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甘い物は別腹です。

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泣かれました。綺麗なお姉さんとの楽しい会話に遅くなったので、夕食にと出来合い物の食事を買って帰ったら。
泣かれました。主に料理の美味しさに、そしてメアリーさんとグリグラさんに。
「もう、私達はお役御免だね。」
「「俺達は、クビですね。こんな美味しい料理が簡単に手に入るのでは……。」」
めっちゃ、泣かれました。
いやいや、出来合い物は味が濃くて塩分が高いからね。体にはやはりバランスよく食べないと、好きな物ばかり買ってしまうから。何よりメアリーさんの本気の料理、まだ頂いていませんから俺。

「何、言ってんですか。俺まだ貴族の高級料理、頂いてませんよ。」
「貴族の高級料理……。」
「本気の料理を食べさせて下さい。」
「ふっ……。」
(あれ? 黄昏れている。)
明後日の方を向きメアリーさん三人は黄昏れていた。清々しい笑顔で応えてくれた。
「こんな柔らかいパンなんて、私には無理さ……。」

(はい、スサ。正座決定。)
あの馬鹿。自分が食べないからって、狩りばかりして食生活顧みなかったな。星の管理者として失格、俺は心の中でスサを土下座させた。

「作り方と材料さえあれば、メアリーさんなら直ぐに出来ます。」
俺はメアリーさんを必死に慰めた。ついでにグリグラさんも慰めた。
「あたしに、出来るかい? 」
「出来ますとも、あの包丁捌き只者ではありません。」
「そうかい。」
メアリーさんが復活した。
(よかった。)
何時でも買いに行けるものじゃないからね。
(俺だって、寝たいし。)
材料と作り方を教えれば、きっと美味しい御飯が食べれる。
俺は高級料理を夢見ながら、デザートを食べるために珈琲の粉と紅茶の葉を出す。子供用にオレンジジュースを出した。
まずは飲み物を用意して。

「食事の後は甘い物を。」
デザートのケーキを取り出した。匂いで甘い物だと感じ取った子供と女性陣が……王様達男性陣も目をキラキラさせてケーキを見ています。
「ふんぱつしました。」
クリスマスと誕生日が一緒に来た位にホールケーキを買いました。なんせ、懐が温かい。
(ちょっこし、嫌なことがあったしね。)
そんな時は、甘い物に限る。
イチゴケーキにチョコレートケーキ、モンブランにチーズケーキ。テーブルの上に2ホールずつ並べ見ました。
目線はイチゴケーキに釘付けです、やはり白いケーキは目をひくのでしょう。上のイチゴが飴を被ってキラキラ輝いてます。
(まずい、このままではどれを食べるかで喧嘩になってしまう。)
「よし、クジ引きにしょう。」
「「「クジ引き? 」」」
「喧嘩にならないようにどれを食べるかクジ引きで決めよう。」
「「「えっーー!! 」」」
「大丈夫、どれも美味しいから。」
割り箸のくっいてる方に色を塗る。四本ずつ赤、茶、黄色と色無し。二つに割って大きめのコーヒーカップに入れる。先ずは子供達から引かす。
『ギャアー』『うわぁ』と喜ぶ子やがっかりした子もいる。
メアリーさんに棒を渡し、ケーキを取って貰う。食べた途端、がっかりしていた子も笑顔になった。一口ずつ変えっこして、食べている。
次に女性陣、目が恐いので先にクジを引いて貰う。これもまた子供達と同じに変えっこして食べていた。男性陣も他の物が気になるのか変えっこして食べてました。
女性陣の目がテーブルの上に注がれています。
(あ、気付いちゃいました? )
そうです、残ってますよケーキ18個。ここは男性陣には、我慢して貰いましょう。
(女性の甘い物の怨みは恐いですからね。)
女性陣は十三人、後4個は半分にして子供達に。
(え、計算が合わないって? 勿論俺の分も入ってますよ、当然でしょう。)
男性陣の特に王様の哀しそうな目を無視して食べました。残りのケーキの半分も俺が頂きました。
(喧嘩になったら困るしね。)
でも可哀想なので、男性陣にはバナナを出してあげました。
(何故か、大量にあるから。)

俺がお風呂から出ると女性陣が入りたそうにしていたので進めてみました。入れて二人なので、順番に入ってついでに子供達も入れて貰いました。シャンプーやリンス、石鹸を喜んで使ってました。
「男性陣は外で水浴びをして下さい。」
「なんか俺達雑じゃないか? 」
ボブさんが仰るので。
「女性に外で水浴びをさせる訳にはいかないので。」
と言うと、黙りました。
(まあ、城が出来たら大浴場があるからそっちに入ってね。)
それまで、水浴びでお願いします。
(熱いから、いいよね。)

「では俺は寝ますので、後は宜しくお願いします。」
俺眠いので寝ます、今日は色々あって疲れました。
静にボブさんに目覚まし時計を差し出します。
「壊さないでくださいね。」
朝『ぺっ』とされる前に小屋から出なければならないから。
「おやすみなさい。」
俺は部屋に入り、眠りに落ちた。
次の日、もの凄いボブさんの揺さぶりで目を覚ましました。
「ノボル!! ノボル!! 起きろ、起きるんだ!! 」
(………ぁ……。)
「地震ですか、揺れてます。」
と、思ったらボブさんの揺さぶでした。
「いいから起きろ、ノボル!! 外に来てくれ!! 」
ぼーっとしてたら抱き上げられました、美形のマックス王子にお姫様抱っこをされ、お外へ。小屋の外へと連れ出されました。
「あ、結構力あるんですね。」
(優男なのに。)

「目を覚ませ。そして見ろ、あれを。」
「そうだ見ろ、ノボル!! アレを!!」
「あれ? 」
ぼーっとした頭で見ると、其所にはシンデレラ城ぽい物が。
「………、夢か。」
















    
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