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6章
午後
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「宝くじ売り場ってこの辺にあるんだね」
「駅の出口にある」
服屋があったショッピングモールから歩いて5分のところに宝くじ売り場がある。駅の出口だった。
「宝くじ売り場だ」
「ここ、正確には宝くじチャンスセンターとか言うらしい」
「チャンスっていうほど確率が高いのか気になる」
「宝くじミラクルセンターくらいの方が現実味があるんじゃないかな」
目的の宝くじ売り場に着くまでそんなことを話す。宝くじの本質は当たるかどうかではない、という思想の仁も、削ったり番号を読んだりしながら、当たるかどうかで楽しんでいる。会話の後は2人でもくもくと歩いていた。目の前にそれが見えた時、2人はびっくりした。
「なんでこんなに行列なの?」
「なんかあるんじゃない?」
「まぁいいや、並ぼうか」
宝くじ売り場から見える行列。軽く10メートルは並んでいる。広場の方に伸びる列の最後尾に並ぶ。少しずつ前に進む。今買っている人が思いのほか時間がかかっているようでかなりスローペースでの進行になっている。
「もう少しだな」
「もう少しだね、何買うの?」
「200円のスクラッチを2枚」
「随分と具体的だね」
「今売ってあるものはなんとなく把握してあるからな」
「宝くじってそういうものだっけ」
「世間一般ではおそらく違う」
「だよね」
「というかさっき通りかかった時に確認してただけなんだけど」
「なんだ、そういうことか」
2人で笑い合いながら、少しずつ宝くじ売り場に近づいていく。5分ほどさらに歩いたところで、窓口の前に来た。
200円のスクラッチを2枚買ってから、会計を済ませて横に捌ける。駅の方向に捌けてから、椅子を探す。大阪の中でも大都会に分類される駅だけあってなんでもあるが、欲しいものがすぐに見つかるわけではない。2人は無意識に喫茶店を探していたが、どこにあるのかさっぱりわからなかった。
「喫茶店、どこ?」
「全然分からない」
「あ、あれだ」
「どれ?」
「あれあれ」
「あ、あれか」
見つけた駅の中の喫茶店に向かって歩く。釣り看板の通りに歩いて行き、ようやく見つけた喫茶店。2人で迷子になりながら15分ほど歩いた。席を取るまでもなく空いている店内で注文を済ませ、飲み物を受け取ってから席に座る。
「思ってたより空いてたね」
「昼ご飯食べてるからかな」
「そういえばそんな時間かぁ」
「これ終わったら行くか」
「ここで食べてもよさそう」
「なるほど、それもありだ」
「と思ったけどさっき食べたね」
「牛丼とローストビーフ丼みたいなやつ食べた、そういえば」
「じゃあ、スクラッチ削ろう」
「おう」
2人で十円玉を探してから、8個ある銀の部分を削る。順々に削るが一向に当たらない。そして8個まで削り終わる。
「当たらなかったねー」
「うむ、スクラッチとはこういうものだ」
「どういうこと?」
「当たるかどうかじゃない。削っているときのドキドキ感を楽しむんだよ」
「なるほど、確かにそれはそうだ」
「今回は外れちゃったけど、また次は当たるといいなぁというのもスクラッチの醍醐味」
「それは確かに」
「ま、そんな日もある」
「うん」
「飲み物も飲んだし、行くか」
「はーい」
今日はまだ昼過ぎ。夕方と呼ぶにはまだ早いが、午前中から随分長い時間を過ごしている気がする。それだけ退屈なわけではなくて、色んなことを経験してるからだと思っている。
今から駅を歩いて電車に乗ったら家に戻る。まだまだこれからデートの続き。たくさんのことができたお得感に浸りながら、人混みの中を歩いていた。
2人で駅を歩いていると、迷子になった。吊り看板を見たり、マップを見たりしながら歩く。
「駅の改札はこっち」
「あっちじゃない?」
「え?」
喫茶店を出て改札に向かう。今から家に帰ってごろごろする。2人で駅の中を歩いているが、一向に目当ての改札が見つからない。様々な線が複合的に交差しているこの駅は、改札を探すだけでも一苦労だった。
「あれだ!」
「どれ?」
「あれあれ」
「あれか」
指で示した先に乗る路線の吊り看板。2人とも迷子になること30分。疲れ果てていた。
「やっと着いた」
「完全にダンジョンだったね」
「今日の朝はすんなりと出れたのにな」
「ほんとにね」
2人で改札を目指して歩いていく。目の前に広がる朝の同じ光景。進めば進むほどなぜ迷っていたのかわからないし、なぜ朝はすんなりと行けたのかもわからない。
改札を抜けて階段を登りホームに出る。5分ほど待てば電車が来る。休日の昼だけあって、かなりの人が乗り込んでいた。2人が乗り込む前にその人たちが降りていく。空いた車内でゆったり座る2人。賢が気になっていたことを聞く。
「今日、どんな感じだった?」
「どんな感じ?」
「楽しかったか?」
「楽しかったよ!」
「そりゃよかった」
今日はかなり仁を連れ回した。それで仁に負担がかかってないか心配だった。どうやらそんな心配も不要だったようだ。電車に揺られながら、5連休のことを考える。今日は2日目。明日も繁華街に出る予定。明日は何をしようか。服と靴は見た。明日は買い物と言っても本を見にいくことにするか。卒論が終わった後、ゆっくりできる時間は意外と短いかもしれない。
資料を作ったり、これまでの資料の整理が完璧に終わってない分を終わらせたりする。今月中はおそらく何事もなく過ごせるだろうが、来月から少しだけ忙しいかもしれない。電車で何駅か乗った後乗り換えて、家の最寄駅へと向かっていく。さっきの混乱が嘘かのようにすんなりと電車を乗り換え、駅のホームで電車を待つ。
「家に帰ったら何する?」
「特に何も決まってないが、したいことあるか?」
「料理」
「料理?」
「練習的な」
「なるほどね。いいぞ」
「やったー」
「卵焼きからだな」
「卵焼き!」
電車に揺られながら次の予定を立てる。予定と言いつつすることは家の中で料理なのだけれど。高架の上を走る電車の上で揺られること10分。最寄駅に到着した。
「着いたな」
「着いた!」
「んじゃ、帰りますか」
「はーい」
電車を降り階段を下って改札を抜ける。出口から出たら秋晴れが広がっていた。ここから家へと帰る。大事な大事な時間を、焦らずゆっくり過ごしていこう。
「駅の出口にある」
服屋があったショッピングモールから歩いて5分のところに宝くじ売り場がある。駅の出口だった。
「宝くじ売り場だ」
「ここ、正確には宝くじチャンスセンターとか言うらしい」
「チャンスっていうほど確率が高いのか気になる」
「宝くじミラクルセンターくらいの方が現実味があるんじゃないかな」
目的の宝くじ売り場に着くまでそんなことを話す。宝くじの本質は当たるかどうかではない、という思想の仁も、削ったり番号を読んだりしながら、当たるかどうかで楽しんでいる。会話の後は2人でもくもくと歩いていた。目の前にそれが見えた時、2人はびっくりした。
「なんでこんなに行列なの?」
「なんかあるんじゃない?」
「まぁいいや、並ぼうか」
宝くじ売り場から見える行列。軽く10メートルは並んでいる。広場の方に伸びる列の最後尾に並ぶ。少しずつ前に進む。今買っている人が思いのほか時間がかかっているようでかなりスローペースでの進行になっている。
「もう少しだな」
「もう少しだね、何買うの?」
「200円のスクラッチを2枚」
「随分と具体的だね」
「今売ってあるものはなんとなく把握してあるからな」
「宝くじってそういうものだっけ」
「世間一般ではおそらく違う」
「だよね」
「というかさっき通りかかった時に確認してただけなんだけど」
「なんだ、そういうことか」
2人で笑い合いながら、少しずつ宝くじ売り場に近づいていく。5分ほどさらに歩いたところで、窓口の前に来た。
200円のスクラッチを2枚買ってから、会計を済ませて横に捌ける。駅の方向に捌けてから、椅子を探す。大阪の中でも大都会に分類される駅だけあってなんでもあるが、欲しいものがすぐに見つかるわけではない。2人は無意識に喫茶店を探していたが、どこにあるのかさっぱりわからなかった。
「喫茶店、どこ?」
「全然分からない」
「あ、あれだ」
「どれ?」
「あれあれ」
「あ、あれか」
見つけた駅の中の喫茶店に向かって歩く。釣り看板の通りに歩いて行き、ようやく見つけた喫茶店。2人で迷子になりながら15分ほど歩いた。席を取るまでもなく空いている店内で注文を済ませ、飲み物を受け取ってから席に座る。
「思ってたより空いてたね」
「昼ご飯食べてるからかな」
「そういえばそんな時間かぁ」
「これ終わったら行くか」
「ここで食べてもよさそう」
「なるほど、それもありだ」
「と思ったけどさっき食べたね」
「牛丼とローストビーフ丼みたいなやつ食べた、そういえば」
「じゃあ、スクラッチ削ろう」
「おう」
2人で十円玉を探してから、8個ある銀の部分を削る。順々に削るが一向に当たらない。そして8個まで削り終わる。
「当たらなかったねー」
「うむ、スクラッチとはこういうものだ」
「どういうこと?」
「当たるかどうかじゃない。削っているときのドキドキ感を楽しむんだよ」
「なるほど、確かにそれはそうだ」
「今回は外れちゃったけど、また次は当たるといいなぁというのもスクラッチの醍醐味」
「それは確かに」
「ま、そんな日もある」
「うん」
「飲み物も飲んだし、行くか」
「はーい」
今日はまだ昼過ぎ。夕方と呼ぶにはまだ早いが、午前中から随分長い時間を過ごしている気がする。それだけ退屈なわけではなくて、色んなことを経験してるからだと思っている。
今から駅を歩いて電車に乗ったら家に戻る。まだまだこれからデートの続き。たくさんのことができたお得感に浸りながら、人混みの中を歩いていた。
2人で駅を歩いていると、迷子になった。吊り看板を見たり、マップを見たりしながら歩く。
「駅の改札はこっち」
「あっちじゃない?」
「え?」
喫茶店を出て改札に向かう。今から家に帰ってごろごろする。2人で駅の中を歩いているが、一向に目当ての改札が見つからない。様々な線が複合的に交差しているこの駅は、改札を探すだけでも一苦労だった。
「あれだ!」
「どれ?」
「あれあれ」
「あれか」
指で示した先に乗る路線の吊り看板。2人とも迷子になること30分。疲れ果てていた。
「やっと着いた」
「完全にダンジョンだったね」
「今日の朝はすんなりと出れたのにな」
「ほんとにね」
2人で改札を目指して歩いていく。目の前に広がる朝の同じ光景。進めば進むほどなぜ迷っていたのかわからないし、なぜ朝はすんなりと行けたのかもわからない。
改札を抜けて階段を登りホームに出る。5分ほど待てば電車が来る。休日の昼だけあって、かなりの人が乗り込んでいた。2人が乗り込む前にその人たちが降りていく。空いた車内でゆったり座る2人。賢が気になっていたことを聞く。
「今日、どんな感じだった?」
「どんな感じ?」
「楽しかったか?」
「楽しかったよ!」
「そりゃよかった」
今日はかなり仁を連れ回した。それで仁に負担がかかってないか心配だった。どうやらそんな心配も不要だったようだ。電車に揺られながら、5連休のことを考える。今日は2日目。明日も繁華街に出る予定。明日は何をしようか。服と靴は見た。明日は買い物と言っても本を見にいくことにするか。卒論が終わった後、ゆっくりできる時間は意外と短いかもしれない。
資料を作ったり、これまでの資料の整理が完璧に終わってない分を終わらせたりする。今月中はおそらく何事もなく過ごせるだろうが、来月から少しだけ忙しいかもしれない。電車で何駅か乗った後乗り換えて、家の最寄駅へと向かっていく。さっきの混乱が嘘かのようにすんなりと電車を乗り換え、駅のホームで電車を待つ。
「家に帰ったら何する?」
「特に何も決まってないが、したいことあるか?」
「料理」
「料理?」
「練習的な」
「なるほどね。いいぞ」
「やったー」
「卵焼きからだな」
「卵焼き!」
電車に揺られながら次の予定を立てる。予定と言いつつすることは家の中で料理なのだけれど。高架の上を走る電車の上で揺られること10分。最寄駅に到着した。
「着いたな」
「着いた!」
「んじゃ、帰りますか」
「はーい」
電車を降り階段を下って改札を抜ける。出口から出たら秋晴れが広がっていた。ここから家へと帰る。大事な大事な時間を、焦らずゆっくり過ごしていこう。
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