軌跡 Rev.1

ぽよ

文字の大きさ
上 下
52 / 107
5章

静かな朝

しおりを挟む
「そろそろ後期始まっちゃうよー」
「めんどくさいな」
「本当にめんどくさい」
「おれも2回目の中間発表だし、そろそろ論文も書き始める。忙しくなってくる」
「俺もだ」
「頑張れ。授業が忙しいだろうが、単位さえ取れればなんとかなる」
「うん、分かった」

 次の日の朝、布団から出れずにゴロゴロする。ゴロゴロしながらこれからの話をする。いよいよながら後期が始まる。授業もレポートもある。賢には卒論がある。2人とも忙しくなるだろうが、何事も一つずつ終わらせていく必要がある。

「まぁ、あれだ」
「なにー?」
「めんどくさいな」
「うん」

 何も動かずだらだらごろごろ。大学が始まるというめんどくささに打ちひしがれている。何一つやる気にならないまま時間だけが過ぎていく。たまにはこういう時間があってもいいのではないかと思う。後期が始まる。講義も始まる。ドタバタ劇がスタートする。その前に一休み。そんな時間あってもいいではないか。そんな気持ちで、ゴロゴロしている。
しおりを挟む

処理中です...