軌跡 Rev.1

ぽよ

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3章

期末試験の一幕

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 仁は、同じ講義を受講する同級生と試験を受けている。難しい試験もあれば簡単な試験もあるが、これはそこそこの難易度の試験である。勉強していれば取れるはず。そういう単位だったはずだった。試験が入室し、しばらく沈黙。その後、試験用紙が配られ試験開始。見たこともない用語の数々。混乱する思考。果たして、今起こっていることは何か。考えているうちに何故か教壇に立つ教授がバタバタとし始める。
 前方から声。教授だった。果たしてなにが起きるのか。学生が皆前を向く。非常に珍しい光景だろう。学生が注目する中、教授がマイクを持って声を出す。

「これ、テスト間違えてるわ。隣の教授と相談してきます」

    唐突の事態にざわつく講義室。しかし、今は試験中。教授が講義室から出ても、沈黙のまま待つ。
 そんなことが起きるなんて誰も予想していない。無条件で単位が欲しいくらいだが、教授は教室から消えてしまった。のんびり構えながら待つしかない。教授が帰ってくると、なにやら紙を持っている。

「非常に言いにくいんだけど、試験の紙を間違えたので、一旦回収します。配り直すので、それから解き直してください」

    正気かと思うような提案がされる。この科目はIとIIがある。科目名がほぼ同じで間違えたらしい。ざわつく教室を気にも止めず教授が話を続ける。

「このままだと、学生さんが不利なので、50点は全学生にあるものとしましょう。これでいきます」

    まさかすぎる展開に更にざわめく講義室。しかし、教授はこれしかないと言わんばかりである。今回は従うしかなさそうである。
 こんなことが正式にあっていいのかと思いながらも試験問題を見る。問題は2題であった。一つはその講義に対する基本知識。もう一つは感想。50点ずつの配点。つまり、そう言うことなのか。
    一応試験勉強は怠らずにやった。確認の意味も込めて、解いてみることにした。たまに意味不明な語彙が出てくる以外はなんとかなる。ちゃんと勉強ができていたことに安堵する。そして、60分の試験が終わる。

「終わったー!」
「やっと終わったー!」
「本当にやっとだね」
「長かったねー」
「明日から夏休み」
「のんびりしますか」

    大学の同期と話をしながら講義室を出て適当に歩く。今日は試験最終日。つまり明日からは夏休み。じっくりのんびり大学生らしい夏休みを満喫する。
 しばらく話した後、友達と分かれスマートフォンを取り出す。賢に報告だ。賢は明日の2回目の中間発表に向けて最終調整があるらしい。今日は構ってもらえそうにない。

「試験終わった!家でのんびりするね!」
「羨ましい。俺も明日が終わったらひと段落だ。出かける予定の話でもしよう」
「了解!」

    ひとまずは元気に返事をしておく。賢も明日でひと段落。そうすれば関わる時間は自ずと増えてくるはずだ。今日も家に帰るとしよう。もう17時を回ってるし、帰ったら夕食がある。その頃には賢も最終調整終わってるだろうか。今研究室で奮闘している恋人を思いながら、仁はバスに乗り込んだ。
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