完全に疲弊しきった官公庁勤務の女の子と同居するだけの話

ぽよ

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20話

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 17時のチャイムが鳴る。今日の仕事はここまでだ。午後の仕事はここ最近で一番の集中を見せた。17時で帰ると伝えたが、アクシデントもミスもないように全力で仕事を捌いた。

「お疲れ様でーす」
「お疲れ様です」

 事務所で荷物をまとめて、退勤の挨拶をして、忘れ物がないか確認して、更衣室へと向かう。
 いつも通り着替えて、いつも通りタイムカードを通す。そこにある日常に変化はない。自分を律するための労働だった。それがなければただ自堕落なニートになっていたことは間違いない。駅までの道を歩いていろんなことを考える。
仕事が終わった途端、頭の中は冬子さんのことばかりを考えていた。いろんなパターンが考え得る。その中で、冬子さんが考えた最適解を受け入れるしかない。そのために、まずは冬子さんに会うしかなかった。
 ホームに出て、電車を待てばすぐにきた。そこから2駅で家の最寄駅だ。そんな時に冬子さんから連絡が来た。

「着きました。今どこですか?」
「え?早くないですか?今から電車なので10分くらい待っててください」
「分かりました」

 予定より早い時間の到着に焦る。17時30分とはなんだったのか。気持ちだけが順調に焦る。それでも電車が早くなることはなく、定刻に到着する。

「着きました」
「改札前にいます」
「分かりました」

 ラインで短い会話をしながら改札に向かうと、見知った人が改札を抜けた向こう側に立っていた。
 仕事終わりで人が多い中、それを避けながら待っていたらしい。

「お仕事お疲れ様です」
「ありがとうございます。冬子さんも2時間の旅路お疲れ様です」
「私は電車乗るだけですからね」
「それ、結構大変なことですけどね」

 苦笑しながら返事をすると、冬子さんも笑ってくれた。しかし、その顔には疲れと戸惑いが見えていたような気がした。
 駅構内から歩き、家を目指す。横に冬子さんがいる。この前と同じだった。

「買い物とかあります?」
「それは大丈夫ですね」
「じゃあ、家まで歩きます」
「分かりました」

 何か揃えておくべきものがあるかと思ったが、冬子さんは大丈夫らしい。彼女が一体何を考えて今ここに戻ってきているのか。それは全く分からない。
 冬子さんは完全に私服だった。もちろん自分も私服だが、わざわざスーツでここまで来る理由もない。そう思えば自然だった。
 いつも通り歩いていけば、住んでいるアパートのドアの前に辿り着く。鍵を開けて、中に入る。

「ただいま」
「お邪魔します」
「相変わらず狭いですけど」
「大丈夫です」

 廊下を抜けて、部屋に向かう。もう一枚の扉を開けると、掃除がされた部屋が目の前に広がる。

「頑張って掃除はしました」
「めっちゃ綺麗になりましたね」
「まぁ、なんとか」

 こうして見るとかなり綺麗になったのではないか。今までがあまりに汚かったということもあるが、人を呼ぶとなれば案外頑張れるのかもしれない。

「あ、適当に荷物置いて座ってくださいね」
「ありがとうございます」

 冬子さんはリュックを背負ってきていた。それを下ろして、部屋に座る。それとほぼ同時のタイミングで、自分も座る。
 不自然なほど綺麗になった部屋で、冬子さんと二人。特に会話のないまま時間が過ぎていく。これから自分がどう変わるべきなのか。考え始めていた。
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