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スーパーですが、それがなにか?

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「足んねえな。」
まじ、足んねえですよ。おむすび2個じゃ。大の大人がおむすび2個? なめとんか!! ですわ。
子供達は、まあ小さいから……。
「お皿を舐めるんじゃ、ない。」
一粒残さず食べるのは良いことだが、何も付いてない皿を舐めるんじゃない。
(何か、買ってくるか? )
だが、残高は残り少ない。
俺は、悩みまくった。しかし、グリグラさんがすいとん鍋と焼きジャガイモを持ってきた。
(流石は、メアリーさん。解っていらっしゃる。)
だとしたら、調味料で良いか。
(カレー? 駄目だ、カレーはご飯が必要だ。ジャガイモはある、後ニンジンと玉葱を入れて。)

「そうだ、シチューにしよう。」
俺は ぽんと拳を打った。
「何だ、そのシチューとは!? 」
耳聡い、王様が声を上げた。
「シチューて、なあに? 」
「食べるもの? 」
「「「食べたい、食べたい!! 」」」
子供達も参戦する。

(はい、はい。食べ物ですよ。)

「メアリーさん。その鍋そのままにして置いて下さい。ちょっと、買い出しに行って来ますので。」
「このままて? 買い出し? 」
驚くメアリーさんに、俺は笑った。何を驚いてるのかな。
「さっきの豚汁の様に、食材を足しますのでそのままで。」
俺は、コンロの上を指さし。
「此所に、置いて下さい。」
メアリーさんは、コンロを見た。
「このなんか、トゲトゲした上かい? 」
「ええ、そこの上です。」
メアリーさんは そーっと、大きな鍋を置いた。
「あっ、ジャガイモも一口大にして入れておいて下さい。」
俺は、包丁とまな板をシンクの上に置いて頼んだ。メアリーさんは、包丁を見て驚いている。
「良く切れそうな、刃物だね。」
「良く切れますから、来お付けて。では、俺は買い出しに行ってきます。」
そそくさと、玄関の方へ。

「ちょっと待て!! 」
「買い出しとは? 何処に行く気です? 」
ボブさんとマックス王子の声がしたけど、無視。俺は玄関で靴を履いて、スーパーの文字を『ポチッ』と押しドアを開けた。
「「ノボル!! 」」



「此所は。」
「何だ!! 此所は!! 」
「スーパーですが、それがなにか? 」
スーパー以外に、何と言えばいい。この世界には、スーパーはないのか。そうそう。

「「スーパー!? 」」
「店です。物を売る、店です。」
店ならどの世界にもあるでしょう。あるよね。
「食べる物に特化した店舗です。」
「いや、そう言う意味で聞いたのでは……。」
「そうだ、ノボル!! いったい此所は、何なんだ!? 」
「ですから、スーパーです。」
何言ってんのかな、ボブさん。

(もしかして、頭は拓哉並み。)
哀れみの目で、ボブさんを見る。
「そんな、目で見るな。」
あ、解っちゃいました。哀れみの目。そこは拓哉とは、違うね。

「其れより、皆待ってますので。ちゃちゃと、買い物を……。」
マックス王子、冷蔵庫? 商品置き場の機械にへばり付いています。
(やめて、美形が台無しです。)

「これは、この上の方から冷たい風が。これの所為で、この屋敷が涼しいのか。」
マックス王子は上に、手を翳す。
「いや、この屋敷内より更に冷たい? これは、ノボルの家に在った。あの大きな箱の様に、冷たい。」
(うん。ほっとこう。)
俺は籠を持って、買い物に。
「マックス王子。待て、ノボル!! 」
待ちません、俺は忙しい。
家には『可愛い七つの子がいるからね』+『王様』。
俺は、野菜を籠に放り込む。ほら、形か悪くて安い袋に詰められなニンジンとか。ネットに大量に入った小さい玉葱を。切れば味は同じなので、俺は気にしない。お肉は安い、鶏胸肉。
シチュールウの処で、ハタと思う。
「業務用スーパーの方が、安いか? 」
野菜とか肉は良いけど、ルウは業務用スーパーで買うか。ゴミがゴロゴロしそうだし。
「でも、今日は面倒だし今度からにしよう。」
俺は、シチューのルウを八箱籠に入れた。レジへと向かった。ちゃちゃと、支払いを済まして出ようと思った時。
「忘れてた。」
忘れてましたよ、マックス王子&ボブさん。
「回収しなければ。」
俺が出たら、あの二人は此所でどうなるのか解らない。
「朝になったら ぺっ、されるのかな? 」
(そう『ぺっ』て……。)

「忘れてた!! 朝になったら『ぺっ』されるんだ!! 」
俺は、大変なことを思い出した。朝になったら『ぺっ』される。あの小さい小屋に、50と1人。『ぺっ』されたら、ぎゅうぎゅうですよ。
(赤ちゃん死んじゃう。)
俺、人殺しは嫌ですよ。早く、皆に言わないと。
「マックス王子&ボブさん何処!! 」
俺は、辺りを見回した。

「これは、氷を作る魔道具か。」

はい、いました。ほら、あの氷を作る機械に張り付いてました。氷が出来て落ちる音に引き寄せられて、やって来たようです。ドアを開けて、氷を摘まんでます。
「こんな魔道具、見たことがありません。」
ボブさんも、張り付いてました。
裏を見ようと、二人して動かそうとしています。
(やめて、壊れちゃう。)
俺は、止めに入った。
「やめて下さい、壊れますから。」

「しかし……。」
「戻りますよ。」
二人は、特にマックス王子は、名残惜しそうに見ている。

「大変なことを思い出したのです。」
「「大変なこと!? 」」
俺の言葉に、二人は真面目な顔を此方に向けた。
「はい。」
俺も、真面目な顔で応えた。
「朝になると『ぺっ』されるんです。」
「「『ぺっ』!? 」」
二人は訳が分からない、顔をして驚いていた。














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