【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
16 / 45
楽しい旅行。

不吉なシエリアの言葉。

しおりを挟む
夕焼け迫る頃、子供達と遊んで満足したシエリアが二人の元に帰って来た。

「シア、エドワードさま~ 夕ご飯は夕焼けが見えるお店に行きましょう~ 」
そう言って、シエリアは腕にしがみついた。

「エリー、放して…… 」
「え~~ いいじゃない、コレくらい普通、普通~ 」
シエリアはじゃれつく猫のようにしがみついて放さない。

「エリー…… 」
「その、シエリア嬢…… 放してくれないか…… 」
「え~~ やだ~~ 」
シエリアは頭までこすりつけた。

「頼む、その場所を譲ってくれないかシエリア嬢。」
「仕方ないな~ デザート2つ。」
「エリー。」
エドワードは頷いた。
シエリアはホクホク顔で、エリシアの右腕を放して左腕にしがみついた。

「ごめんなさい…… 」
「いや、行こうか。」
エドワードは左腕を折り曲げる、その腕にエリシアはそっと右手を置いた。エスコートである。
エリシアの左腕にはシエリアがしがみついているが。

真ん中にエリシアで、両手に花である。

「シア、シアは何が食べたい? エリーは~ やっぱり海鮮かな~ 」
「そうね、海に来たなら海鮮かしら。」
楽しそうに話す二人に疎外感を感じるエドワードであった。

エドワードのデートプランでは、二人っきりで夜景の綺麗な丘の近くの店でディナーしてその後丘へ行くつもりであった。

夜風に震えるエリシアにそっと上着をかけ、できれば恋人つなぎの手をつなぎたいと思っていたのだ。

(ああ…… 此処まで来る途中までは、楽しかったな。)
馬車の中で二人っきり、つたない話をしながらエリシアの事を知っていく。自分の事も知ってもらい、どれ程嬉しかったか。

目を瞑り、しみじみと思う。

この旅行の為に大量の仕事を片付けて来たと言うのに。

王都を出て暫くの間はエリシアと語り合い、ディナーは夜景の綺麗な丘の近くですませその後は、

「見に行こう。」
「はい。」
エドワードがエリシアを誘うと、頬を染めて頷いてくれた。幸せの絶頂だった。

「そのお店、海鮮料理ある? 」
シエリアが馬車上から、窓に張り付くまでは。

「きゃーー、シエリア!! 」
「馬車を止めろーー!! 」
エリシアは悲鳴をあげ、エドワードは馬車を止めろと叫んだ。

馬車が止まると、シエリアは上から飛び降りてきた。

「エリー、いつから? 」
「最初から~ 」
心配して馬車から降りてきたエリシアに抱きつく。驚いてるエドワードに向かって不敵に笑った。

「海鮮料理、たのしみ~ ね、ね、シア!! 」
「え、ええ、そうね…… 」
腕を捕まえてそのまま馬車に乗り込む。もちろん、席はエリシアの隣に陣取る。

「エドワード様…… 」
「エリシア…… 」
二人は困ったように目を合わせた。

「うふふっ。楽しい、楽しい、旅行よ~~ 」
シエリアだけが、空気を読まず楽しそうであった。

お昼を途中の店で軽くすまし、馬車は夕方前に目的地につく。

シエリアは馬車から飛び降りると、丘滑りをしている子供達の方へと走り出した。

先に降りて、手を差し出したエドワードを無視して。だが、さり際にエドワードに囁いた。

「きっとをエドワードさまは、喜ぶわ。」 
「えっ? 」
エドワードは走り去るシエリアに振り返る。

「エドワード様? 」
「ああ、エリシア。」
エドワードは疑問に思いながらも、エリシアに手を差し出す。

『わたしが来たことをエドワードさまは、喜ぶわ。』

(俺が? いや、ないないない。)
シエリアの言葉を思い出して、首を振る。

「きれい…… 」
潮風が彼女のさらさらの金髪を撫でる。

「君の方がずっと…… 」
傍らに寄り添いエドワードはエリシアを見つめながら呟いた。優しい瞳がエリシアを見詰める。

『わたしが来たことをエドワードさまは、喜ぶわ。』
不吉シエリアの言葉。

(喜ぶはずはないだろう。)
丘の上を三人で歩く。エドワードは少しキツ目で、エリシアにしがみついているシエリアを見る。

「エドワード様? 」
そんなエドワードにエリシアは少し不安になるのだった。






しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

くれくれ幼馴染に苦手な婚約者を宛がったら人生終わった

毒島醜女
恋愛
人のものを奪うのが大好きな幼馴染と同じクラスになったセーラ。 そんな幼馴染が自分の婚約者であるジェレミーに目をつけたのは、不幸中の幸いであった。 苦手な婚約者であるジェレミーと彼女をくっ付けてやろうと、セーラは計画する…

「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜

水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」 効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。 彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。 だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。 彼に残した書き置きは一通のみ。 クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。 これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。

一年だけの夫婦でも私は幸せでした。

クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。 フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。 フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。 更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。

探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?

雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。 最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。 ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。 もう限界です。 探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。 私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。

ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~

水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。 婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。 5話で完結の短いお話です。 いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。 お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

処理中です...