世界で一番遠い場所 Rev.1

ぽよ

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卒業

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 無事4年で大学を卒業した梨咲は、研究室で教授の話を聞いていた。長いようで短い4年間だった気がする。研究室で色々と話し込んだ同級生とも今日で会わなくなる。そして1限開始のチャイムが鳴り終わる頃、大きめの講義室へと移動する。今から始まるのは、正式名称で言えば学位授与式だった。梨咲の周りにも休学や退学によって4年で卒業できなかった人がいる。そう思った時、今この場にいられるのは実はすごいことなのではないかと思う。
 ここからまた新しい人生がスタートする。いつも気怠げに講義を聞いていた同級生たちも、今日の話はしっかりと聞いていた。しかし、式が終わってしまえば、少しの余韻もなくそこに座っていた学生がパラパラと立ち上って講義室を出て行く。梨咲もそれに続いて講義室を出て廊下に出る。仲の良かった友人たちと話をする。その後で賞状を持って適当な場所で記念撮影をする。高校生の頃から変わらない。
 講義棟を出てしばらく歩き、正門を出るところで誰かが後ろから走ってきていた。後ろを振り向くとそこにいたのはのは高杉だった。

「卒業だね」
「そうだねー。4年間走り切ったって感じ」
「いよいよ俺たちも社会人」
「就活も大変だった」
「本当にね」

 4年間通学路として歩いてきた道を今日も歩きながら、他愛のない雑談。そして、今日でこの道を歩くことはほとんどなくなる。それもまた、人生で経験する変化の一つだ。4年間歩いてきたけれど、この通学路での変化は季節による気温の変化くらいだった。
 目立った変化のない通学路を二人で歩く。卒業するという心境にあっても特に歩調すら変わることはなく、いつも通り歩けば駅が見えた。

「じゃあ、私はこっちだから」
「また明日ね」
「うん、また明日」

 4年間で大学は卒業したが、高杉との関係はここで終わりではない。明日はデートを予定していた。2人は社会人になると同棲をすると決めていた。それに向けた準備だから、デートというには少し難しいかもしれないけれど、それでも梨咲は楽しみだった。
 電車を待っている間、梨咲は明日のデートのことを考えていた。特別な服装で行くべきか。いつも通り行くべきか。大学生活の4年間で、それなりのおしゃれは身につけることができた。それでも何かで着飾ることはまだまだ不得意だが、梨咲としては文句のない成長だった。高杉との学生最後のデートを楽しくするための服装を、ずっと考えていた。
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