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とあるマーニの禁書目録。
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「いいんだよ……マーニ。」
「シスター!! 」
弱々しくい声も、強い瞳で覆さえる。
「命が助かった処で、私は足手まといにしかならない。」
「そんな!! 」
シスター・テレサはマーニに優しく微笑みかける。二人用の馬車は冒険者達が避けてくれたが、シスターの怪我は酷いまり様であった。両足と右腕は潰れて、使い物にならない。
「あの馬鹿貴族から、慰藉料をふんだくってやっておくれ。はははっ。」
無理やり笑って咳き込む、口から血が溢れた。内蔵もやられているようだ。
「シスター!! 」
マーニの目から涙が溢れた。
「いやだ、いやだよシスター。」
泣きじゃくるマーニの頭を左手で撫でる。
「シスター・ターシャと、子供達の面倒を見てやっておくれマーニ。」
俯き首を振るマーニ。ポンポンと頭を叩くシスターの力が弱くなる。
「命が助かった処で……。」
「ああ、命だけ助かってもな……。」
「これほどの怪我は、聖女でなければ……。」
「だが、莫大な金が……。」
マーニの後ろの方で冒険者達がささやきあっている。
「聖女なら、シスターを助けられるの!? 」
「まあな、命どころか怪我さえ完治、元通りできるさ。」
「だが、聖女様の治療は莫大な金がかかる。」
マーニは一部の望みをかけて冒険者達に聞いた。
「お金なら、僕がどうやっても 」
「駄目だよマーニ、ごほごほ!! 」
「シスター!! 」
マーニの言葉を遮るようにシスターが声をかけ、咳き込んだ。口から血が溢れる。
「待ってて、今すぐ魔道士を。」
マーニは立ち上がって駆け出した。取り敢えずは命だけでも永らえて、怪我は後で聖女に治してもらおうと。駆け出すマーニをシスターは手で摑もうとしたが、右手は潰れて動かなかった。
「駄目だよ……マーニ。負担にはなりたくないんだ……。若いマーニの負担には……。」
(それならはいっそこのまま。)
ここで亡くなった方が、貴族から沢山のお金を貰えるかもしれない。
シスターの心情を分かってか、冒険者達は何も言えなかった。
マーニは走った。貴族を回復している魔道士には頼めない。他の魔道士を探して。
『何をしておる、小僧!! 』
「ポチ。」
マーニの後を追ってきたポチが喚いている。マーニ以外には「キャンキャン」としか聞こえないが。
『お主には、不思議な魔法があっただろうが!! 』
「えっ!? 」
微かに服の中のあのペンダントが熱い。マーニは服共どもペンダントを握り締めた。
「でも……。」
マーニはあのミニスカ戦士を思い出す。あの姿にはなりたくはなかった。
『女神が死んでしまうではないか!! わしの女神を見殺しにするのか!? 』
マーニは駆け出した、誰もいない物陰に。例え、変態と罵られようともシスターを助けられるのならと。
「パラソル!! 」
マーニが叫ぶと、目の前にあのペンダントが現れる。すっと、手が輝くペンダントをそっと掴む。
ギュッと光を手に包み込んで離すと、手の間に小さかったペンダントが大きくなる。ぱらりと布を纏めていた紐が解けると、布が膨らんだ。
「ぴるりん、ぴるりん、ぴるるるる。ぱらりん、ぱらりん、ぱらららら。」
口が勝手に動き呪文のような言葉を吐き、それと同時に体が踊るようにその場でくるくると動き出す。布と棒のあいだに手を入れとぐいっと押した。
ぱっ、と花が開くようにパラソルが開いた。可愛いぶりぶりのフリルが付いた白いアンブレラ。
「十八歳になって、聖女にな~れ!! 」
くるくるとアンブレラを回しながら高く掲げる。そのアンブレラの露先からそれぞれの色が流れ出し、七色の光がマーニを覆うように回った。その光の中でマーニの体が子供から青年の体に変わっていく。
戦士の時のように変身シーンはなかったが、髪はサラリと腰までの銀髪になっていた。聖女に相応しい格好で、色は白で所々に金糸の刺繍のシスターの着る修道服のようであった。
何より、ありがたいことにミニスカではなかった。それだけでもマーニは嬉しかった。だが、マーニは修道衣の中を覗いてみた。
「………。」
マーニは言葉が出ない。
「聖女って、下着はつけてないの? 」
ミニスカではないが、股の開放感は半端なかった。
それは異世界小説の聖女? とある魔術の○○目録のヒロインであった。
「シスター!! 」
弱々しくい声も、強い瞳で覆さえる。
「命が助かった処で、私は足手まといにしかならない。」
「そんな!! 」
シスター・テレサはマーニに優しく微笑みかける。二人用の馬車は冒険者達が避けてくれたが、シスターの怪我は酷いまり様であった。両足と右腕は潰れて、使い物にならない。
「あの馬鹿貴族から、慰藉料をふんだくってやっておくれ。はははっ。」
無理やり笑って咳き込む、口から血が溢れた。内蔵もやられているようだ。
「シスター!! 」
マーニの目から涙が溢れた。
「いやだ、いやだよシスター。」
泣きじゃくるマーニの頭を左手で撫でる。
「シスター・ターシャと、子供達の面倒を見てやっておくれマーニ。」
俯き首を振るマーニ。ポンポンと頭を叩くシスターの力が弱くなる。
「命が助かった処で……。」
「ああ、命だけ助かってもな……。」
「これほどの怪我は、聖女でなければ……。」
「だが、莫大な金が……。」
マーニの後ろの方で冒険者達がささやきあっている。
「聖女なら、シスターを助けられるの!? 」
「まあな、命どころか怪我さえ完治、元通りできるさ。」
「だが、聖女様の治療は莫大な金がかかる。」
マーニは一部の望みをかけて冒険者達に聞いた。
「お金なら、僕がどうやっても 」
「駄目だよマーニ、ごほごほ!! 」
「シスター!! 」
マーニの言葉を遮るようにシスターが声をかけ、咳き込んだ。口から血が溢れる。
「待ってて、今すぐ魔道士を。」
マーニは立ち上がって駆け出した。取り敢えずは命だけでも永らえて、怪我は後で聖女に治してもらおうと。駆け出すマーニをシスターは手で摑もうとしたが、右手は潰れて動かなかった。
「駄目だよ……マーニ。負担にはなりたくないんだ……。若いマーニの負担には……。」
(それならはいっそこのまま。)
ここで亡くなった方が、貴族から沢山のお金を貰えるかもしれない。
シスターの心情を分かってか、冒険者達は何も言えなかった。
マーニは走った。貴族を回復している魔道士には頼めない。他の魔道士を探して。
『何をしておる、小僧!! 』
「ポチ。」
マーニの後を追ってきたポチが喚いている。マーニ以外には「キャンキャン」としか聞こえないが。
『お主には、不思議な魔法があっただろうが!! 』
「えっ!? 」
微かに服の中のあのペンダントが熱い。マーニは服共どもペンダントを握り締めた。
「でも……。」
マーニはあのミニスカ戦士を思い出す。あの姿にはなりたくはなかった。
『女神が死んでしまうではないか!! わしの女神を見殺しにするのか!? 』
マーニは駆け出した、誰もいない物陰に。例え、変態と罵られようともシスターを助けられるのならと。
「パラソル!! 」
マーニが叫ぶと、目の前にあのペンダントが現れる。すっと、手が輝くペンダントをそっと掴む。
ギュッと光を手に包み込んで離すと、手の間に小さかったペンダントが大きくなる。ぱらりと布を纏めていた紐が解けると、布が膨らんだ。
「ぴるりん、ぴるりん、ぴるるるる。ぱらりん、ぱらりん、ぱらららら。」
口が勝手に動き呪文のような言葉を吐き、それと同時に体が踊るようにその場でくるくると動き出す。布と棒のあいだに手を入れとぐいっと押した。
ぱっ、と花が開くようにパラソルが開いた。可愛いぶりぶりのフリルが付いた白いアンブレラ。
「十八歳になって、聖女にな~れ!! 」
くるくるとアンブレラを回しながら高く掲げる。そのアンブレラの露先からそれぞれの色が流れ出し、七色の光がマーニを覆うように回った。その光の中でマーニの体が子供から青年の体に変わっていく。
戦士の時のように変身シーンはなかったが、髪はサラリと腰までの銀髪になっていた。聖女に相応しい格好で、色は白で所々に金糸の刺繍のシスターの着る修道服のようであった。
何より、ありがたいことにミニスカではなかった。それだけでもマーニは嬉しかった。だが、マーニは修道衣の中を覗いてみた。
「………。」
マーニは言葉が出ない。
「聖女って、下着はつけてないの? 」
ミニスカではないが、股の開放感は半端なかった。
それは異世界小説の聖女? とある魔術の○○目録のヒロインであった。
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