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星に願いを。

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俺は今、星に願いを込めている。

「お小遣い、ちょうだい。」

パンパンと、手を叩き合わせる。
勿論、眼鏡なしで目をうるうる潤ませて。
(これで、チョロい二人には完璧だ。)


朝に成ると『ぺっ』されることは皆に伝わった。俺の目覚まし時計を差し出し、鳴ったら起きて外に出ることになった。
(そのまま寝てたら、あの小屋に満員ですわ。)
勿論、目覚まし時計はボブさんが守護している。解体しそうな勢いのとある人物が見ていたから。

俺は外に出て、星に願いを込めている。軍資金が無いからである。
三日で、使い切るとはどれだけの散財。
(いや、殆どタクシー代で消えたんですが。)
「くっ、ワープ堪能したかった。八万円位取られたのに。眠っていたなんて。」
(タクシーの呼び出しに、しょぼい魔力を取られて眠ってしまったなんて。)

「はぁ。」
俺は、溜息を着いた。
赤ちゃんの為に、エアコンが欲しい。お城の部屋にエアコンを。創造は出来る、多分。
「個室より、小さいから『ばたん、ぐー。』はないと思う。」
(だが、どうやって着ける? だいたい、電気は如何する? )
「電気器具は創れるが、魔道具は創れない。」
そして何より、無機物は創れるが有機物が創れない。つまり、食い物が創れない。
「詰んだわこれ。」
五十人の食欲魔神共がいるんだぞ。創造主の癖に、生き物も創れない。
(何其れ、星だって生きてるんだからな。)
「生きてるのか? 」
星は無機物の塊の筈。
「でも、俺やテル達は……。」
俺達は、力の塊。
「うん、わからないや。」
考えるのは、やめよう。頭がいたくなる。
(取り敢えず、生き物も食い物は創れないと言うことで。)

だから、俺は星に願いを込める。

「お小遣い、ちょうだい。」

ぱんぱんと、手を叩き合わせる。
つまり『神頼みだ』神なのに。




「うっ……。」
ポロポロと、美しい涙を流す金髪の女性。天照こと、テル。
「くっ…。」
涙を滝のように流す白髪の男性。須佐之男こと、スサ。
「………。」
無症状に二人を見る、銀髪の男の娘。月読こと、ツクヨ。

大広間の板の間の上で、悶える二人。持ち込んだベットの上から、冷めた氷の瞳で見るツクヨ。

「ルーンが、あのルーンが。私に御願いを。」
「ああ、あのノボルが俺に我が儘を。」
「………。」

((引き篭もりの、食う鱈よりも惰眠をむさぼり尽くしていたあのルーンが!! ))

「何を言ってるの? ルーンは『私』に、御願いをしてるのよ。」
「はぁ? 俺に、我が儘を言っているんだ。」
既に、臨戦態勢強い魔力がバッチバチ。炎と風の渦が、周りを壊し灰に変えていく。其所は、地獄の業火となった。
キラキラと、お外の空が満面。

「ばか、きらい。」
冷たい声が、辺りを凍らした。ツクヨの、言葉が増えた。『ばか』と。

「いやぁああああああ!! 」
「やめろぉおおおおお!! 」
二人は、ツクヨに縋った。
「ごめんなさぁあい!! 」
「ゆるしてぇえええ!! 」
二人は、泣いて縋った。
「「嫌わないで!! 」」

「なかよし? 」
ツクヨは、可愛らしく首を傾げた。可愛いお目々がきゅるんと、二人を見る。二人は、血を吹き出した。

鼻から。

「はぁ、はぁ、心臓が!! 」
「はぅ、はぅ、止まる!! 」
((可愛すぎる!! ))

「「ルーン(神)よ、もう死んでも良い。」」
二人は、ツクヨを抱き締めた。
「しぬ、だめ!! 」
「「がはっ!! 」」

二人は、その場に倒れた。
ツクヨの可愛らしい言葉に、撃ち抜かれた所為だ。

ベットの上に、倒れる二人。ツクヨは、ツンツンと突っつく。
「しんだ? 」
心配そうなツクヨの声に、
「死んでないわ!! 」
「生きてるぞ!! 」
二人は、復活した。
二人してツクヨに抱き着き、頬をスリスリする。

「私の心配をしてくれて。」
「俺の心配をしたんだな。」

「何を言ってるの? ツクヨは『私』を、心配してるのよ。」
「はぁ? 俺を、心配しているんだ。」
再び、臨戦態勢強い魔力がバッチバチ。ルーンの力で再構築された建物を炎と風の渦が、周りを壊し灰に変えていく。其所は、再び地獄の業火となった。
キラキラと、お外の空が満面に見える。

「きらい、ばか。」
冷たい声が、辺りを凍らした。ツクヨの言葉が、二人を射抜く。

「いやぁああああああ!! 」
「やめろぉおおおおお!! 」
二人は、ツクヨに縋った。
「ごめんなさぁあい!! 」
「ゆるしてぇえええ!! 」
二人は、泣いて縋った。
「「嫌わないで!! 」」

「ぷーぅ。」
可愛らしく頬を膨らますツクヨに、二人は血を吹き出した。
無論、鼻血だ。

(眼福だわ。この幸せをどう表せば、いいの。ルーン、お助けを。)
(ああ、どうかしてしまいそうだ。体中が叫び声を、あげたくなる!! )

其所時、二度目のノボルの声が。お目々、きゅるるんのぱちぱち。

「お小遣い、ちょうだい。」
「「よろこんで!! 」」
テルとスサは、酒場の店員のように声を上げた。
二人は、やはりチョロかった。
ツクヨは、
「ばか。」
と、可愛らしく首を傾げる。


ノボルには、チョロい二人の声は聞こえなかった。だが、御願いをすると部屋に戻って惰眠をむさぼるのであった。






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