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5章
次の日
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結局昨日は何事もなく、大きな波もなく、考え事と準備をしているうちに寝る時間になった。相談して、受け入れられたことで安心したのもあった。
今日は授業がないが、研究室に行こうと思う。報告もあるし、賢にも会いたい。時計を見ると、朝の9時。少しだけゆっくりな時間に家を出て、駅まで歩く。
改札を抜けてホームに出れば電車が来る。そんな何気ない日常の一コマも、同棲をすれば少なくなるのだろうか。一緒に住むことができるのは嬉しい。しかし、今ある日常から遠ざかるのが寂しいという気持ちがあるのも気付いていた。
電車に乗って少しすれば大学の最寄駅だ。少しの時間だが、車窓から見えるこの景色が好きだ。一緒に住む家から電車には乗れるのだろうか。そんなことを考えてしまう。そんなことを考えても仕方ないことは分かっている。それでも、少しだけ寂しいと思ってしまった。
電車を下り、改札を抜けて停留所の前まで行く。そこで、影を見つける。
「お、おはよー」
「おはよう」
「今日は授業あるのか?」
「ない。でもまぁ、賢に話すこともあるし研究室の方が勉強もできるし」
「そうか。勉強熱心だな仁は。でも、休むことも大事だぞ」
「うん、ありがとう」
いつもなら研究室についてる時間であろう賢と鉢合わせた。珍しく少しだけ遅い時間に来ているらしい。心配してもらえたことが嬉しいが、賢が遅いことにも理由があるのだろうか、ということも考える。何気なく歩いていたが、それが少しだけ気になった。しかし、ここでは聞けなかった。その代わり、昨日の話をしよう。
「昨日さ」
「うん」
「親に話をしたんだよ」
「うん」
「オッケーもらえた」
「本当か?」
「うん」
「やったじゃん!それなら色々忙しくなるな」
「色々気持ちの整理がついてないんだけどね」
「まぁ、その辺の話はゆっくり聞かせてもらえると助かる」
「うん、ありがとう」
「ま、今日も頑張ろうぜ。めんどくさいけどさ」
「うん、そうだね」
少しだけ泣きそうになってしまったが、堪える。バス乗り場について、少しの待ち時間の末にバスが来て、それに乗る。賢でもめんどくさいと思うことはやっぱりあるのか、ということを考えたがそれは失礼というものなのだろう。
今日もまた、ここから始まる。昨日までとはまた違う日常に変わっていくのだろう。何事もなく二人で並んで今日も大学に行く。
いつも通り揺られて、いつも通りのバス停に到着。研究棟まで2人で歩いて、研究室の扉を開ける。目のまでには前と変わらぬ喧騒がそこにあった。
「おはようございまーす」
「おじゃましまーす」
昨日の今日で状況が変化するとは思っていなかったが、やはり今日もまた研究が忙しいらしい。賢と隣の椅子に座り、お互いにやることを始める。
「今日はちょっと遅かったんだね」
「寝坊したんですよ」
「あー、なるほどね」
教授と賢が話をしていた。どうやら今日は寝坊らしい。たしかに普段から言えば1時間くらい寝坊してることになる。
なんだかんだありながらも賢は卒論をほぼ仕上げてるように見えていた。喧騒の中でも着々と進めていくのはもはやさすがというしかない。仁もこれからの方針について色々と考えていた。
ひと段落したらまた相談してもいいかもしれない。それにしても、この研究室の卒論を書いてなかった人たちは何日間徹夜しているんだと思うほど、毎日毎日議論をしているらしい。議論だけしても卒論は進まないのではと思うのだが、おそらく教授がなんとかしているのだろう。卒論の忙しさを何も知らない仁は、呑気にそんなことを考えていた。
「卒論はな、地獄だぞ」
「そうなの?」
「そうだ。地獄だ」
「そっかぁ」
「仁も、あれにはなるなよ」
「前にも聞いた気がする」
「前にも言った気がするな」
とても真剣なトーンで賢から言われる。仁が想像するより遥かに卒論は大変らしい。午前のうちは2人でゆったりしようと思っているが、まだまだ続くこんな喧騒の中でもできるのだろうか。そんな中でふと思う。
「そういえば、学祭の案内ってなんかあった?」
「何も聞いてないな」
「今年無いまである?」
「そんなことないだろうけど、まぁ、小規模かもしれんな」
今年の学祭の案内がまだ大々的には出ていないようだった。あと2週間ほどで始まるはずなのだが、トラブルでもあったのか。なんにせよ、学祭の間は授業がない。その間はゆっくりできるかもしれない。そんな淡い機会を抱きながら、本を読む。
「そういえば、卒論が終わったらそこから先は何するの?」
「何も決まってない。まぁ、同棲の準備とかはあるだろうな」
「なるほど。確かにね」
そうだ。同棲するんだ。今この瞬間には忘れていた。しかし、未来に目を向けるなら、忘れずに着々と進めていくべき事柄だった。少しずつでも、前に進んでいかなくちゃ。
同棲に向けた準備物を探したりすることもあるだろう。何から何まで順調に進むとも限らない。これからの忙しくなる生活をどうしていくのか。大学生活以外の部分での難点が、少しずつ見えようとしていた。
今日は授業がないが、研究室に行こうと思う。報告もあるし、賢にも会いたい。時計を見ると、朝の9時。少しだけゆっくりな時間に家を出て、駅まで歩く。
改札を抜けてホームに出れば電車が来る。そんな何気ない日常の一コマも、同棲をすれば少なくなるのだろうか。一緒に住むことができるのは嬉しい。しかし、今ある日常から遠ざかるのが寂しいという気持ちがあるのも気付いていた。
電車に乗って少しすれば大学の最寄駅だ。少しの時間だが、車窓から見えるこの景色が好きだ。一緒に住む家から電車には乗れるのだろうか。そんなことを考えてしまう。そんなことを考えても仕方ないことは分かっている。それでも、少しだけ寂しいと思ってしまった。
電車を下り、改札を抜けて停留所の前まで行く。そこで、影を見つける。
「お、おはよー」
「おはよう」
「今日は授業あるのか?」
「ない。でもまぁ、賢に話すこともあるし研究室の方が勉強もできるし」
「そうか。勉強熱心だな仁は。でも、休むことも大事だぞ」
「うん、ありがとう」
いつもなら研究室についてる時間であろう賢と鉢合わせた。珍しく少しだけ遅い時間に来ているらしい。心配してもらえたことが嬉しいが、賢が遅いことにも理由があるのだろうか、ということも考える。何気なく歩いていたが、それが少しだけ気になった。しかし、ここでは聞けなかった。その代わり、昨日の話をしよう。
「昨日さ」
「うん」
「親に話をしたんだよ」
「うん」
「オッケーもらえた」
「本当か?」
「うん」
「やったじゃん!それなら色々忙しくなるな」
「色々気持ちの整理がついてないんだけどね」
「まぁ、その辺の話はゆっくり聞かせてもらえると助かる」
「うん、ありがとう」
「ま、今日も頑張ろうぜ。めんどくさいけどさ」
「うん、そうだね」
少しだけ泣きそうになってしまったが、堪える。バス乗り場について、少しの待ち時間の末にバスが来て、それに乗る。賢でもめんどくさいと思うことはやっぱりあるのか、ということを考えたがそれは失礼というものなのだろう。
今日もまた、ここから始まる。昨日までとはまた違う日常に変わっていくのだろう。何事もなく二人で並んで今日も大学に行く。
いつも通り揺られて、いつも通りのバス停に到着。研究棟まで2人で歩いて、研究室の扉を開ける。目のまでには前と変わらぬ喧騒がそこにあった。
「おはようございまーす」
「おじゃましまーす」
昨日の今日で状況が変化するとは思っていなかったが、やはり今日もまた研究が忙しいらしい。賢と隣の椅子に座り、お互いにやることを始める。
「今日はちょっと遅かったんだね」
「寝坊したんですよ」
「あー、なるほどね」
教授と賢が話をしていた。どうやら今日は寝坊らしい。たしかに普段から言えば1時間くらい寝坊してることになる。
なんだかんだありながらも賢は卒論をほぼ仕上げてるように見えていた。喧騒の中でも着々と進めていくのはもはやさすがというしかない。仁もこれからの方針について色々と考えていた。
ひと段落したらまた相談してもいいかもしれない。それにしても、この研究室の卒論を書いてなかった人たちは何日間徹夜しているんだと思うほど、毎日毎日議論をしているらしい。議論だけしても卒論は進まないのではと思うのだが、おそらく教授がなんとかしているのだろう。卒論の忙しさを何も知らない仁は、呑気にそんなことを考えていた。
「卒論はな、地獄だぞ」
「そうなの?」
「そうだ。地獄だ」
「そっかぁ」
「仁も、あれにはなるなよ」
「前にも聞いた気がする」
「前にも言った気がするな」
とても真剣なトーンで賢から言われる。仁が想像するより遥かに卒論は大変らしい。午前のうちは2人でゆったりしようと思っているが、まだまだ続くこんな喧騒の中でもできるのだろうか。そんな中でふと思う。
「そういえば、学祭の案内ってなんかあった?」
「何も聞いてないな」
「今年無いまである?」
「そんなことないだろうけど、まぁ、小規模かもしれんな」
今年の学祭の案内がまだ大々的には出ていないようだった。あと2週間ほどで始まるはずなのだが、トラブルでもあったのか。なんにせよ、学祭の間は授業がない。その間はゆっくりできるかもしれない。そんな淡い機会を抱きながら、本を読む。
「そういえば、卒論が終わったらそこから先は何するの?」
「何も決まってない。まぁ、同棲の準備とかはあるだろうな」
「なるほど。確かにね」
そうだ。同棲するんだ。今この瞬間には忘れていた。しかし、未来に目を向けるなら、忘れずに着々と進めていくべき事柄だった。少しずつでも、前に進んでいかなくちゃ。
同棲に向けた準備物を探したりすることもあるだろう。何から何まで順調に進むとも限らない。これからの忙しくなる生活をどうしていくのか。大学生活以外の部分での難点が、少しずつ見えようとしていた。
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