【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
11 / 45
婚約者は、妹を選ぶ。(本編)

シエリアとエドワード。

しおりを挟む
覚悟を決めてエリシアは廊下を歩く。その前にシエリアが階段から飛び降りてきた。

「シエリア。」
「おっさき~っ!! 」
ぱたぱたとピンクのドレスを持ち上げて駆け足で走るシエリア。ふわりとした金の髪がふわふわと揺れている。

「エドワードさま~ 」
猫なで声を出して、エリシアより早く応接間に入りエドワード彼の腕にしがみつく。

「ああ、エリー。」
彼エドワードはしがみついて来たシエリアに微笑み、挨拶をする。しがみつかれた腕を振り解こうともせずに。

「シア…… こんにちは。」
エドワードは困ったような笑顔を、扉から入って来たエリシアに向ける。

目の前で仲睦まじくしているシエリアと、エドワードを見るとエリシアの決意がしぼんでくる。

「殿方は、やっぱり可愛い女性が好きなのね。」
お茶の席で目の前でイチャつく二人をエリシアは悲しそうに見ていた。


その頃、

「な、なぜ!! 何故シエリアあの娘が、応接間あそこに居るのよ!! 」
応接間が見える反対側の二階の窓から双眼鏡で覗いていた母が叫んだ。

「確かに睡眠薬くすりは効いていたのに!! 」
「速効に効いていた、速効に解毒して目覚めたのだな。」

(薬が弱すぎたか。)

やはり可愛い娘の為に、強い薬を盛るのはためらわれた。

「追い出すわ!! 」
「だ、駄目だ!! 」
部屋を出ようとした妻を体を張って夫は止めた。

「駄目だ危ない!! 」
「二階くらいなら大丈夫よ!! 若かりし頃は、コレくらい!! 」
妻は二階ら飛び降りようとしていた。妻もまた、シエリアと同じ身体能力はよかった。

「駄目だ!! ドレス姿で飛び降りようなんて、怪我でもしたらどうする!! 」
夫は必死で止める。
若かりし頃と今では違うとは、口にはしない。

「彼らは逃げはしない、ドアから出よう。ドアからな! 」
「分かったわ、あなた。」
急く気持ちを押さえて母はドアから部屋を出ると、応接間へと走った。

「待ってくれ!! 妻よ!! 」
夫を振り切って妻は走る。シエリアまでとは行かないが、彼女もとても速かった。


一方コチラは、

「ねぇ、エドワードさま~ エリー、聞きたいことがあるの~ 」
相変わらずシエリアは腕に胸の脂肪を押し付ける。猫なで声で上目遣いでエドワードを見据える。

「プレゼントのこととか~ 花束のこと~ 」
「そ、それは…… 」
シエリアは腕にしがみついて放さない、逃さないよう力を込めた。

エリシアはシエリアの言葉に、沈黙する。エドワードに聞きたくて、聞けなかった言葉。

「エリー、プレゼントも花束も嬉しかったの~ 」
シエリアの目が、鋭く光る。

「でもね、お母さまがて言うの~ 二人にプレゼントや花束を贈ることは。」
シエリアの言葉にエドワードは、顔をあげてエリシアを見る。

目が合う二人。

「エドワードさまは、エリシアの縁談相手でしょう? 」
シエリアの言葉にエドワードの顔色が変わる。

「ねぇ、コレってのこと、好きってこと? 」

エドワードは観念した、もう逃げるとこはできないと。

「すまない、この縁談はなかった事にしてもらいたい。」
エドワードは俯いて、応えた。

エリシアは声が出るのを両手でおさえた。


「どうして? ずっと見てたじゃない!! 」
「すまない、本当にすまない!! 好きな人ができてしまったんだ!! 」


「なんですってーー!! 」

バアアアアーーン!!

応接間に駆けつけてきた母は思いっ切り、ドアを蹴破った。

息を乱しながらも食らいついてきた父も後に続く。

「今、なんて言ったの、あなた!! もう一度、言ってみなさい!! 」
母は懐から取り出した扇子をエドワードに向けた。

「私は、を、」
「えっ? 」
エリシアは声をあげた。

「初めて会った時から、に、シエリアに恋してしまったんだ!! 」
エドワードは叫び、シエリアに向き直り頭を下げる。

「エリー、エリシア。君がこの縁談を、積極的思ってくれるのは嬉しい。だけど、私は…… 」
「わたし、。」
片手をあげて、シエリアは自分の名前を言った。

「えっ? 」
エドワードは驚きに目を開けて、聞き直した。

シアの、エリーだろ? 」
「シアのエリーよ。」
エドワードは沈黙した。

エドワードはぎこちなく顔をエリシアに向けると、エリシアは困ったように笑顔を見せた。


「取り敢えず、座って話そうか。」
父の重い言葉が応接間に響いた。


しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜

鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。 けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。 「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。 ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。 そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。 学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。 けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。 暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。 ※長くなりそうだったら長編に変更します。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!

恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。 誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、 三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。 「キャ...ス...といっしょ?」 キャス……? その名を知るはずのない我が子が、どうして? 胸騒ぎはやがて確信へと変わる。 夫が隠し続けていた“女の影”が、 じわりと家族の中に染み出していた。 だがそれは、いま目の前の裏切りではない。 学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。 その一夜の結果は、静かに、確実に、 フローレンスの家族を壊しはじめていた。 愛しているのに疑ってしまう。 信じたいのに、信じられない。 夫は嘘をつき続け、女は影のように フローレンスの生活に忍び寄る。 ──私は、この結婚を守れるの? ──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの? 秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。 真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。 ※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡

もう何も信じられない

ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。 ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。 その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。 「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」 あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。

ほんの少しの仕返し

turarin
恋愛
公爵夫人のアリーは気づいてしまった。夫のイディオンが、離婚して戻ってきた従姉妹フリンと恋をしていることを。 アリーの実家クレバー侯爵家は、王国一の商会を経営している。その財力を頼られての政略結婚であった。 アリーは皇太子マークと幼なじみであり、マークには皇太子妃にと求められていたが、クレバー侯爵家の影響力が大きくなることを恐れた国王が認めなかった。 皇太子妃教育まで終えている、優秀なアリーは、陰に日向にイディオンを支えてきたが、真実を知って、怒りに震えた。侯爵家からの離縁は難しい。 ならば、周りから、離縁を勧めてもらいましょう。日々、ちょっとずつ、仕返ししていけばいいのです。 もうすぐです。 さようなら、イディオン たくさんのお気に入りや♥ありがとうございます。感激しています。

番ではなくなった私たち

拝詩ルルー
恋愛
アンは薬屋の一人娘だ。ハスキー犬の獣人のラルフとは幼馴染で、彼がアンのことを番だと言って猛烈なアプローチをした結果、二人は晴れて恋人同士になった。 ラルフは恵まれた体躯と素晴らしい剣の腕前から、勇者パーティーにスカウトされ、魔王討伐の旅について行くことに。 ──それから二年後。魔王は倒されたが、番の絆を失ってしまったラルフが街に戻って来た。 アンとラルフの恋の行方は……? ※全5話の短編です。

処理中です...