明太子

ぽよ

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5話

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 喫茶店で後輩と話すこと2時間。話題も尽きてスマートフォンを触る時間が増えた。

「そろそろ帰りますか」
「そうしましょうか」

 レジまで会計札を持っていく。レジで会計を済ませて、喫茶店を出る。店に入った時より、少しだけ気温が上がった気がする。街の景色はさっきと変わらず賑わっている。それでも特に何かがあるわけでもなく駅に向かって歩き始める。

「あ、先輩!いくらでしたか?」
「4000円くらいだったわ」
「じゃあ私は2500円くらいですかね」
「ええ、そうね」

 その後財布を取り出した後輩からお金を受け取る。特に何も気にしていなかったけれど、2人で来ているということすらも会計の時には忘れていた。
 それからは特に話すこともなく黙々と駅に向かって歩いていた。珍しいものを探すわけでもなく、買い物袋を下げた二人がひたすら駅を目指していた。

「帰ったら何します?」
「今日は用事無いから家でダラダラするんじゃないかしら」
「なるほど」

 何に納得したのかさっぱりわからないが、別に深掘りしてくるわけじゃないのなら困ったことにはならない。エスカレーターを登って駅構内に入ると、何やら騒がしくなっていた。

「どうしたんでしょう」
「遅延とかじゃないかしら」
「えーそれだとめんどくさいですね」
「まぁ仕方ないわ。肉類を買ったわけじゃないしなんとかなるわよ」
「それはまぁそうですけど」

 後輩とめんどくさいと言いながらも、人を避けながら改札へと向かう。改札付近には人がいないが、おまけに電光掲示板まで点灯していない有様だった。
 結局20分ほど駅で立ち尽くしながら、二人でどうしようかと話し始めたところでアナウンスが入った。

「後5分後には電車が来る」
「それに賭けるしかないわね」

 車内アナウンスが流れた瞬間から改札を抜けてホームに流れてくる人たちを見ながら電車を待つ。
 結局電車が来たのは10分後で、我先と乗り込む人間を駅員が制しながら順番に電車に押し込まれていく。2人で揺られながら最寄駅を目指す。走り始めたばかりの電車は徐行と停車と発進を繰り返しながらじわじわと進んでいく。

「もうちょっとですね」
「あと一駅で着くわ」
「思わぬアクシデントでした」
「そんなこともあるわよ」

 どんなに徳を積んでも、アクシデントには巻き込まれる。わざわざ回避できないことに対して嘆くほど暇ではなかった。
 結局20分をかけながら最寄駅へと到着した電車は、何事もなかったかのようにドアが開き、人が降りていく。2人もそれに続く。

「いやー長かったですねえ」
「無理して乗ってるようなものだから仕方ないわ」

 ホームに出てごった返すような人混みを進んで、改札を抜ける。逸れないか心配になる程だが、流石に社会人なら大丈夫だろう。
 駅を出てアパートまで歩く。いつも通りの道だが、隣に人がいるだけでいつもより道が鮮やかに見えた気がする。

「今日はいろいろ付き合ってくれてありがとうございました!またスーパーとか教えてください!」
「お疲れ様。また買い物行きましょう」
「ありがとうございます。また相手してください!」

 アパートのドアの前で元気に挨拶をする後輩。その言葉の後はすぐに自分の部屋へと戻っていった。莉子もドアを開けて自分の部屋へと入る。
 最近は人付き合いというのも会社の部署内だけだった。唐突な後輩との再会で嵐に巻き込まれたような感覚だったが、それも悪くないと思えた。
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