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3章
喫茶店
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「暑い」
「ただひたすらに暑い」
「喫茶店遠い」
散歩をしようと言ってみたものの、猛暑の餌食になるだけであった。もはや夏を越えた違う季節だろうというレベルの暑さである。
地元の街はもう少し涼しい。少なくとも歩いているだけで全身から汗をかくことは珍しい。駅前で人も多い。人混みから発せられる熱気を勘案しても意味不明と言うべきレベルの暑さに二人ともダウン寸前であった。
「喫茶店、見つけた」
「入るぞ」
仁が喫茶店を見つけた。早く入って涼しくなるために、今走って暑くなる。1秒でも早く涼しくなる方が圧倒的に良い。今すぐにでも入りたい。太陽が容赦なく照りつける中、二人は喫茶店へと足を運ぶ。
「いらっしゃいませ」
「二人で」
夏の外気とは対極にある涼しい店内。愉快な音楽が流れている。最近の音楽事情に詳しくない賢でもわかるくらい有名な曲だった。軽快なリズムと歌いやすい歌詞。最近の流行を踏襲したいわば商業的な歌かもしれない。メニューを見ながら、不思議なものを発見する。
「なんだろう、これ」
「なんだろうね」
「注文してみようか」
「そうだね」
それは、パイのような、パンケーキのような不思議な食べ物だった。写真の見た目から言えば、そんなに大きくないはずだ。二人とも注文が決まったので、店員を呼ぶ。
「これを二つ」
「かしこまりました」
店員との短い会話。飲み物は水が出てきているのでそれを飲む。いくら店内が涼しいとはいえ、灼熱の中を走ると汗が弾くのも時間がかかった。
「しかし暑いな」
「暑いね」
「一旦一休みだな」
「ここで休んだらホテルに行ってもよさそうなレベルだよ」
「そうだな。そうするか」
店の中の涼しさが異世界なんじゃないかと思うほどの暑さであった。これがニュースで話題になるほどの暑さの夏というものか。二人ともアウトドアではない。猛暑の中飛び出して遊ぶほどの勇気も元気もないのである。
今はただ涼しい店内で食べ物を待つだけの存在だった。もはや喋る気力もなく待っているだけの二人の前に、その食べ物が現れた。
「こちらになります」
「ありがとうございます」
涼しい顔で受け取ったが、思っていたサイズ感より二回りは大きい。なんだこれは。写真とは比べ物にならない大きさに驚愕する。
「なんか随分と大きいね」
「写真と見比べたらありえなくはないサイズ感だと思うんだが」
「食べれるかな」
「ま、多分大丈夫」
思っていたよりはるかに大きなサイズ。面食らう二人だったが、流石に大学生である。食べ切れる。そう念じて二人で食べる。
「なんとか食べ切れた」
「すごい量だったな」
「うん」
二人ともなんとか食べきることができた。昼食もしっかり食べたことを考えると、どう考えてもこれ以上何も入らない。しばらく動くことすら難しい。
もはや何も語るまいというくらいの二人になっていた。そこにあるのはもはや元気な大学生とは程遠い二人であった。二人ともスマートフォンを操作しながら時間が過ぎ去るのを待つ。強大な満腹感と小一時間格闘し、やっとのことで動けるようになった二人。時間は16時30分であった。
「チェックインができる」
「いくか」
「うん、行く」
会話する気力を少しずつ振り絞りながら、涼しい店内から出るという勇気も振り絞っていく。もはやボロ雑巾同然の二人だが、頑張って立ち上がる。会計を済ませ、店を出る。店に入った頃よりははるかに涼しくなった外気を肌で感じながら、宿へと歩いていく。
何事もなく進んでいる。晩ご飯のことは何も考えていないが、何かあることを信じて今は一休みだ。宿に向かって一直線に歩いていた。ふと上を見るとそこにあった。見逃しそうになっていた。
「ここだ」
「ここか」
宿に入り、ロビーで諸々の手続きを終わらせる。そのあと、部屋の番号と鍵を渡される。エレベーターで目的の階に移動し、部屋の前まで行く。鍵をかけて開けた先に広がる、ドラマで見るような普通の宿。
「今日はここで寝るぞ」
「はーい」
時間は17時。夕刻と呼ばれる時間になった。ここでもう一休みしてから、晩ご飯に出るとしよう。
「ただひたすらに暑い」
「喫茶店遠い」
散歩をしようと言ってみたものの、猛暑の餌食になるだけであった。もはや夏を越えた違う季節だろうというレベルの暑さである。
地元の街はもう少し涼しい。少なくとも歩いているだけで全身から汗をかくことは珍しい。駅前で人も多い。人混みから発せられる熱気を勘案しても意味不明と言うべきレベルの暑さに二人ともダウン寸前であった。
「喫茶店、見つけた」
「入るぞ」
仁が喫茶店を見つけた。早く入って涼しくなるために、今走って暑くなる。1秒でも早く涼しくなる方が圧倒的に良い。今すぐにでも入りたい。太陽が容赦なく照りつける中、二人は喫茶店へと足を運ぶ。
「いらっしゃいませ」
「二人で」
夏の外気とは対極にある涼しい店内。愉快な音楽が流れている。最近の音楽事情に詳しくない賢でもわかるくらい有名な曲だった。軽快なリズムと歌いやすい歌詞。最近の流行を踏襲したいわば商業的な歌かもしれない。メニューを見ながら、不思議なものを発見する。
「なんだろう、これ」
「なんだろうね」
「注文してみようか」
「そうだね」
それは、パイのような、パンケーキのような不思議な食べ物だった。写真の見た目から言えば、そんなに大きくないはずだ。二人とも注文が決まったので、店員を呼ぶ。
「これを二つ」
「かしこまりました」
店員との短い会話。飲み物は水が出てきているのでそれを飲む。いくら店内が涼しいとはいえ、灼熱の中を走ると汗が弾くのも時間がかかった。
「しかし暑いな」
「暑いね」
「一旦一休みだな」
「ここで休んだらホテルに行ってもよさそうなレベルだよ」
「そうだな。そうするか」
店の中の涼しさが異世界なんじゃないかと思うほどの暑さであった。これがニュースで話題になるほどの暑さの夏というものか。二人ともアウトドアではない。猛暑の中飛び出して遊ぶほどの勇気も元気もないのである。
今はただ涼しい店内で食べ物を待つだけの存在だった。もはや喋る気力もなく待っているだけの二人の前に、その食べ物が現れた。
「こちらになります」
「ありがとうございます」
涼しい顔で受け取ったが、思っていたサイズ感より二回りは大きい。なんだこれは。写真とは比べ物にならない大きさに驚愕する。
「なんか随分と大きいね」
「写真と見比べたらありえなくはないサイズ感だと思うんだが」
「食べれるかな」
「ま、多分大丈夫」
思っていたよりはるかに大きなサイズ。面食らう二人だったが、流石に大学生である。食べ切れる。そう念じて二人で食べる。
「なんとか食べ切れた」
「すごい量だったな」
「うん」
二人ともなんとか食べきることができた。昼食もしっかり食べたことを考えると、どう考えてもこれ以上何も入らない。しばらく動くことすら難しい。
もはや何も語るまいというくらいの二人になっていた。そこにあるのはもはや元気な大学生とは程遠い二人であった。二人ともスマートフォンを操作しながら時間が過ぎ去るのを待つ。強大な満腹感と小一時間格闘し、やっとのことで動けるようになった二人。時間は16時30分であった。
「チェックインができる」
「いくか」
「うん、行く」
会話する気力を少しずつ振り絞りながら、涼しい店内から出るという勇気も振り絞っていく。もはやボロ雑巾同然の二人だが、頑張って立ち上がる。会計を済ませ、店を出る。店に入った頃よりははるかに涼しくなった外気を肌で感じながら、宿へと歩いていく。
何事もなく進んでいる。晩ご飯のことは何も考えていないが、何かあることを信じて今は一休みだ。宿に向かって一直線に歩いていた。ふと上を見るとそこにあった。見逃しそうになっていた。
「ここだ」
「ここか」
宿に入り、ロビーで諸々の手続きを終わらせる。そのあと、部屋の番号と鍵を渡される。エレベーターで目的の階に移動し、部屋の前まで行く。鍵をかけて開けた先に広がる、ドラマで見るような普通の宿。
「今日はここで寝るぞ」
「はーい」
時間は17時。夕刻と呼ばれる時間になった。ここでもう一休みしてから、晩ご飯に出るとしよう。
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