軌跡 Rev.1

ぽよ

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5章

未来に向けて

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 食堂で昼食を食べている。いつも通りの注文をして、いつも通り先に座って食べる。何気なく続く日常の一コマ。そんな中でも、今後の話をする。仁は本を読むばっかりだったが、賢にアンケートをしてみたらいいんじゃないかと提案してもらった。アンケートを答えたことはあるけど、したことはなかった。
 どんな風に作ればいいのかもわからなかった。ご飯を食べながら考える。しかし、何から考えればいいかさっぱり分からない。賢は相変わらず卒論で忙しいみたいだし、どうすればいいのか分からないというのもある。何をするべきか。

「アンケートかぁ」
「アンケートだな」
「ま、俺の研究室のボスに聞いてもいいんだろうし、それっぽい専攻の教授にも聞いてみな」
「なるほど、うん」
「大体なんとかなるから」
「ありがとう!聞いてみる」

 教授の研究室に行くというのはもっと時が経ってからだと思っていた。実はそうではないらしい。なんて思いながら食べ終わった昼ごはんを眺める。賢はもう食べ終わっていた。仁が遅いのか賢が遅いのかは分からない。けれど、問題がないので別に気にしない。
 2人とも食べ終わったところで食器を流してから、食堂を出る。これからの動きをどうするか、何も決めていない。

「この後どうする?」
「用事とかある?」
「大学にはない。けど、今日は家に帰って同棲の話とかもしなきゃいけない」
「なるほどね」
「だから15時ぐらいに大学を出るかも」
「了解」

 喫緊の問題は、アンケートと同棲。同棲は、できることなら三年に上がったタイミングでしたい。春休みもあるし、準備もできる。研究棟まで2人で歩きながら、同棲に必要なものを考える。家具、家電、布団、洗面道具、覚悟。いろんなものを準備しなければならない。
 その時までに、準備ができるようにする。だからこそ、今この瞬間にでも相談はしておいた方がいいのだ。しかし今は、賢と研究室で色々とやりたいことがある。2人で歩きながら研究室の扉を開ける。今から少しだけ作戦会議だ。2人のこれからをより安定したものにするための。
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