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5章
賢の部屋にて
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「泊まりだ」
「泊まりだな。久しぶりな気がする」
バスに乗りながら、そんな会話をする。バスを待って乗っただけなのに、一気に暗くなった気がする。後期が始まっただけあって人はいつもより多かった。それでもいつも通りバスは進む。何一つ変わらない日常がそこにはある。
珍しく停留所にそこそこの頻度で止まりながらバスは駅へと向かっていく。15分ほどかかって、最寄りのバス停へと到着。
「降りまーす」
「降りまーす」
二人で降りる。と言っても駅にも一番近いバス停だから、学生はぞろぞろと降りていくのだが。久しぶりに賢の家に行く。着替えはないが、貸してもらえれば明日の大学ぐらいならきっと凌げる。賢と二人で歩きながら、明日のこともしっかり考えておく。それも大事。10分ほど歩けば前にもきたアパートにたどり着く。
「ただいま」
「ただいまー」
「掃除とか特にしてないけど、大丈夫だよね」
「うん、布団さえ敷ければ」
前と変わらぬ風景の部屋が視界に広がっていた。布団さえ敷ければきっと眠れる。前に泊まった時と変わらず居心地の良い部屋だった。二人で座ってひと段落したところで、賢が立ち上がる。
「そろそろご飯にするか」
「あ、ご飯。忘れてた」
「今日はパスタ」
「やったー」
美味しいパスタが出てくる。多分。そんなことを思いながら賢がキッチンに立つ姿を眺める。眩しい。改めてこの人が好きなんだと再確認する。お湯が沸騰したところでパスタを入れてしばし待つ。
ほどなくして出来上がったパスタにレトルトのソースをかける。これだけで美味しくなるんだから、やっぱり食品メーカーはすごい。もちろん賢の調理技術もすごい。
賢が皿に盛って、こっちまで盛ってきたパスタを食べる。やっぱり美味しい。俺もこれくらい料理ができるようになりたい。
「ところでさ」
「どうした」
「同棲ってなると、スペース足りない気がするんだけど」
「まぁ、そこは引っ越すことも考えるかも」
「大学の近くとか?」
「まぁ、ここよりは大学に遠くならない範囲で」
「そっかぁ」
同棲ということに関して、まだ仁には実感がなかった。しかし、考えていかなければこの先の関係が続いていかないことだけは、はっきりと分かっていた。その未来について、しっかり考えておきたい。
「仁の親との話もあるし、俺も多分諸々準備がある。そもそも仁自体の心の準備もあるしな。まぁ、焦らずいっても問題ないと思う」
「そっかぁ。まぁでも、明日には親に話をしてみるよ」
「おうそうか。分かった。また色々反応とか教えて欲しい」
「うん、わかった」
少しずつ、前に進む。そのために必要なことを、一つずつこなす。そういう準備もきっと必要だ。目のパスタを食べながら考える。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
話をしながらパスタも休まず食べていた。無意識でも食べるほど美味しかったということだろうか。食べ終わった食器は、賢が回収して持っていってしまった。今日こそは、自分で流そうと思っていたが、無念。
すっかり暗くなった空を見ながら、明日のことを考える。もちろん大学で講義がある。明日は昼からだから、のんびりできる。けど、賢と一緒に大学に行こう。その方が色々と楽しい。
「さてと、ゴロゴロするか」
「布団敷いてゴロゴロする」
さて、というところで布団を取り出して、前と同じ部分に敷く。不自由なく転がることができる。以前のようにしていたら賢から話しかけられた。
「俺の服を着るのは良いけど、サイズ合うのか?」
「あ、そういえばそうかも」
身長が10センチも違えば上はともかく下が履けないかもしれない。今のうちに合わせておこうか。賢からもらった服を合わせてみる。実際に履いてみる。思ってたより合わないかもしれない。
恋人の服を着て大学に行くなんて初めてだが、案外緊張しないのかもしれない。当然ながらいつもよりゆったりした感じになる。それでも、歩けるし講義も聞けそうなので、明日はこれで大学に行くことに決めた。
「卒論やるかぁ」
「頑張るねー」
「今日やってみて終わる気配がなさすぎてな」
「なるほど」
唐突な賢の宣言だった。半分くらい分かっていないが、そういうものなんだろうか。だらだらしながら布団に転がりながら、そんなことを考える。
「ま、仁も4年になればわかるよ」
「そっかぁ」
「今はのんびりできることをやれば良い」
「うん」
何一つ具体的なことが浮かばないまま会話が終わる。
ゆったりと時間が過ぎていく。気がつけば時間22時だった。普段なら起きてる時間のはずなのに、やけに眠気が襲ってくる。
「そろそろ寝るか?」
「そうしようかなぁ」
「おやすみだ」
「また明日ー」
今着ている寝巻きよりも遥かにゆったりした時間の中で過ごす。明日も大学。同棲のことは色々あるけど、賢と一緒に考えられるならきっと大丈夫。そう信じて布団に潜りながら眠りに落ちる。これからも、二人でいろんなことができることを祈りながら。
「泊まりだな。久しぶりな気がする」
バスに乗りながら、そんな会話をする。バスを待って乗っただけなのに、一気に暗くなった気がする。後期が始まっただけあって人はいつもより多かった。それでもいつも通りバスは進む。何一つ変わらない日常がそこにはある。
珍しく停留所にそこそこの頻度で止まりながらバスは駅へと向かっていく。15分ほどかかって、最寄りのバス停へと到着。
「降りまーす」
「降りまーす」
二人で降りる。と言っても駅にも一番近いバス停だから、学生はぞろぞろと降りていくのだが。久しぶりに賢の家に行く。着替えはないが、貸してもらえれば明日の大学ぐらいならきっと凌げる。賢と二人で歩きながら、明日のこともしっかり考えておく。それも大事。10分ほど歩けば前にもきたアパートにたどり着く。
「ただいま」
「ただいまー」
「掃除とか特にしてないけど、大丈夫だよね」
「うん、布団さえ敷ければ」
前と変わらぬ風景の部屋が視界に広がっていた。布団さえ敷ければきっと眠れる。前に泊まった時と変わらず居心地の良い部屋だった。二人で座ってひと段落したところで、賢が立ち上がる。
「そろそろご飯にするか」
「あ、ご飯。忘れてた」
「今日はパスタ」
「やったー」
美味しいパスタが出てくる。多分。そんなことを思いながら賢がキッチンに立つ姿を眺める。眩しい。改めてこの人が好きなんだと再確認する。お湯が沸騰したところでパスタを入れてしばし待つ。
ほどなくして出来上がったパスタにレトルトのソースをかける。これだけで美味しくなるんだから、やっぱり食品メーカーはすごい。もちろん賢の調理技術もすごい。
賢が皿に盛って、こっちまで盛ってきたパスタを食べる。やっぱり美味しい。俺もこれくらい料理ができるようになりたい。
「ところでさ」
「どうした」
「同棲ってなると、スペース足りない気がするんだけど」
「まぁ、そこは引っ越すことも考えるかも」
「大学の近くとか?」
「まぁ、ここよりは大学に遠くならない範囲で」
「そっかぁ」
同棲ということに関して、まだ仁には実感がなかった。しかし、考えていかなければこの先の関係が続いていかないことだけは、はっきりと分かっていた。その未来について、しっかり考えておきたい。
「仁の親との話もあるし、俺も多分諸々準備がある。そもそも仁自体の心の準備もあるしな。まぁ、焦らずいっても問題ないと思う」
「そっかぁ。まぁでも、明日には親に話をしてみるよ」
「おうそうか。分かった。また色々反応とか教えて欲しい」
「うん、わかった」
少しずつ、前に進む。そのために必要なことを、一つずつこなす。そういう準備もきっと必要だ。目のパスタを食べながら考える。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
話をしながらパスタも休まず食べていた。無意識でも食べるほど美味しかったということだろうか。食べ終わった食器は、賢が回収して持っていってしまった。今日こそは、自分で流そうと思っていたが、無念。
すっかり暗くなった空を見ながら、明日のことを考える。もちろん大学で講義がある。明日は昼からだから、のんびりできる。けど、賢と一緒に大学に行こう。その方が色々と楽しい。
「さてと、ゴロゴロするか」
「布団敷いてゴロゴロする」
さて、というところで布団を取り出して、前と同じ部分に敷く。不自由なく転がることができる。以前のようにしていたら賢から話しかけられた。
「俺の服を着るのは良いけど、サイズ合うのか?」
「あ、そういえばそうかも」
身長が10センチも違えば上はともかく下が履けないかもしれない。今のうちに合わせておこうか。賢からもらった服を合わせてみる。実際に履いてみる。思ってたより合わないかもしれない。
恋人の服を着て大学に行くなんて初めてだが、案外緊張しないのかもしれない。当然ながらいつもよりゆったりした感じになる。それでも、歩けるし講義も聞けそうなので、明日はこれで大学に行くことに決めた。
「卒論やるかぁ」
「頑張るねー」
「今日やってみて終わる気配がなさすぎてな」
「なるほど」
唐突な賢の宣言だった。半分くらい分かっていないが、そういうものなんだろうか。だらだらしながら布団に転がりながら、そんなことを考える。
「ま、仁も4年になればわかるよ」
「そっかぁ」
「今はのんびりできることをやれば良い」
「うん」
何一つ具体的なことが浮かばないまま会話が終わる。
ゆったりと時間が過ぎていく。気がつけば時間22時だった。普段なら起きてる時間のはずなのに、やけに眠気が襲ってくる。
「そろそろ寝るか?」
「そうしようかなぁ」
「おやすみだ」
「また明日ー」
今着ている寝巻きよりも遥かにゆったりした時間の中で過ごす。明日も大学。同棲のことは色々あるけど、賢と一緒に考えられるならきっと大丈夫。そう信じて布団に潜りながら眠りに落ちる。これからも、二人でいろんなことができることを祈りながら。
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