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6章
午後
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「レポート終わらない」
「頑張れ。それが大学2年生の宿命だ」
「あと1000文字が埋まらない」
「気合だ。調べて書いて考えまくれ」
「そんなぁー」
静かな研究室でキーボードを叩く音だけが綺麗に響く。仁と賢しかいないこの部屋で、2人はゆったりと恋人同士の空間を作っていた。
仁がレポートをやる間つきっきりで賢が横から見ていた。時々動きが止まる。質疑応答が何度かあり、その度に見事に答えていた賢だったが、流石に限界が来た。そして、レポートが大詰めとなる頃、仁に調べてくれという返答をすることになったのだ。4限のスタートのチャイムが鳴り終わった頃、教授が研究室に顔を出す。
「はい、卒論オッケー。じゃ、しばらくお暇かな?また最終発表会の資料作りの時においで」
「ありがとうございます!解放されました。というわけにもいかないんですけどね。資料作りには後々来ます」
解放されたような声をあげる賢。卒論がようやく終わった。就職活動と並行してかなり根を詰めてやったのだ。これ以上長引くのは賢としても嫌だという思いがあった。そんな卒論とも、一旦お別れだ。
「ま、横の彼氏の面倒を見てあげな。教えてあげることは山ほどあるはずだよ。じゃあね」
そう言い残し、教授は教授室へと戻っていく。パタンと扉が閉まってから、パソコンに向き直る。レポートの山といいつつ几帳面にこなしている仁は、締め切り的にはまだ間に合うレポートをやっていたりする。そういう真面目さも、仁らしさなのだろう。しかし、今の流れで完全に緊張も集中も抜けてしまった。
「休憩にするか」
「そうする」
「5限もあるし」
「うん」
この後には5限もあるし、たまには休憩も必要だろう。と、思ったタイミングで思わぬものが帰ってきた。むしろいいタイミングだったかもしれない。
「ただいまー」
「お、賢じゃん」
「おつかれ。俺はもう卒論終わったよ」
「はえーな」
「まじかすげーな」
「じゃ、俺たちはちょっと外出てくるわ」
「はいよ」
卒論が終わってない奴らが帰ってきたのだ。賢と何気ない会話を交わした後は、全員が我先にと教授室へと向かっていった。今からここも、戦場になる。2人ともそう察知していた。
2人で荷物を急いでまとめて、研究室の扉に手をかける。
「ちょっと出るかー」
「出た後そのまま5限にいくだろうから、荷物は持っていくね」
「了解」
もうすでに喧騒に飲み込まれつつある研究室を後にする。仁のレポートも、寝かせてみれば見えることもあるだろう。研究室を出てから、エレベーターに乗る。
賢はひと段落の気持ちだった。ここからしばらくは仁のサポートに回ることになる。まぁでも、俺はここでひと段落かな。仁と一緒に過ごせる時間を増やそう。とそんなことを考えていると、仁に話しかけられる。
「図書館でいい?」
「え?あぁ、おう。いいぞ」
「おっけー」
久しぶりに図書館。ここ最近は行ってなかった気がするな。2人で話しながら図書館に向かう。仁はしばらくしたら5限がある。そうすればまた研究室に戻ろう。その時までは、2人で過ごす。図書館の扉を開け、セキュリティゲートを通り、階段を登る。自習スペースで横並びで座る。
「さて、やるか」
「おう、頑張れ」
仁がレポートを取り出す。俺が横から覗き込む。何気ない日常の中に溶け込む、幸せな時間。その一瞬を大事にしていきたい。
仁がレポートを書くのを見守ること1時間。そろそろ5限に向けた準備を始める頃だった。
「そろそろかな」
「そうだな」
「じゃあ、いってきまーす」
「はいよ、いってらっしゃい」
「また後で!」
「おっけー」
図書館を出てから、仁と解散する。短い時間だったが、2人の時間を過ごすことができてよかった。ここからはまた、研究室に戻って暇でも潰そうか。仁と2人で歩いた道を、1人で引き返す。仁は授業へと向かった。
「5限かぁ」
仁は、講義室に向かっていた。これから受ける5限のために。めんどくさいと思うが、これからの未来のために必要ならば、仕方のないことだった。5限の部屋に到着する。何やらざわざわしていた。不思議に思いながら、聞いてみる。
「なんかあったの?」
「学祭が中止だってよ」
「あー、なるほどね」
「なんか知ってんのか?」
「朝なんか色々あって、彼氏の教授から聞いてた」
「なるほどね」
「学祭中止かぁ」
「なんかする?」
「まぁ、デートしようとはなってるよ」
「なるほどね」
「お前はなんかするの?」
「まぁ、俺も彼女とデートかな」
「なるほどね」
恋人がいる人間同士、考えることはやはり似通ってくるものがある。しかし、学祭は来週だ。もう準備まで終わらせてるサークルもきっとあるはずだということを考えると、この結果はなぜここまで遅くなったのか、気になって仕方がない。そして、教授も来ない。
「5限の教授は?」
「学祭関係の事務仕事が急に出てきて、今日は休講だってさ」
「まじかよ」
「やってらんねえぜ」
「本当だな」
大学の事務仕事で休講なんて理屈が許されるのか疑問だが、仕方のないことなのだろうか。週明けから学祭であることを考えると、とも思うのだが。
しばらくざわざわした空気が続いた後、誰からともなく解散の空気に変わった。講義室を出ていく学生たち。仁もそれに漏れず出ていくことにした。
「しかし、学祭中止、なんでなんだろうな」
「さっぱり分からん」
「来週明けからだったのに、準備側は本当に大変な目にあっただろうな」
「まぁ、そうだろうなぁ」
「ま、お互いデート楽しもうぜ」
「おうともよ」
講義室を出て、講義棟を出たところで友人と解散する。まだ5限が始まって10分しか経っていない。今から研究棟に行けば、賢はびっくりするだろうか。どうなるだろうと言う気持ちと、楽しみな気持ちが入り混じる。1人で歩きながら、研究棟の前に来る。扉を開けて、少し歩いてエレベーターに乗る。目的の階に着いたら、少し歩く。研究室の前に立ち、扉を開ける。
「おじゃましまーす」
「おかえり、随分と早かったね」
「まぁね」
「学祭関係の事務仕事で休講?」
「ビンゴ、100点だよ」
「まぁ、うちの教授もそんなところだ」
「大変だね」
「そうだな。というわけで、今日は帰ろう」
「え?あぁ、うん」
何がどういうわけなのか分からないけれど、教授に相手をしてもらえないなら確かに変えるのも納得な気がする。
「おつかれさまでーす」
「おじゃましました」
さっき入ってきたばかりの研究室を出る。2人で廊下を歩きながら、研究棟を出る。まだまだ後期も始まったばかりで、この時間の外は明るかった。2人で歩きながら、バス停へと向かう。
「今日は家に帰りな。明日から土日で、明けから学祭だから、下準備というか、着替えとか持ってオレの部屋に来るといい」
「うん、わかった」
賢と話をしながら、今日は家に帰ることになった。家に帰って、準備して、明日の朝。バス停で2人で待ちながら、そんなことを考えていた。明日から二日間休みで、そのあとが学祭。まぁ、休みになったからフリーなんだけど。明日から賢と何をしようか。ゆっくり考えていた。
「頑張れ。それが大学2年生の宿命だ」
「あと1000文字が埋まらない」
「気合だ。調べて書いて考えまくれ」
「そんなぁー」
静かな研究室でキーボードを叩く音だけが綺麗に響く。仁と賢しかいないこの部屋で、2人はゆったりと恋人同士の空間を作っていた。
仁がレポートをやる間つきっきりで賢が横から見ていた。時々動きが止まる。質疑応答が何度かあり、その度に見事に答えていた賢だったが、流石に限界が来た。そして、レポートが大詰めとなる頃、仁に調べてくれという返答をすることになったのだ。4限のスタートのチャイムが鳴り終わった頃、教授が研究室に顔を出す。
「はい、卒論オッケー。じゃ、しばらくお暇かな?また最終発表会の資料作りの時においで」
「ありがとうございます!解放されました。というわけにもいかないんですけどね。資料作りには後々来ます」
解放されたような声をあげる賢。卒論がようやく終わった。就職活動と並行してかなり根を詰めてやったのだ。これ以上長引くのは賢としても嫌だという思いがあった。そんな卒論とも、一旦お別れだ。
「ま、横の彼氏の面倒を見てあげな。教えてあげることは山ほどあるはずだよ。じゃあね」
そう言い残し、教授は教授室へと戻っていく。パタンと扉が閉まってから、パソコンに向き直る。レポートの山といいつつ几帳面にこなしている仁は、締め切り的にはまだ間に合うレポートをやっていたりする。そういう真面目さも、仁らしさなのだろう。しかし、今の流れで完全に緊張も集中も抜けてしまった。
「休憩にするか」
「そうする」
「5限もあるし」
「うん」
この後には5限もあるし、たまには休憩も必要だろう。と、思ったタイミングで思わぬものが帰ってきた。むしろいいタイミングだったかもしれない。
「ただいまー」
「お、賢じゃん」
「おつかれ。俺はもう卒論終わったよ」
「はえーな」
「まじかすげーな」
「じゃ、俺たちはちょっと外出てくるわ」
「はいよ」
卒論が終わってない奴らが帰ってきたのだ。賢と何気ない会話を交わした後は、全員が我先にと教授室へと向かっていった。今からここも、戦場になる。2人ともそう察知していた。
2人で荷物を急いでまとめて、研究室の扉に手をかける。
「ちょっと出るかー」
「出た後そのまま5限にいくだろうから、荷物は持っていくね」
「了解」
もうすでに喧騒に飲み込まれつつある研究室を後にする。仁のレポートも、寝かせてみれば見えることもあるだろう。研究室を出てから、エレベーターに乗る。
賢はひと段落の気持ちだった。ここからしばらくは仁のサポートに回ることになる。まぁでも、俺はここでひと段落かな。仁と一緒に過ごせる時間を増やそう。とそんなことを考えていると、仁に話しかけられる。
「図書館でいい?」
「え?あぁ、おう。いいぞ」
「おっけー」
久しぶりに図書館。ここ最近は行ってなかった気がするな。2人で話しながら図書館に向かう。仁はしばらくしたら5限がある。そうすればまた研究室に戻ろう。その時までは、2人で過ごす。図書館の扉を開け、セキュリティゲートを通り、階段を登る。自習スペースで横並びで座る。
「さて、やるか」
「おう、頑張れ」
仁がレポートを取り出す。俺が横から覗き込む。何気ない日常の中に溶け込む、幸せな時間。その一瞬を大事にしていきたい。
仁がレポートを書くのを見守ること1時間。そろそろ5限に向けた準備を始める頃だった。
「そろそろかな」
「そうだな」
「じゃあ、いってきまーす」
「はいよ、いってらっしゃい」
「また後で!」
「おっけー」
図書館を出てから、仁と解散する。短い時間だったが、2人の時間を過ごすことができてよかった。ここからはまた、研究室に戻って暇でも潰そうか。仁と2人で歩いた道を、1人で引き返す。仁は授業へと向かった。
「5限かぁ」
仁は、講義室に向かっていた。これから受ける5限のために。めんどくさいと思うが、これからの未来のために必要ならば、仕方のないことだった。5限の部屋に到着する。何やらざわざわしていた。不思議に思いながら、聞いてみる。
「なんかあったの?」
「学祭が中止だってよ」
「あー、なるほどね」
「なんか知ってんのか?」
「朝なんか色々あって、彼氏の教授から聞いてた」
「なるほどね」
「学祭中止かぁ」
「なんかする?」
「まぁ、デートしようとはなってるよ」
「なるほどね」
「お前はなんかするの?」
「まぁ、俺も彼女とデートかな」
「なるほどね」
恋人がいる人間同士、考えることはやはり似通ってくるものがある。しかし、学祭は来週だ。もう準備まで終わらせてるサークルもきっとあるはずだということを考えると、この結果はなぜここまで遅くなったのか、気になって仕方がない。そして、教授も来ない。
「5限の教授は?」
「学祭関係の事務仕事が急に出てきて、今日は休講だってさ」
「まじかよ」
「やってらんねえぜ」
「本当だな」
大学の事務仕事で休講なんて理屈が許されるのか疑問だが、仕方のないことなのだろうか。週明けから学祭であることを考えると、とも思うのだが。
しばらくざわざわした空気が続いた後、誰からともなく解散の空気に変わった。講義室を出ていく学生たち。仁もそれに漏れず出ていくことにした。
「しかし、学祭中止、なんでなんだろうな」
「さっぱり分からん」
「来週明けからだったのに、準備側は本当に大変な目にあっただろうな」
「まぁ、そうだろうなぁ」
「ま、お互いデート楽しもうぜ」
「おうともよ」
講義室を出て、講義棟を出たところで友人と解散する。まだ5限が始まって10分しか経っていない。今から研究棟に行けば、賢はびっくりするだろうか。どうなるだろうと言う気持ちと、楽しみな気持ちが入り混じる。1人で歩きながら、研究棟の前に来る。扉を開けて、少し歩いてエレベーターに乗る。目的の階に着いたら、少し歩く。研究室の前に立ち、扉を開ける。
「おじゃましまーす」
「おかえり、随分と早かったね」
「まぁね」
「学祭関係の事務仕事で休講?」
「ビンゴ、100点だよ」
「まぁ、うちの教授もそんなところだ」
「大変だね」
「そうだな。というわけで、今日は帰ろう」
「え?あぁ、うん」
何がどういうわけなのか分からないけれど、教授に相手をしてもらえないなら確かに変えるのも納得な気がする。
「おつかれさまでーす」
「おじゃましました」
さっき入ってきたばかりの研究室を出る。2人で廊下を歩きながら、研究棟を出る。まだまだ後期も始まったばかりで、この時間の外は明るかった。2人で歩きながら、バス停へと向かう。
「今日は家に帰りな。明日から土日で、明けから学祭だから、下準備というか、着替えとか持ってオレの部屋に来るといい」
「うん、わかった」
賢と話をしながら、今日は家に帰ることになった。家に帰って、準備して、明日の朝。バス停で2人で待ちながら、そんなことを考えていた。明日から二日間休みで、そのあとが学祭。まぁ、休みになったからフリーなんだけど。明日から賢と何をしようか。ゆっくり考えていた。
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