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楽しい旅行。
不敵なシエリア。
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『わたしが来たことをエドワードさまは、喜ぶわ。』
その言葉が真実になるとはエドワードは思わなかった。
「君は、女神だ。」
エドワードは横に座ったシエリアの差し出された右の手のひらに手を置いた。シエリアは不敵にエドワードに笑ってみせる。
「そんな…… 」
エリシアは両手を口をおさえた。出てきそうな悲鳴を抑えるために。
(エドワード様とシエリアが…… )
エリシアは先程の事を思い出す。シエリアが自分を花摘みに行かせようと、何度も勧めたことを。
(シエリアはエドワード様の事を、好きなの? )
食事が終わり、これから星降丘に行く前にシエリアがエリシアに花摘みを勧めた。
席を離れたその隙きに、シエリアはエドワードの隣を陣取りあまつさえ手を握っている。
(シエリアが本気を出せばエドワード様だって、きっと…… )
シエリアに少しコンプレックスを持っているエリシアは、かなりシエリアを過剰評価していた。
|シエリアの性格を知って恋愛感情を持つ男性がいない事を、エリシアは受け止めていなかった。
(やっぱり、胸。胸よね。)
エリシアのコンプレックスはシエリアと違う胸であった。
『胸だけで婚姻しようとする男は、余程の馬鹿か余程の金持ちだけだ。』
と、父がいたら言いたかっただろう。でも娘に嫌われるのが怖くて言えない小心者の父である。
「シア!! 」
呆然と思考に埋まって立ち尽くすエリシアに、シエリアが気づく。席から立ち上がりエリシアに抱きついた。
「エリー…… 」
複雑な顔をするエリシアにシエリアは微笑む。
「じゃ~ 後はお二人で楽しんで~ ふふっ。」
「えっ、エリー? 」
シエリアは左手を口元にあてて、いやらしそうに笑った。そしてスキップをしてその場を後にする。
「お小遣い、ゲットよ~!! 」
歓喜な声が届き見ると、シエリアの右手には数枚の紙幣が握られていた。
「どう言うこと? 」
「俺から説明するよ、歩きながら話そう。」
満面の笑みでエドワードはエリシアに手を差し出した。
エリシアが花摘みに行った後、シエリアはエドワードの隣の席に座った。エドワードは眉間に皺を寄せた。
当然だ、エリシアに見られたらどんな誤解を受けるかもしれない。
直ぐさま、立ち上がり避けようとした所を腕を捕まれ座らされる。
「エドワードさま~ エリーが来て嬉しいでしょ~ 」
猫なで声で上目遣いでシエリアはエドワードを見る。
益々眉間に皺が寄るエドワード。
「嬉しくはない。」
「嬉しいわよ。」
シエリアは不敵に言う。
「エリーじゃなかったらお父さま、護衛を頼んでたわよ~ 」
「護衛? 」
エドワードはシエリアの言葉に耳を向ける。
「そうそう、エドワードさまからシアを守る護衛。」
「オオカミ? 」
エドワードはなんの事だか分からなかった。
「護衛の人は仕事だから、お父さまに言われた事はきっちり守ると思うの。」
「シュガレス殿の? 」
やはりエドワードは分からない。
「エドワードさまを近づけるな、と。」
「オオカミを近づけるな? 」
首を傾げてシエリアを見る。
「想像してみて。」
シエリアはエドワードに促す。
「護衛を挟んでのデート。」
護衛はきっちり仕事をする。
エドワード《護衛》エリシア。
と、並びになる。
想像してみる。
「エリシアあの花綺麗だね。」
「………(護衛)」
「ええ、エドワード様。」
(すっごく、嫌だ!! )
「君は、女神だ。」
シエリアはエリシアにしがみついていても、間に入っては来ない。護衛をつけられたらと思えば、シエリアが女神に見える。
「わたしも、野暮じゃないわ。」
シエリアは静かに右の手のひらを出す。エドワードは察した。
懐から財布を出すと数枚の紙幣をシエリアの手のひらに乗せる。
その場をエリシアに見られていたのだ。
「羽目は外さないでね。」
「無論だ。」
そしてシエリアはエリシアを見つけ抱きしめ、
「お小遣い、ゲットよ~ 」
と喜んでシエリアはスキップをして店を出て行った。
その言葉が真実になるとはエドワードは思わなかった。
「君は、女神だ。」
エドワードは横に座ったシエリアの差し出された右の手のひらに手を置いた。シエリアは不敵にエドワードに笑ってみせる。
「そんな…… 」
エリシアは両手を口をおさえた。出てきそうな悲鳴を抑えるために。
(エドワード様とシエリアが…… )
エリシアは先程の事を思い出す。シエリアが自分を花摘みに行かせようと、何度も勧めたことを。
(シエリアはエドワード様の事を、好きなの? )
食事が終わり、これから星降丘に行く前にシエリアがエリシアに花摘みを勧めた。
席を離れたその隙きに、シエリアはエドワードの隣を陣取りあまつさえ手を握っている。
(シエリアが本気を出せばエドワード様だって、きっと…… )
シエリアに少しコンプレックスを持っているエリシアは、かなりシエリアを過剰評価していた。
|シエリアの性格を知って恋愛感情を持つ男性がいない事を、エリシアは受け止めていなかった。
(やっぱり、胸。胸よね。)
エリシアのコンプレックスはシエリアと違う胸であった。
『胸だけで婚姻しようとする男は、余程の馬鹿か余程の金持ちだけだ。』
と、父がいたら言いたかっただろう。でも娘に嫌われるのが怖くて言えない小心者の父である。
「シア!! 」
呆然と思考に埋まって立ち尽くすエリシアに、シエリアが気づく。席から立ち上がりエリシアに抱きついた。
「エリー…… 」
複雑な顔をするエリシアにシエリアは微笑む。
「じゃ~ 後はお二人で楽しんで~ ふふっ。」
「えっ、エリー? 」
シエリアは左手を口元にあてて、いやらしそうに笑った。そしてスキップをしてその場を後にする。
「お小遣い、ゲットよ~!! 」
歓喜な声が届き見ると、シエリアの右手には数枚の紙幣が握られていた。
「どう言うこと? 」
「俺から説明するよ、歩きながら話そう。」
満面の笑みでエドワードはエリシアに手を差し出した。
エリシアが花摘みに行った後、シエリアはエドワードの隣の席に座った。エドワードは眉間に皺を寄せた。
当然だ、エリシアに見られたらどんな誤解を受けるかもしれない。
直ぐさま、立ち上がり避けようとした所を腕を捕まれ座らされる。
「エドワードさま~ エリーが来て嬉しいでしょ~ 」
猫なで声で上目遣いでシエリアはエドワードを見る。
益々眉間に皺が寄るエドワード。
「嬉しくはない。」
「嬉しいわよ。」
シエリアは不敵に言う。
「エリーじゃなかったらお父さま、護衛を頼んでたわよ~ 」
「護衛? 」
エドワードはシエリアの言葉に耳を向ける。
「そうそう、エドワードさまからシアを守る護衛。」
「オオカミ? 」
エドワードはなんの事だか分からなかった。
「護衛の人は仕事だから、お父さまに言われた事はきっちり守ると思うの。」
「シュガレス殿の? 」
やはりエドワードは分からない。
「エドワードさまを近づけるな、と。」
「オオカミを近づけるな? 」
首を傾げてシエリアを見る。
「想像してみて。」
シエリアはエドワードに促す。
「護衛を挟んでのデート。」
護衛はきっちり仕事をする。
エドワード《護衛》エリシア。
と、並びになる。
想像してみる。
「エリシアあの花綺麗だね。」
「………(護衛)」
「ええ、エドワード様。」
(すっごく、嫌だ!! )
「君は、女神だ。」
シエリアはエリシアにしがみついていても、間に入っては来ない。護衛をつけられたらと思えば、シエリアが女神に見える。
「わたしも、野暮じゃないわ。」
シエリアは静かに右の手のひらを出す。エドワードは察した。
懐から財布を出すと数枚の紙幣をシエリアの手のひらに乗せる。
その場をエリシアに見られていたのだ。
「羽目は外さないでね。」
「無論だ。」
そしてシエリアはエリシアを見つけ抱きしめ、
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と喜んでシエリアはスキップをして店を出て行った。
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