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アンジェラスの鐘の音。
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魔道具が全て動かなくなったアンゼラス国の謁見の間に、魔道士たちが集められていた。
王と王妃が玉座に座り、その後ろに王太子と婚約者のアイリスが立っていた。その横を新たな四人の若き公爵が陣取る。
「何故魔道具が一度に壊れたのだ!! 」
何とか朝食をすませ、魔道士達が集まるまった時は既に夕刻であった。
王都は、魔道具が動かない事でてんやわんやの騒ぎとなっていた。生活魔法を使って火をつけるも持続させるには焚き木が必要だ、だがそもそも焚き木がない。森まで行くには時間がかかる。仕方がないので木でできた家具を壊して利用する。水も生活魔法で出すがコップ一杯がやっとで、魔力を使いすぎて三度も連発すれば倒れてしまう。仕方なく飲水以外は井戸の水を使う、が、今まで使って無かったので水は淀んで悪臭を漂わせていた。王都には川は無かった、外壁の遥か彼方に川と森がある。そこまで汲みに行くのはやはり時間がかかる。何より門が開かないので馬車が通らない、狭い扉からは人と馬しか通れない。それでも勇者達は樽を馬に括り付け旅立った。行きに五時間、帰りに八時間の長い道のりを。途中で野獣か魔獣に出会すかもしれないが。
豊富に水を出していた魔道具が動かない事が何より王都に影響を与えた。飲水の確保がやっとで、農業にも影響が出るであろうと食べ物の買い置きに走る国民達が食糧を囲い込む店とで喧嘩になっていた。冷蔵箱も動かないのに。
薄暗く成りつつある謁見の間で、壁際に篝火を点け近くは観賞用のアロマセラピー用の蝋燭を掲げていた。謁見の間は色んな匂いで溢れ、たまらなく臭かった。その中。
「魔道具は壊れてはいません。」
「何!? どう言うことだ、現に動いておらんぞ!! 」
魔道士は隣に控える者に指示を出す。
隣の者は明かりの魔道具、ランタンを取り出した。魔力を注ぎ倒れた、が、ランタンが明かりを発した。
「「「「おお、これは!! 」」」」
「父上。」
王や魔道士の後ろにいる貴族は声をあげた。王太子のヘンリーも歓喜の声をあげた。
「見てのとおり、魔道具は壊れてはいません。魔道具を動かす魔力がないだけです。」
「そ、そうか、魔力がないだけか。」
「宜しゅうございました、本当に。」
王妃も喜びの声をあげる。
「魔道具は壊れていない、魔力を注ぎ込めば使えると言うことだな!! 」
「「「「おお!! 」」」」
貴族達は、ランタンの明かりに希望の光を見た。だが魔力を豊富に持っている筈の魔道士がランタン一つ点けるのに倒れたことに王は貴族達は目に止めなかった。ランタンの光に目を奪われて。
「何故、魔力が切れたのだ? 」
王が確信に迫った。
「何時もはこのアンゼラス国の領土に溢れるほどの魔力が充満されていました。ですが……今は感じられません。」
「な、何故だ!! 」
「分かりませんが……。今朝方以降、アンジェラスの音が聞こえません。」
「「「「「「 !! 」」」」」」」
魔道具が使えなくなった事で、鐘の音の事を忘れていた。鎮魂祭が終わり確かに最初の祝福の鐘の音はアンゼラス国を震撼させた。だが、昼は? 夕刻は? 確かに鐘の音は聞こえなかった。国土に魔力を響き渡らせる筈のアンジェラスの音が。
「まさか、祈りの鐘に何かあったと言うことか? 」
王は立ち上がった。城の奥にある聖堂に向かって歩く、その後を魔道士と貴族達は続く。階段を降り上がりを何度か繰り返し、息も切れぎれに聖堂の前に辿り着く。
聖堂の開かれた扉前では、案の定魔道具が使えなくなった事で司祭達は右往左往していた。
「こ、国王陛下。どうなさいました? 」
一人の司祭が気付き声をかけた。
「ええい!! 祈りの鐘はどうした!? 」
「アンジェラスが、ですか? 」
祈りの場の閉ざされた扉を魔道士達五人程が魔力を注ぎ込み倒れ、その大きく分厚い扉は開かれた。
そしてやっと、祈りの場に閉じ込められた司祭は救出されるのでした。
王と王妃が玉座に座り、その後ろに王太子と婚約者のアイリスが立っていた。その横を新たな四人の若き公爵が陣取る。
「何故魔道具が一度に壊れたのだ!! 」
何とか朝食をすませ、魔道士達が集まるまった時は既に夕刻であった。
王都は、魔道具が動かない事でてんやわんやの騒ぎとなっていた。生活魔法を使って火をつけるも持続させるには焚き木が必要だ、だがそもそも焚き木がない。森まで行くには時間がかかる。仕方がないので木でできた家具を壊して利用する。水も生活魔法で出すがコップ一杯がやっとで、魔力を使いすぎて三度も連発すれば倒れてしまう。仕方なく飲水以外は井戸の水を使う、が、今まで使って無かったので水は淀んで悪臭を漂わせていた。王都には川は無かった、外壁の遥か彼方に川と森がある。そこまで汲みに行くのはやはり時間がかかる。何より門が開かないので馬車が通らない、狭い扉からは人と馬しか通れない。それでも勇者達は樽を馬に括り付け旅立った。行きに五時間、帰りに八時間の長い道のりを。途中で野獣か魔獣に出会すかもしれないが。
豊富に水を出していた魔道具が動かない事が何より王都に影響を与えた。飲水の確保がやっとで、農業にも影響が出るであろうと食べ物の買い置きに走る国民達が食糧を囲い込む店とで喧嘩になっていた。冷蔵箱も動かないのに。
薄暗く成りつつある謁見の間で、壁際に篝火を点け近くは観賞用のアロマセラピー用の蝋燭を掲げていた。謁見の間は色んな匂いで溢れ、たまらなく臭かった。その中。
「魔道具は壊れてはいません。」
「何!? どう言うことだ、現に動いておらんぞ!! 」
魔道士は隣に控える者に指示を出す。
隣の者は明かりの魔道具、ランタンを取り出した。魔力を注ぎ倒れた、が、ランタンが明かりを発した。
「「「「おお、これは!! 」」」」
「父上。」
王や魔道士の後ろにいる貴族は声をあげた。王太子のヘンリーも歓喜の声をあげた。
「見てのとおり、魔道具は壊れてはいません。魔道具を動かす魔力がないだけです。」
「そ、そうか、魔力がないだけか。」
「宜しゅうございました、本当に。」
王妃も喜びの声をあげる。
「魔道具は壊れていない、魔力を注ぎ込めば使えると言うことだな!! 」
「「「「おお!! 」」」」
貴族達は、ランタンの明かりに希望の光を見た。だが魔力を豊富に持っている筈の魔道士がランタン一つ点けるのに倒れたことに王は貴族達は目に止めなかった。ランタンの光に目を奪われて。
「何故、魔力が切れたのだ? 」
王が確信に迫った。
「何時もはこのアンゼラス国の領土に溢れるほどの魔力が充満されていました。ですが……今は感じられません。」
「な、何故だ!! 」
「分かりませんが……。今朝方以降、アンジェラスの音が聞こえません。」
「「「「「「 !! 」」」」」」」
魔道具が使えなくなった事で、鐘の音の事を忘れていた。鎮魂祭が終わり確かに最初の祝福の鐘の音はアンゼラス国を震撼させた。だが、昼は? 夕刻は? 確かに鐘の音は聞こえなかった。国土に魔力を響き渡らせる筈のアンジェラスの音が。
「まさか、祈りの鐘に何かあったと言うことか? 」
王は立ち上がった。城の奥にある聖堂に向かって歩く、その後を魔道士と貴族達は続く。階段を降り上がりを何度か繰り返し、息も切れぎれに聖堂の前に辿り着く。
聖堂の開かれた扉前では、案の定魔道具が使えなくなった事で司祭達は右往左往していた。
「こ、国王陛下。どうなさいました? 」
一人の司祭が気付き声をかけた。
「ええい!! 祈りの鐘はどうした!? 」
「アンジェラスが、ですか? 」
祈りの場の閉ざされた扉を魔道士達五人程が魔力を注ぎ込み倒れ、その大きく分厚い扉は開かれた。
そしてやっと、祈りの場に閉じ込められた司祭は救出されるのでした。
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