10 / 40
恋
変化
しおりを挟む
高杉が恋人になってから数ヶ月が過ぎた。今は8月。大学は夏休み。基本的に実家に帰らない梨咲も、夏休みと年末年始は帰省すると決めていた。梨咲の家から電車で7駅。一人暮らししている街よりも更に何もない田舎だが、久々に帰ってくるとどこか懐かしく、たまにはこういう空気を吸うのも悪くないと思える、不思議な空気があった。都会のような忙しさと暑苦しさがなかった。
しかし田舎でも夏であることには変わりなく、タオルで汗を拭きながら実家へと歩いていく。ふと、高杉のことを思い出す。彼も今頃は帰省しているのだろうか。そもそも高杉が一人暮らしなのか実家暮らしなのかを知らないけれど。咲と高杉は恋人同士だが、まだお互いの家に行ったことがない。梨咲の家は殺風景すぎる。家で何かをするには物が少なすぎる。高杉の部屋はどんな感じなのだろうかということを考えながら、実家の最寄駅から歩いて5分。実家が目の前に来た。何事もなく扉を開けて、帰宅する。
「ただいま」
「おかえりー。久しぶりね」
「春以来かな」
「大学はどう?」
「まぁまぁかな」
「それならいいけど」
気負うことなく帰ってこられる場所。実家がそういう場所で良かったとしみじみ思う。リビングに入る前に廊下に荷物を置く。リビングへと入ると、春に梨咲が一人暮らしする前とは少しだけ様変わりしていた。春先に家を出た時とは少しだけ景色が違う気がした。
「なんか、変わった?」
「一応絨毯が御座になった」
「なるほど。そういえば」
「どうしたの」
「彼氏ができたよ」
「ちょっとおしゃれになったと思ったらそれか」
「そんなに変わったかな」
「前よりは綺麗なんじゃないかしら」
「そっか」
母に言われて改めて服を見てみる。確かに前よりは服屋に通う回数が増えた気がする。特にファッション雑誌を読んだりしているわけではないが、周りの人間の服は見るようになった気がする。高杉とのデートは回数が多いわけではないのに、何故だか見られることを意識して考えることも増えた。無意識に服が変わっていったのかもしれない。
何気なく過ごしてきた数ヶ月、高杉が恋人になってから大きな変化が起きつつある。なんとなく直感でそう思った。何一つ確信的な要素はないけれど、それ以外の部分も少しずつ変化していくのかもしれない。リビングの御座に座りながら一人暮らしの部屋にはないテレビをつける。久しぶりにつけてみても放送している番組はほとんど変わらなかった。そんなにテレビに詳しいわけではないが、一応それなりに流行は抑えていたつもりだ。前よりはオシャレになった服装で、前と変わらないテレビを見る。高杉は今頃、何をしてるのか。連絡を取ろうか迷ったが、高杉にもプライベートは当然ある。そう思った梨咲は、スマートフォンを閉じ、テレビへと意識を向けた。
しかし田舎でも夏であることには変わりなく、タオルで汗を拭きながら実家へと歩いていく。ふと、高杉のことを思い出す。彼も今頃は帰省しているのだろうか。そもそも高杉が一人暮らしなのか実家暮らしなのかを知らないけれど。咲と高杉は恋人同士だが、まだお互いの家に行ったことがない。梨咲の家は殺風景すぎる。家で何かをするには物が少なすぎる。高杉の部屋はどんな感じなのだろうかということを考えながら、実家の最寄駅から歩いて5分。実家が目の前に来た。何事もなく扉を開けて、帰宅する。
「ただいま」
「おかえりー。久しぶりね」
「春以来かな」
「大学はどう?」
「まぁまぁかな」
「それならいいけど」
気負うことなく帰ってこられる場所。実家がそういう場所で良かったとしみじみ思う。リビングに入る前に廊下に荷物を置く。リビングへと入ると、春に梨咲が一人暮らしする前とは少しだけ様変わりしていた。春先に家を出た時とは少しだけ景色が違う気がした。
「なんか、変わった?」
「一応絨毯が御座になった」
「なるほど。そういえば」
「どうしたの」
「彼氏ができたよ」
「ちょっとおしゃれになったと思ったらそれか」
「そんなに変わったかな」
「前よりは綺麗なんじゃないかしら」
「そっか」
母に言われて改めて服を見てみる。確かに前よりは服屋に通う回数が増えた気がする。特にファッション雑誌を読んだりしているわけではないが、周りの人間の服は見るようになった気がする。高杉とのデートは回数が多いわけではないのに、何故だか見られることを意識して考えることも増えた。無意識に服が変わっていったのかもしれない。
何気なく過ごしてきた数ヶ月、高杉が恋人になってから大きな変化が起きつつある。なんとなく直感でそう思った。何一つ確信的な要素はないけれど、それ以外の部分も少しずつ変化していくのかもしれない。リビングの御座に座りながら一人暮らしの部屋にはないテレビをつける。久しぶりにつけてみても放送している番組はほとんど変わらなかった。そんなにテレビに詳しいわけではないが、一応それなりに流行は抑えていたつもりだ。前よりはオシャレになった服装で、前と変わらないテレビを見る。高杉は今頃、何をしてるのか。連絡を取ろうか迷ったが、高杉にもプライベートは当然ある。そう思った梨咲は、スマートフォンを閉じ、テレビへと意識を向けた。
0
あなたにおすすめの小説
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
一条さん結婚したんですか⁉︎
あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎
嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡
((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜
⭐︎本編は完結しております⭐︎
⭐︎番外編更新中⭐︎
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる