8 / 9
七不思議、最後の場所。
しおりを挟む
朝の全校集会は、倒れる者が出ることなく終わりを告げた。
「此れで、全校集会を終わりますわ。」
生徒会長の迦具夜が締めの挨拶をしていると、体育館の演台に上がってくる数人の者達がいた。
四人の男子生徒と一人の女生徒。男子生徒はいわゆる名家のお金持ちのぼんぼん、高位グループの男子生徒である。顔立ちは平凡だが、その血筋とお金でオブラートがかかり見た目は庶民からは上げ上げの良い男である。その傍らに控えているのは、件の女生徒だ。髪はショッキングピンク。凹凸の寂しい日本人には、少し、嫌かなり似合わない髪色だ。
「どうなさいましたか? 綾小路隼人様。」
平凡の顔だか、名前は格好いい。演台に上がって来た者に迦具夜は声をかけた。
「月夜見迦具夜!! 君との婚約は破棄させてもらう!! 」
唐突に、綾小路隼人は公衆の面前で迦具夜に婚約破棄を言い渡した。
「隼人様…… 」
隼人に指をさされ、言われた婚約破棄に迦具夜は驚きに目を見張った。
「えっ? 」
「婚約を破棄? 」
ざわざわと、体育館内の生徒達が演台を見つめてざわめく。
だが、隼人は気にすることなく言葉を続ける。
「君は酷い女性だ!! か弱い女生徒を虐めるなんて!! 」
「なんてことを仰います、綾小路様!! 」
「迦具夜様が、そのような事をする訳がありません!! 」
迦具夜の前に鈴音と鈴香は庇うように、責める隼人との間に入る。
「黙れ!! 彼女に起こる次々の事柄を月夜見迦具夜、君がやっていたんだろう!! 」
隣のピンクの女生徒の肩を抱き、声高らかに隼人は叫ぶ。
「教科書を噴水に落としたのも、更衣室で制服を引き裂いたのも!! 」
「校舎外を歩いている上から物を落としたのも、運動場の倉庫に閉じ込めたのも!! 」
「階段から突き落としたのも!! 」
「総て月夜見迦具夜。君が、やっていたんだろ!! 」
次々とグループの男子生徒が起こった事柄を指摘し、最後に綾小路隼人が迦具夜を責めた。
「迦具夜様がそのようなことをやるはずありません!! 」
「迦具夜様がやられる前に、私達がやります!! 」
鈴音と鈴香は本音を言った。
「君達がやっていたのか!! 」
「やるはずございません!! 」
「そのようなことをすれば、迦具夜様に厭われてしまいます!! 」
「「それは、地獄の苦しみです!! 」」
迦具夜の代わりに二人がやったのかと攻め立てれば、鈴音と鈴香は迦具夜に厭われることはしないとはっきりと応えた。
「やるならば、我等が殺ること。」
「我々裏の者がすること。」
「誰だ、お前らは!! 」
いつの間にか男子生徒グループの後ろに、二人の男子生徒が。
疾風と火澄の目は感情なく冷たい、言葉の意味も何かしら違う。
「おやめなさい。」
迦具夜の凛とした声が、体育館内に響き渡る。鈴音と鈴香は頭を下げて、迦具夜に道を作る。
「綾小路隼人様。」
にっこり微笑み、迦具夜は前に進み出る。
「婚約破棄を、公の場で言うのはよくありませんわ。」
ゆっくりと、隼人に近づく。
迦具夜の闇の瞳が、月のように光り煌めく。
「悪霊、退散!! 」
迦具夜は襟元から瞬時に取り出した扇子を、隼人の頬に振り当てた。
バッチーーン、と小気味よい音が体育館内に響き渡った。
「此れで、全校集会を終わりますわ。」
生徒会長の迦具夜が締めの挨拶をしていると、体育館の演台に上がってくる数人の者達がいた。
四人の男子生徒と一人の女生徒。男子生徒はいわゆる名家のお金持ちのぼんぼん、高位グループの男子生徒である。顔立ちは平凡だが、その血筋とお金でオブラートがかかり見た目は庶民からは上げ上げの良い男である。その傍らに控えているのは、件の女生徒だ。髪はショッキングピンク。凹凸の寂しい日本人には、少し、嫌かなり似合わない髪色だ。
「どうなさいましたか? 綾小路隼人様。」
平凡の顔だか、名前は格好いい。演台に上がって来た者に迦具夜は声をかけた。
「月夜見迦具夜!! 君との婚約は破棄させてもらう!! 」
唐突に、綾小路隼人は公衆の面前で迦具夜に婚約破棄を言い渡した。
「隼人様…… 」
隼人に指をさされ、言われた婚約破棄に迦具夜は驚きに目を見張った。
「えっ? 」
「婚約を破棄? 」
ざわざわと、体育館内の生徒達が演台を見つめてざわめく。
だが、隼人は気にすることなく言葉を続ける。
「君は酷い女性だ!! か弱い女生徒を虐めるなんて!! 」
「なんてことを仰います、綾小路様!! 」
「迦具夜様が、そのような事をする訳がありません!! 」
迦具夜の前に鈴音と鈴香は庇うように、責める隼人との間に入る。
「黙れ!! 彼女に起こる次々の事柄を月夜見迦具夜、君がやっていたんだろう!! 」
隣のピンクの女生徒の肩を抱き、声高らかに隼人は叫ぶ。
「教科書を噴水に落としたのも、更衣室で制服を引き裂いたのも!! 」
「校舎外を歩いている上から物を落としたのも、運動場の倉庫に閉じ込めたのも!! 」
「階段から突き落としたのも!! 」
「総て月夜見迦具夜。君が、やっていたんだろ!! 」
次々とグループの男子生徒が起こった事柄を指摘し、最後に綾小路隼人が迦具夜を責めた。
「迦具夜様がそのようなことをやるはずありません!! 」
「迦具夜様がやられる前に、私達がやります!! 」
鈴音と鈴香は本音を言った。
「君達がやっていたのか!! 」
「やるはずございません!! 」
「そのようなことをすれば、迦具夜様に厭われてしまいます!! 」
「「それは、地獄の苦しみです!! 」」
迦具夜の代わりに二人がやったのかと攻め立てれば、鈴音と鈴香は迦具夜に厭われることはしないとはっきりと応えた。
「やるならば、我等が殺ること。」
「我々裏の者がすること。」
「誰だ、お前らは!! 」
いつの間にか男子生徒グループの後ろに、二人の男子生徒が。
疾風と火澄の目は感情なく冷たい、言葉の意味も何かしら違う。
「おやめなさい。」
迦具夜の凛とした声が、体育館内に響き渡る。鈴音と鈴香は頭を下げて、迦具夜に道を作る。
「綾小路隼人様。」
にっこり微笑み、迦具夜は前に進み出る。
「婚約破棄を、公の場で言うのはよくありませんわ。」
ゆっくりと、隼人に近づく。
迦具夜の闇の瞳が、月のように光り煌めく。
「悪霊、退散!! 」
迦具夜は襟元から瞬時に取り出した扇子を、隼人の頬に振り当てた。
バッチーーン、と小気味よい音が体育館内に響き渡った。
13
あなたにおすすめの小説
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる