学園七不思議。

❄️冬は つとめて

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七不思議、最後の場所。

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朝の全校集会は、倒れる者悲劇のヒロインが出ることなく終わりを告げた。

「此れで、全校集会を終わりますわ。」
生徒会長の迦具夜が締めの挨拶をしていると、体育館の演台に上がってくる数人の者達がいた。

四人の男子生徒と一人の女生徒。男子生徒はいわゆる名家のお金持ちのぼんぼん、高位グループの男子生徒である。顔立ちは平凡だが、その血筋とお金でオブラートがかかり見た目は庶民からは上げ上げの良い男である。その傍らに控えているのは、くだんの女生徒だ。髪はショッキングピンク。凹凸の寂しい日本人には、少し、嫌かなり似合わない髪色だ。

「どうなさいましたか? 綾小路あやのこうじ隼人はやと様。」
平凡の顔だか、名前は格好いい。演台に上がって来た者に迦具夜は声をかけた。

月夜見つきよみ迦具夜かぐや!! 君との婚約は破棄させてもらう!! 」
唐突に、綾小路隼人は公衆の面前で迦具夜に婚約破棄を言い渡した。

「隼人様…… 」
隼人に指をさされ、言われた婚約破棄に迦具夜は驚きに目を見張った。

「えっ? 」
「婚約を破棄? 」
ざわざわと、体育館内の生徒達が演台を見つめてざわめく。

だが、隼人は気にすることなく言葉を続ける。

「君は酷い女性だ!! か弱い女生徒を虐めるなんて!! 」
「なんてことをおっしゃいます、綾小路あやのこうじ様!! 」
迦具夜かぐや様が、そのような事をする訳がありません!! 」
迦具夜の前に鈴音と鈴香は庇うように、責める隼人との間に入る。

「黙れ!! 彼女に起こる次々の事柄を月夜見つきよみ迦具夜かぐや、君がやっていたんだろう!! 」
隣のピンクの女生徒の肩を抱き、声高らかに隼人は叫ぶ。

「教科書を噴水に落としたのも、更衣室で制服を引き裂いたのも!! 」
「校舎外を歩いている上から物を落としたのも、運動場の倉庫に閉じ込めたのも!! 」
「階段から突き落としたのも!! 」
「総て月夜見つきよみ迦具夜かぐや。君が、やっていたんだろ!! 」
次々とグループの男子生徒が起こった事柄を指摘し、最後に綾小路隼人が迦具夜を責めた。

迦具夜かぐや様がそのようなことをやるはずありません!! 」
迦具夜かぐや様がやられる前に、私達がやります!! 」
鈴音と鈴香は本音を言った。

「君達がやっていたのか!! 」
「やるはずございません!! 」
「そのようなことをすれば、迦具夜かぐや様に厭われてしまいます!! 」
「「それは、地獄の苦しみです!! 」」
迦具夜の代わりに二人がやったのかと攻め立てれば、鈴音と鈴香は迦具夜に厭われることはしないとはっきりと応えた。

「やるならば、我等が殺るやること。」
「我々裏の者がすること。」
「誰だ、お前らは!! 」
いつの間にか男子生徒グループの後ろに、二人の男子生徒が。

疾風と火澄の目は感情なく冷たい、言葉の意味も何かしら違う。

「おやめなさい。」
迦具夜の凛とした声が、体育館内に響き渡る。鈴音と鈴香は頭を下げて、迦具夜に道を作る。

綾小路あやのこうじ隼人はやと様。」
にっこり微笑み、迦具夜は前に進み出る。

婚約破棄そのようなことを、公の場で言うのはよくありませんわ。」

ゆっくりと、隼人に近づく。

迦具夜の闇の瞳が、月のように光り煌めく。

「悪霊、退散!! 」

迦具夜は襟元から瞬時に取り出した扇子を、隼人の頬に振り当てた。

バッチーーン、と小気味よい音が体育館内に響き渡った。












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