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4章
帰宅
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賢と一緒に研究室を出る。まだまだドタバタ劇を繰り返すゼミ生を前に19時で退散。研究室を出てからバス停へと向かう。少しずつ暗くなる道を歩きながら、話をする。
「泊まりって言っても服とかなんもない」
「俺の部屋にあるやつ使いなよ」
「あ、そうする」
賢の部屋にあるものが使えるなら、楽ができるし家に戻らなくてもいい。ゴロゴロしながら何も気にすることなく本が読める。
賢は研究で忙しいかもしれないが、気楽でいられることは確かだった。バスが来る。そして、乗り込んで座席に座ってスマートフォンを取り出す。家に連絡をしてからSNSも見る。特に変わった動きはなさそうなので、スマートフォンを閉じる。
賢は相変わらず資料を見ている。バスに乗っている時間はだいたい10分。仁がスマートフォンを見終わり、賢に目を向けたところで最寄りのバス停への案内が出た。
「着いたよー」
「はいよ」
資料をじっくり読んでいる賢に声をかけて、降りる準備をする。カバンを持って、定期を出して、降りる準備。
程なく停車。そこで立ち上がり定期を運転手に見せて降りる。
今日は家に帰らないから、いつもと違う道を歩く。いくら夏休み終盤とはいえ、まだまだ暑さの残る街を歩きながら賢の家へと向かう。
「ただいまー」
「ただいま」
久しぶりに来る賢の家。前の時からほとんど変わっていない。前より研究資料が散らかっている気がする。2人で住むには少しだけ狭いその部屋に、賢と一緒に座る。普段床に座らない2人は、座れば意外と身長差がないことに気づく。
「賢って足長いの?」
「まぁまぁかな」
「そっか」
「座高が意外と変わらないことに気づいたな」
「賢は知ってた?」
「まぁな」
やっぱり賢はなんでも気付く。仁にはない何かを持っていた。
賢の部屋は実家と違う雰囲気だが、落ち着ける空間の一つだ。そんな状況で、賢が何かをするのかキッチンに立った。
「お腹空かない?」
「言われたら空いてきた!」
「ご飯にしよっか」
「そうする」
「残り物を炒めた炒飯だけど」
「美味しそう!」
「そうか、それなら良かった」
出てきたのは素朴な炒飯だが、具材も相まって美味しそうだった。卵とベーコンと玉ねぎ。食べてみたらやっぱい美味しい。仁はほとんど料理経験がないが、こんなにも美味しい料理が作れることが羨ましい。そんなことも考えながら食べ続ける。程なくして皿の上が空になる。
「ご馳走様でした」
「ごちそうさまでした」
ご飯を食べ終わり、2人で食器を流す。ご飯を持ってきてもらったので2人分流したかったのだが、賢が先に持っていってしまった。なぜか悔しい気持ちになったが、なぜかはさっぱり分からない。そんなこんなでまた二人は床にへたり込む。
真夏の暑い中を歩いてきて、クーラーのかかった部屋でご飯を食べた。しばらくはひと段落だ。もう少ししてからまた動き始めよう。旅行疲れも残っているだろう二人は、のんびり談笑することにした。夏休みももうすぐ終わる。自分の信じた道に、一歩ずつ進むんだ。
「泊まりって言っても服とかなんもない」
「俺の部屋にあるやつ使いなよ」
「あ、そうする」
賢の部屋にあるものが使えるなら、楽ができるし家に戻らなくてもいい。ゴロゴロしながら何も気にすることなく本が読める。
賢は研究で忙しいかもしれないが、気楽でいられることは確かだった。バスが来る。そして、乗り込んで座席に座ってスマートフォンを取り出す。家に連絡をしてからSNSも見る。特に変わった動きはなさそうなので、スマートフォンを閉じる。
賢は相変わらず資料を見ている。バスに乗っている時間はだいたい10分。仁がスマートフォンを見終わり、賢に目を向けたところで最寄りのバス停への案内が出た。
「着いたよー」
「はいよ」
資料をじっくり読んでいる賢に声をかけて、降りる準備をする。カバンを持って、定期を出して、降りる準備。
程なく停車。そこで立ち上がり定期を運転手に見せて降りる。
今日は家に帰らないから、いつもと違う道を歩く。いくら夏休み終盤とはいえ、まだまだ暑さの残る街を歩きながら賢の家へと向かう。
「ただいまー」
「ただいま」
久しぶりに来る賢の家。前の時からほとんど変わっていない。前より研究資料が散らかっている気がする。2人で住むには少しだけ狭いその部屋に、賢と一緒に座る。普段床に座らない2人は、座れば意外と身長差がないことに気づく。
「賢って足長いの?」
「まぁまぁかな」
「そっか」
「座高が意外と変わらないことに気づいたな」
「賢は知ってた?」
「まぁな」
やっぱり賢はなんでも気付く。仁にはない何かを持っていた。
賢の部屋は実家と違う雰囲気だが、落ち着ける空間の一つだ。そんな状況で、賢が何かをするのかキッチンに立った。
「お腹空かない?」
「言われたら空いてきた!」
「ご飯にしよっか」
「そうする」
「残り物を炒めた炒飯だけど」
「美味しそう!」
「そうか、それなら良かった」
出てきたのは素朴な炒飯だが、具材も相まって美味しそうだった。卵とベーコンと玉ねぎ。食べてみたらやっぱい美味しい。仁はほとんど料理経験がないが、こんなにも美味しい料理が作れることが羨ましい。そんなことも考えながら食べ続ける。程なくして皿の上が空になる。
「ご馳走様でした」
「ごちそうさまでした」
ご飯を食べ終わり、2人で食器を流す。ご飯を持ってきてもらったので2人分流したかったのだが、賢が先に持っていってしまった。なぜか悔しい気持ちになったが、なぜかはさっぱり分からない。そんなこんなでまた二人は床にへたり込む。
真夏の暑い中を歩いてきて、クーラーのかかった部屋でご飯を食べた。しばらくはひと段落だ。もう少ししてからまた動き始めよう。旅行疲れも残っているだろう二人は、のんびり談笑することにした。夏休みももうすぐ終わる。自分の信じた道に、一歩ずつ進むんだ。
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