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繰り返される世界。
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「気がつけば10歳の頃に戻っていました。」
何処か空虚を見つめ、エリエールは話を続ける。
最後の瞬間、ネピア殿下の声を聞いた。『ご無事だったのね』と、安堵をした次の瞬間エリエールは幼い頃に戻っていた。
『僕の名はネピア。エリエール、エリスと呼んでもいいかい? 』
目の前には、幼き頃のネピア殿下。
「とても、驚きました。」
エリエールは城壁の縁に腰を寄せた。
「ですが、再びネピア殿下に逢えて嬉しかった。」
エリエールは満面の笑顔を話し相手に見せる。そして目を逸らした。
『俺もエリスと、呼んでいいな。俺はカルタスだ、エリス。』
『駄目だ!! エリスと呼んでいいのは僕だけだ!! 』
『はいはい、分かったよ。ガキのクセに、いっちょうまいに嫉妬か? 』
『一つしか、違わないだろ!! 』
幼いネピア殿下と赤毛のカルタス公爵令息。彼等は従兄弟同士でとても仲が良かった。じゃれ合う二人。
あの日ネピア殿下と初めて出逢った時の光景をエリエールは目を細めて見ていた。
「懐かしく、嬉しかった。」
今までの記憶は、夢だったのかとエリエールは思った。しかし心に残った哀しみはそれを否定する。
「わたくしは、今度は婚約者にカルタス公爵令息を選びました。」
(ネピア殿下に心を残して…… )
エリエールは、醜い嫉妬した自分をネピアに見せたくなくてカルタス公爵令息を選んだ。
『そ、そう…… うん。カルタスはとても頼りになるから…… おめでとうエリス。』
ネピアは子供ながら、一生懸命に笑顔を作った。
「わたくしは、ネピア殿下のわたくしに対してのあの哀しい顔を見たくはありませんでした。」
(転がるようにエルモア令嬢を醜く虐めたわたくしに見せるネピア殿下の哀しい顔。)
『どうかお願いだエリス。ピコティ令嬢を虐めないでくれ、このままではエリスとの婚約が駄目になってしまう。』
(ネピア殿下のあの哀しい顔は見たくない。)
『エリス、エリス、お願いだ。』
(学園を出ると嘘のように心は和み、素直にネピア殿下の声が耳に入るのに。学園では少しの事でも嫉妬に狂っていた…… )
「今度は家臣として、ネピア殿下に尽くそうと思いました。」
エリエールは婚約者でなければ、嫉妬に狂ってエルモアを虐めることはないと自分を嗜めた。
「ネピア殿下とエルモア譲の『真実の愛』を微笑ましく見守ることができると思いました。」
エリエールは悲しそうに微笑んだ。
『エリー、本当にいいのか俺で? エリーはネピアを好いているのだろ。』
カルタスはエリエールのネピアに対する思いに気づいていた、彼は不思議そうに彼女に問いかける。
『エリーがいいなら、俺はいいけどな。』
高位貴族であるカルタスは子供ながらにも恋愛結婚は難しいと感じていた、妹のように可愛いエリエールとの婚約を喜んだ。
「カルタス様は、とても尊敬できる方でした。」
共にエリエールとカルタスはネピア殿下を支えて行こうと誓いあい同士のような間柄であった。
「でも…… 」
その時一瞬の強い潮風がエリエールの髪を靡かせた。
「学園に入って、エルモア譲に会ってわたくしは変わってしまった。」
ネピア殿下とは幼馴染としての付き合いは継続していた。二人きりになることはなかったが、より良い関係は続いていた。共に学友として学園に入学をした。
「ネピア殿下とエルモア譲を、温かく見守る覚悟はできてました。」
一度目のように二人は近づくとエリエールは思っていた。ネピアは婚約者をまだ決めていなかったので彼女が選ばれると思っていた。
「エルモア譲が、カルタス様の近くに来るまでは。」
エルモアはエリエールの一度目のように、今度はカルタスに近づいて来る。
「わたくしは一度目のように、再び嫉妬に狂ってエルモア譲を虐めてしまったのです。」
(何故カルタス様に? ネピア殿下をお慕いしていたのではなかったの? )
エリエールの心の中は、虚しさと憤りが渦巻いていた。
(わたくしが、どんな思いでネピア殿下を諦めたか…… )
エリエールとカルタスの恋愛と言う思いの隙間にエルモアはうまく入り込んで二人を翻弄した。
『エリー、すまない。エルモアは俺だけを見てくれる。』
カルタスは苦しそうに言う。
(そうわたくしの心の奥にある宝箱には、ネピア殿下への思いが残っている。)
『エリス。カルタスがピコティ令嬢を選ぶなんて信じられない。』
ネピアは哀しいそうに呟いた。
「婚約解消をすればよかったのに、わたくしは其れができなかった。」
学園内から出ることがなかったエリエールは、婚約解消の言葉が頭に浮かんでくることはなかった。只々、嫉妬に狂いエルモアを虐め抜いた。
「わたくし。カルタス様が卒業する場で、婚約破棄を言われてしまいましたわ。」
エリエールは皆の前で婚約破棄をされて失意にくれた。そして、ネピアがエリエールを慰めようと茶会に招待した時、事件は起こった。
エリエールの前で、ネピア殿下は血を吐いて倒れた。
「わたくしの目の前でネピア殿下が血を吐かれ、倒れられ。王太子暗殺未遂事件の犯人としてわたくしは捕まりました。後は…… 」
一度目の最後と同じ結果を繰り返す。
「其れが、わたくしの二度目の人生の終わりでした。」
何処か空虚を見つめ、エリエールは話を続ける。
最後の瞬間、ネピア殿下の声を聞いた。『ご無事だったのね』と、安堵をした次の瞬間エリエールは幼い頃に戻っていた。
『僕の名はネピア。エリエール、エリスと呼んでもいいかい? 』
目の前には、幼き頃のネピア殿下。
「とても、驚きました。」
エリエールは城壁の縁に腰を寄せた。
「ですが、再びネピア殿下に逢えて嬉しかった。」
エリエールは満面の笑顔を話し相手に見せる。そして目を逸らした。
『俺もエリスと、呼んでいいな。俺はカルタスだ、エリス。』
『駄目だ!! エリスと呼んでいいのは僕だけだ!! 』
『はいはい、分かったよ。ガキのクセに、いっちょうまいに嫉妬か? 』
『一つしか、違わないだろ!! 』
幼いネピア殿下と赤毛のカルタス公爵令息。彼等は従兄弟同士でとても仲が良かった。じゃれ合う二人。
あの日ネピア殿下と初めて出逢った時の光景をエリエールは目を細めて見ていた。
「懐かしく、嬉しかった。」
今までの記憶は、夢だったのかとエリエールは思った。しかし心に残った哀しみはそれを否定する。
「わたくしは、今度は婚約者にカルタス公爵令息を選びました。」
(ネピア殿下に心を残して…… )
エリエールは、醜い嫉妬した自分をネピアに見せたくなくてカルタス公爵令息を選んだ。
『そ、そう…… うん。カルタスはとても頼りになるから…… おめでとうエリス。』
ネピアは子供ながら、一生懸命に笑顔を作った。
「わたくしは、ネピア殿下のわたくしに対してのあの哀しい顔を見たくはありませんでした。」
(転がるようにエルモア令嬢を醜く虐めたわたくしに見せるネピア殿下の哀しい顔。)
『どうかお願いだエリス。ピコティ令嬢を虐めないでくれ、このままではエリスとの婚約が駄目になってしまう。』
(ネピア殿下のあの哀しい顔は見たくない。)
『エリス、エリス、お願いだ。』
(学園を出ると嘘のように心は和み、素直にネピア殿下の声が耳に入るのに。学園では少しの事でも嫉妬に狂っていた…… )
「今度は家臣として、ネピア殿下に尽くそうと思いました。」
エリエールは婚約者でなければ、嫉妬に狂ってエルモアを虐めることはないと自分を嗜めた。
「ネピア殿下とエルモア譲の『真実の愛』を微笑ましく見守ることができると思いました。」
エリエールは悲しそうに微笑んだ。
『エリー、本当にいいのか俺で? エリーはネピアを好いているのだろ。』
カルタスはエリエールのネピアに対する思いに気づいていた、彼は不思議そうに彼女に問いかける。
『エリーがいいなら、俺はいいけどな。』
高位貴族であるカルタスは子供ながらにも恋愛結婚は難しいと感じていた、妹のように可愛いエリエールとの婚約を喜んだ。
「カルタス様は、とても尊敬できる方でした。」
共にエリエールとカルタスはネピア殿下を支えて行こうと誓いあい同士のような間柄であった。
「でも…… 」
その時一瞬の強い潮風がエリエールの髪を靡かせた。
「学園に入って、エルモア譲に会ってわたくしは変わってしまった。」
ネピア殿下とは幼馴染としての付き合いは継続していた。二人きりになることはなかったが、より良い関係は続いていた。共に学友として学園に入学をした。
「ネピア殿下とエルモア譲を、温かく見守る覚悟はできてました。」
一度目のように二人は近づくとエリエールは思っていた。ネピアは婚約者をまだ決めていなかったので彼女が選ばれると思っていた。
「エルモア譲が、カルタス様の近くに来るまでは。」
エルモアはエリエールの一度目のように、今度はカルタスに近づいて来る。
「わたくしは一度目のように、再び嫉妬に狂ってエルモア譲を虐めてしまったのです。」
(何故カルタス様に? ネピア殿下をお慕いしていたのではなかったの? )
エリエールの心の中は、虚しさと憤りが渦巻いていた。
(わたくしが、どんな思いでネピア殿下を諦めたか…… )
エリエールとカルタスの恋愛と言う思いの隙間にエルモアはうまく入り込んで二人を翻弄した。
『エリー、すまない。エルモアは俺だけを見てくれる。』
カルタスは苦しそうに言う。
(そうわたくしの心の奥にある宝箱には、ネピア殿下への思いが残っている。)
『エリス。カルタスがピコティ令嬢を選ぶなんて信じられない。』
ネピアは哀しいそうに呟いた。
「婚約解消をすればよかったのに、わたくしは其れができなかった。」
学園内から出ることがなかったエリエールは、婚約解消の言葉が頭に浮かんでくることはなかった。只々、嫉妬に狂いエルモアを虐め抜いた。
「わたくし。カルタス様が卒業する場で、婚約破棄を言われてしまいましたわ。」
エリエールは皆の前で婚約破棄をされて失意にくれた。そして、ネピアがエリエールを慰めようと茶会に招待した時、事件は起こった。
エリエールの前で、ネピア殿下は血を吐いて倒れた。
「わたくしの目の前でネピア殿下が血を吐かれ、倒れられ。王太子暗殺未遂事件の犯人としてわたくしは捕まりました。後は…… 」
一度目の最後と同じ結果を繰り返す。
「其れが、わたくしの二度目の人生の終わりでした。」
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