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34話
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何事もない金曜日が過ぎ去り、冬子さんと夕食を食べ、土曜日の朝に起きる。そして今、僕と彼女は電車に揺られていた。
「部屋に上がっていいんですか?」
「大丈夫ですよ。大体なんとかなります」
「はぁ、なるほど」
今の時刻は朝の8時。平日なら駅のホームで待っている時間だが、今日は既に1時間以上電車に揺られていた。
冬子さんと2人で冬子さんの部屋へと向かっている。電車で2時間というのは案外遠い。乗っていれば着く距離を超えている。乗り換えが必ず発生するからだった。
「あ、次の駅で乗り換えです」
「了解です」
「それを乗り換えると7駅くらいですね」
「まだ結構ありますね」
「まぁ、そうですね」
なぜかいつもより少しだけ明るい冬子さん。駅に着くと2人で降りて、別の路線へと乗り換える。彼女は自分の部屋にかえりたくなっていて、それで今日が楽しみだったのかもしれない。つまり、今日のここで最後になるかもしれないということだ。そうなったら、その時はその時だろう。
電車を乗り換え、30分が経過した頃、冬子さんの家の最寄駅に到着した。
「着きました。ここから15分ほどで私のアパートです」
「社宅とか寮とかじゃないんですね」
「隣に同僚住んでるの、なんか嫌だったんですよね」
「まぁ、気持ちはわかりますよ」
「ありがとうございます」
冬子さんが前を歩いて、その後ろを自分が歩く。自分の家と変わらないような住宅街の景色がしばらく続くと、彼女が立ち止まる。
「ここですね」
「普通のアパートですね」
「築5年くらいなんでまぁまぁ新しい方だと思います」
「なるほど」
「2階の一番階段側です」
「了解です」
冬子さんが慣れた足取りでアパートまで行き、階段を登って、鍵を開ける。本当に入っていいんだろうかと自問自答するが、何の抵抗もなく扉を開け、手招きをしてくる彼女に何かをするのは無意味だと悟った。
「ただいま、あっつ」
「お邪魔します」
「廊下抜けたら部屋なんで、適当に鞄置いて座ってください」
いつもとは違うどこかフランクで、生身の冬子さんが見えた気がした。
廊下を抜けて扉を開けると、荷物は確かに置かれているが、必要最低限の部屋、という感じが徹底されているように見えた。そんな部屋で鞄を置いて座ると、彼女が部屋に入ってくる。
「やっぱり何気に遠いですね」
「まぁ、そんな感じですね」
「今日は私の部屋を全力で片付けて欲しいんです」
「なんかそんな話してましたけど、割と大丈夫そうじゃないですか?」
「先週ここに帰ってきたのにほとんど進んでないんです。だから秋吉さんを呼びました」
「全くもって理解できないんですけど」
「私、もう仕事は退職届出したんです」
「はぁ、なるほど」
「この部屋も、退去まであと2週間なんです」
「え、それは初耳ですね」
「引越し手配で秋吉さんの部屋に送ろうとしてる荷物の段ボールがクローゼットの中にいます」
「それも初耳です」
「まだ2個なんですけど、段ボールは残ってて、今から一緒に片付けて欲しいんです」
「それは別に大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
唐突に出てくる衝撃の事実の数々に驚かざるを得ないが、仕方のないことだ。冬子さんにも事情はある。そう思うしかない。
「じゃあ、10分くらい休んだらやりますか」
「了解です」
最寄駅からここまで異様な暑さだった。冬子さんと一緒に部屋に座り、一時の休憩を取ることにした。
「部屋に上がっていいんですか?」
「大丈夫ですよ。大体なんとかなります」
「はぁ、なるほど」
今の時刻は朝の8時。平日なら駅のホームで待っている時間だが、今日は既に1時間以上電車に揺られていた。
冬子さんと2人で冬子さんの部屋へと向かっている。電車で2時間というのは案外遠い。乗っていれば着く距離を超えている。乗り換えが必ず発生するからだった。
「あ、次の駅で乗り換えです」
「了解です」
「それを乗り換えると7駅くらいですね」
「まだ結構ありますね」
「まぁ、そうですね」
なぜかいつもより少しだけ明るい冬子さん。駅に着くと2人で降りて、別の路線へと乗り換える。彼女は自分の部屋にかえりたくなっていて、それで今日が楽しみだったのかもしれない。つまり、今日のここで最後になるかもしれないということだ。そうなったら、その時はその時だろう。
電車を乗り換え、30分が経過した頃、冬子さんの家の最寄駅に到着した。
「着きました。ここから15分ほどで私のアパートです」
「社宅とか寮とかじゃないんですね」
「隣に同僚住んでるの、なんか嫌だったんですよね」
「まぁ、気持ちはわかりますよ」
「ありがとうございます」
冬子さんが前を歩いて、その後ろを自分が歩く。自分の家と変わらないような住宅街の景色がしばらく続くと、彼女が立ち止まる。
「ここですね」
「普通のアパートですね」
「築5年くらいなんでまぁまぁ新しい方だと思います」
「なるほど」
「2階の一番階段側です」
「了解です」
冬子さんが慣れた足取りでアパートまで行き、階段を登って、鍵を開ける。本当に入っていいんだろうかと自問自答するが、何の抵抗もなく扉を開け、手招きをしてくる彼女に何かをするのは無意味だと悟った。
「ただいま、あっつ」
「お邪魔します」
「廊下抜けたら部屋なんで、適当に鞄置いて座ってください」
いつもとは違うどこかフランクで、生身の冬子さんが見えた気がした。
廊下を抜けて扉を開けると、荷物は確かに置かれているが、必要最低限の部屋、という感じが徹底されているように見えた。そんな部屋で鞄を置いて座ると、彼女が部屋に入ってくる。
「やっぱり何気に遠いですね」
「まぁ、そんな感じですね」
「今日は私の部屋を全力で片付けて欲しいんです」
「なんかそんな話してましたけど、割と大丈夫そうじゃないですか?」
「先週ここに帰ってきたのにほとんど進んでないんです。だから秋吉さんを呼びました」
「全くもって理解できないんですけど」
「私、もう仕事は退職届出したんです」
「はぁ、なるほど」
「この部屋も、退去まであと2週間なんです」
「え、それは初耳ですね」
「引越し手配で秋吉さんの部屋に送ろうとしてる荷物の段ボールがクローゼットの中にいます」
「それも初耳です」
「まだ2個なんですけど、段ボールは残ってて、今から一緒に片付けて欲しいんです」
「それは別に大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
唐突に出てくる衝撃の事実の数々に驚かざるを得ないが、仕方のないことだ。冬子さんにも事情はある。そう思うしかない。
「じゃあ、10分くらい休んだらやりますか」
「了解です」
最寄駅からここまで異様な暑さだった。冬子さんと一緒に部屋に座り、一時の休憩を取ることにした。
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