままのはず。
だがこいつの遊底は次弾を薬室に押し込むために閉じた。
この拳銃を手に取って張学良を人質にすれば、ここから逃げ出せるかもしれない。
1発目は空砲だと言ったが、ヤツは2発目については何も言っていない。
だが、どうするべきなのかはハッキリしている。
私の任務は逃げ帰る事ではなく、張学良軍を止めることなのだ。
「話とはなんだ?」
私はベッドに投げられた拳銃には目もくれずに彼に聞いた。
彼はほんの少しだけ「おやっ?」という顔をしたのちに、私を応接用の椅子に座るように案内した。
「まあ座れ」
「……」
言われるまま、私は椅子に座った。
何を聞きたいのかと尋ねると、彼は日本軍の兵力などは聞かずに、これから戦争をしたとしてどうなるかと聞いてきた。
私は自分が分析した結果を素直に伝えた。
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たとえ日本軍の背後から朝鮮軍が参戦して来ようとも、それは何ら変わらないと。
張学良が、朝鮮軍も参戦するのかと私に聞いてきたので、そっちの方が詳しく知っているはずではないのかとだけ答えると彼は何も言わなかった。
戦うにしてもまず汚名を残さないようにしなければならない事を伝えると、汚名とは何の事だと聞かれた。
張学良軍の汚名とは、進軍を早めるために途中の農家などから略奪した馬や牛、それに車両などだと伝える。
張学良は日本びいきですっかり腰の抜けてしまった国民党政府を打破するために必要なことだと言ったが、戦闘となればその略奪した物や動物たちも甚大な被害を受けることと、それらが戻らなければ農民たちが困る事を伝えた。
日本兵は降伏しない。
だからもし勝ったとしても、捕虜は得られないから強制労働という手も使えない。
得られるのは貴方の軍が破壊した戦車やトラック、大砲などの鉄くずだけで、それらは何の役にも立たない。
春に農業が出来なければ、飢饉が訪れる。
そのとき農民たちは日本軍と張学良軍のどちらを恨むのか?
そしてその時、中国共産党は農民と貴方たちの、どちらに味方するのか?
「共産党が僕を裏切る?」
「今はまだ利用価値があるから、今すぐ裏切ることはないだろうが、将来的にこの事件は粛清の口実にはなるでしょう」
「君は僕が共産党に利用されているというのか!?」
「貴方の日本への恨みを一緒に晴らしてくれるはずだった盟友である蒋介石は、日中友好条約の締結により日本との融和政策に舵を切った。そこで毛沢東はそのことに不満を持つ貴方に目を付けたとしても何も不思議ではない。毛沢東は蒋介石を倒し、貴方は日本を倒し、新しい反日の中国が産まれる」
「まるで見てきたように言うな。しかし共産党政権が誕生すれば僕は中国を離れ、再び満州に戻るだろう」
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たしかに彼の言う通りではあるが、国民党を倒したあと中国の政権を握った共産党が自分たちにとってうまい話をわざわざ貴方のために手放すとは思えない事を伝えた。
「敵となるかもしれない国は、少ないほうがいいでしょう?」と付け加えて。
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