【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
17 / 45
楽しい旅行。

不敵なシエリア。

しおりを挟む
『わたしが来たことをエドワードさまは、喜ぶわ。』

その言葉がになるとはエドワードは思わなかった。

「君は、女神だ。」
エドワードは横に座ったシエリアの差し出された右の手のひらに手を置いた。シエリアは不敵にエドワードに笑ってみせる。

「そんな…… 」
エリシアは両手を口をおさえた。出てきそうな悲鳴を抑えるために。

(エドワード様とシエリアが…… )

エリシアは先程の事を思い出す。シエリアが自分を花摘みに行かせようと、何度も勧めたことを。

(シエリアはエドワード様の事を、好きなの? )

食事が終わり、これから星降丘に行く前にシエリアがエリシアに花摘みを勧めた。

席を離れたその隙きに、シエリアはエドワードの隣を陣取りあまつさえ手を握っている。

(シエリアが本気を出せばエドワード様だって、きっと…… ) 

シエリアに少しコンプレックスを持っているエリシアは、シエリアを過剰評価していた。

|シエリアの性格本気を知って恋愛感情を持つ男性がいない事を、エリシアは受け止めていなかった。
 
(やっぱり、胸。胸よね。)
エリシアのコンプレックスはシエリアと違う胸であった。

『胸だけで婚姻しようとする男は、余程の馬鹿か余程の金持ちだけだ。』
と、父がいたら言いたかっただろう。でも娘に嫌われるのが怖くて言えない小心者の父である。

 
「シア!! 」
呆然と思考に埋まって立ち尽くすエリシアに、シエリアが気づく。席から立ち上がりエリシアに抱きついた。

「エリー…… 」
複雑な顔をするエリシアにシエリアは微笑む。

「じゃ~ 後はお二人で楽しんで~ ふふっ。」
「えっ、エリー? 」
シエリアは左手を口元にあてて、いやらしそうに笑った。そしてスキップをしてその場を後にする。

「お小遣い、ゲットよ~!! 」
歓喜な声が届き見ると、シエリアの右手には数枚の紙幣が握られていた。

「どう言うこと? 」
「俺から説明するよ、歩きながら話そう。」
満面の笑みでエドワードはエリシアに手を差し出した。


エリシアが花摘みに行った後、シエリアはエドワードの隣の席に座った。エドワードは眉間に皺を寄せた。
当然だ、エリシアに見られたらどんな誤解を受けるかもしれない。

直ぐさま、立ち上がり避けようとした所を腕を捕まれ座らされる。

「エドワードさま~ エリーが来て嬉しいでしょ~ 」
猫なで声で上目遣いでシエリアはエドワードを見る。
益々眉間に皺が寄るエドワード。

「嬉しくはない。」
「嬉しいわよ。」
シエリアは不敵に言う。

「エリーじゃお父さま、護衛を頼んでたわよ~ 」
「護衛? 」
エドワードはシエリアの言葉に耳を向ける。

「そうそう、エドワードさまオオカミからシアを護衛。」
「オオカミ? 」
エドワードはなんの事だか分からなかった。

「護衛の人は仕事だから、お父さまに言われた事はきっちり守ると思うの。」
「シュガレス殿の? 」
やはりエドワードは分からない。

エドワードさまオオカミを近づけるな、と。」
「オオカミを近づけるな? 」 
首を傾げてシエリアを見る。

「想像してみて。」
シエリアはエドワードに促す。

「護衛を挟んでのデート。」
護衛はきっちり仕事をする。

エドワード《護衛》エリシア。
と、並びになる。

想像してみる。

「エリシアあの花綺麗だね。」
「………(護衛)」
「ええ、エドワード様。」

(すっごく、嫌だ!! )

「君は、女神だ。」
シエリアはエリシアにしがみついていても、間に入っては来ない。護衛をつけられたらと思えば、シエリアが女神に見える。


「わたしも、野暮じゃないわ。」
シエリアは静かに右の手のひらを出す。エドワードは察した。
懐から財布を出すと数枚の紙幣をシエリアの手のひらに乗せる。

その場をエリシアに見られていたのだ。

「羽目は外さないでね。」
「無論だ。」 
そしてシエリアはエリシアを見つけ抱きしめ、

「お小遣い、ゲットよ~ 」
と喜んでシエリアはスキップをして店を出て行った。








しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜

鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。 けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。 「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。 ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。 そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。 学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。 けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。 暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。 ※長くなりそうだったら長編に変更します。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!

恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。 誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、 三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。 「キャ...ス...といっしょ?」 キャス……? その名を知るはずのない我が子が、どうして? 胸騒ぎはやがて確信へと変わる。 夫が隠し続けていた“女の影”が、 じわりと家族の中に染み出していた。 だがそれは、いま目の前の裏切りではない。 学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。 その一夜の結果は、静かに、確実に、 フローレンスの家族を壊しはじめていた。 愛しているのに疑ってしまう。 信じたいのに、信じられない。 夫は嘘をつき続け、女は影のように フローレンスの生活に忍び寄る。 ──私は、この結婚を守れるの? ──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの? 秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。 真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!

気づいたときには遅かったんだ。

水瀬瑠奈
恋愛
 「大好き」が永遠だと、なぜ信じていたのだろう。

君を幸せにする、そんな言葉を信じた私が馬鹿だった

白羽天使
恋愛
学園生活も残りわずかとなったある日、アリスは婚約者のフロイドに中庭へと呼び出される。そこで彼が告げたのは、「君に愛はないんだ」という残酷な一言だった。幼いころから将来を約束されていた二人。家同士の結びつきの中で育まれたその関係は、アリスにとって大切な生きる希望だった。フロイドもまた、「君を幸せにする」と繰り返し口にしてくれていたはずだったのに――。

もう何も信じられない

ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。 ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。 その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。 「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」 あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。

ほんの少しの仕返し

turarin
恋愛
公爵夫人のアリーは気づいてしまった。夫のイディオンが、離婚して戻ってきた従姉妹フリンと恋をしていることを。 アリーの実家クレバー侯爵家は、王国一の商会を経営している。その財力を頼られての政略結婚であった。 アリーは皇太子マークと幼なじみであり、マークには皇太子妃にと求められていたが、クレバー侯爵家の影響力が大きくなることを恐れた国王が認めなかった。 皇太子妃教育まで終えている、優秀なアリーは、陰に日向にイディオンを支えてきたが、真実を知って、怒りに震えた。侯爵家からの離縁は難しい。 ならば、周りから、離縁を勧めてもらいましょう。日々、ちょっとずつ、仕返ししていけばいいのです。 もうすぐです。 さようなら、イディオン たくさんのお気に入りや♥ありがとうございます。感激しています。

番ではなくなった私たち

拝詩ルルー
恋愛
アンは薬屋の一人娘だ。ハスキー犬の獣人のラルフとは幼馴染で、彼がアンのことを番だと言って猛烈なアプローチをした結果、二人は晴れて恋人同士になった。 ラルフは恵まれた体躯と素晴らしい剣の腕前から、勇者パーティーにスカウトされ、魔王討伐の旅について行くことに。 ──それから二年後。魔王は倒されたが、番の絆を失ってしまったラルフが街に戻って来た。 アンとラルフの恋の行方は……? ※全5話の短編です。

処理中です...