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楽しい旅行。
シュガレス夫妻。
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静寂。
訪れる沈黙。
エリシアは怖くて目をつぶっていたので分からない。分かっているのは何かが足に当たったこと。
目を開ければ、倒れている自分をいやらしい目で見ていた男。ぷるぷると股間を押さえて、震えてるエドワード達男三人。
エリシアは何が起こったか分からずきょろきょろと周りを座ったまま見回す。
ひょっこりとシエリアが現れて、エリシアの右手を高らかに上げた。
「勝者、エリシアーー!! 」
「えっ、なに? 何が起こったの!? 」
エリシアは不安そう周りを見回すだけであった。
ヨナンは病院に運ばれた。
男の大切な部分の破損によって。つまり、たまたまが、たまになったのだ。
そしてエリシアの父も病院に運び込まれていた。母の強い愛の包容に肋骨が耐えられなかったようだった。
「ヨナン!! 」
「父上!! 」
ヨナンは病院に駆けつけてきた父に泣きついた。4番目に生まれた末っ子のヨナンに父は甘かった。
「なんてことだ!! ヨナン、可哀想に!! 」
「ちちうえ~~ 」
息子の大切な部分を、たまたまをたまにした者に憤る。
「息子をキズモノにして!! その令嬢には責任をとってもらわないとな!! 」
「ち、ちちうえ~~ 」
息子を抱きしめながら、息子のたまたまを破損させた令嬢に責任をとらせると息巻いている。
「何処の令嬢だ!! 名前は!? 」
近くに寄り添っていたカシラに声をかける。
「確か、エリシアとか。」
カシラはシエリアが最後にエリシアの手を掴み上げ勝利宣言をした名前を思い出して言った。
「エリシアか!! よし、見つけ出して必ず結婚させるからなヨナン!! 」
「ちちうえ~~ 」
ヨナンは父に縋り付いていた。
「オーホホホホホホッ!! 」
カーテンで仕切っていた向こう側から、女性の高笑いが聞こえる。
急な入院に、一人部屋の確保が出来なかったヨナンは相部屋になっていた。そのカーテンが引きちぎれんばかりに開かれた。
「お前のようなクズに、エリシアは渡さなくってよ。」
「結婚だと!? 許すものか!! 」
ベットの上から夫も参戦する。
「方たまだけですんだことを神に感謝することよ。」
「責任を追求するなら此方にも考えがある!! 」
夫婦揃って、ヨナン達を強い目で見据える。
「娘に近づくなら、残りをわたくしが握り潰しても宜しくってよ。」
バキッと妻は扇子を片手で折ると、見下げるように微笑む。ヨナン達三人の男は股間を守るように押さえた。
「このシュガレス。持てる力を尽くして、この地を破滅にもたらしてもいいんだぞ。」
それは完璧なる脅しであった。
この国の筆頭と呼ばれる商会主である彼が、やろうと思えば領地の一つや二つ潰すことは造作もない。
現に、もし街の者が逃げ出したチンピラの一人を捕まえずに放おって置いたら潰すであった。
商店街の者達が逃げて来たチンピラを捕まえて、その足でエリシア達の場所まで助けに駆けつけたのだ。それぞれにフライパン等を持って。
彼等は命拾いをしたのだった。
「今までの罰と思って、あまんじて受け入れなさい。それとも、」
バキッと、折れた扇子を握り潰した。『ひい~~ 』と、ヨナン達の声が漏れる。
「「「ス、スミマセン、でしたーーっ!! 」」」
三人は声をあげて謝って、父は息子を担いて部屋から逃げるように出ていった。その後をカシラも追いかける。
「ほほほほほっ…… 」
「ふふふふふふっ……… 」
静寂が戻った病院内に、二人の低い笑い声が響き渡っていた。
訪れる沈黙。
エリシアは怖くて目をつぶっていたので分からない。分かっているのは何かが足に当たったこと。
目を開ければ、倒れている自分をいやらしい目で見ていた男。ぷるぷると股間を押さえて、震えてるエドワード達男三人。
エリシアは何が起こったか分からずきょろきょろと周りを座ったまま見回す。
ひょっこりとシエリアが現れて、エリシアの右手を高らかに上げた。
「勝者、エリシアーー!! 」
「えっ、なに? 何が起こったの!? 」
エリシアは不安そう周りを見回すだけであった。
ヨナンは病院に運ばれた。
男の大切な部分の破損によって。つまり、たまたまが、たまになったのだ。
そしてエリシアの父も病院に運び込まれていた。母の強い愛の包容に肋骨が耐えられなかったようだった。
「ヨナン!! 」
「父上!! 」
ヨナンは病院に駆けつけてきた父に泣きついた。4番目に生まれた末っ子のヨナンに父は甘かった。
「なんてことだ!! ヨナン、可哀想に!! 」
「ちちうえ~~ 」
息子の大切な部分を、たまたまをたまにした者に憤る。
「息子をキズモノにして!! その令嬢には責任をとってもらわないとな!! 」
「ち、ちちうえ~~ 」
息子を抱きしめながら、息子のたまたまを破損させた令嬢に責任をとらせると息巻いている。
「何処の令嬢だ!! 名前は!? 」
近くに寄り添っていたカシラに声をかける。
「確か、エリシアとか。」
カシラはシエリアが最後にエリシアの手を掴み上げ勝利宣言をした名前を思い出して言った。
「エリシアか!! よし、見つけ出して必ず結婚させるからなヨナン!! 」
「ちちうえ~~ 」
ヨナンは父に縋り付いていた。
「オーホホホホホホッ!! 」
カーテンで仕切っていた向こう側から、女性の高笑いが聞こえる。
急な入院に、一人部屋の確保が出来なかったヨナンは相部屋になっていた。そのカーテンが引きちぎれんばかりに開かれた。
「お前のようなクズに、エリシアは渡さなくってよ。」
「結婚だと!? 許すものか!! 」
ベットの上から夫も参戦する。
「方たまだけですんだことを神に感謝することよ。」
「責任を追求するなら此方にも考えがある!! 」
夫婦揃って、ヨナン達を強い目で見据える。
「娘に近づくなら、残りをわたくしが握り潰しても宜しくってよ。」
バキッと妻は扇子を片手で折ると、見下げるように微笑む。ヨナン達三人の男は股間を守るように押さえた。
「このシュガレス。持てる力を尽くして、この地を破滅にもたらしてもいいんだぞ。」
それは完璧なる脅しであった。
この国の筆頭と呼ばれる商会主である彼が、やろうと思えば領地の一つや二つ潰すことは造作もない。
現に、もし街の者が逃げ出したチンピラの一人を捕まえずに放おって置いたら潰すであった。
商店街の者達が逃げて来たチンピラを捕まえて、その足でエリシア達の場所まで助けに駆けつけたのだ。それぞれにフライパン等を持って。
彼等は命拾いをしたのだった。
「今までの罰と思って、あまんじて受け入れなさい。それとも、」
バキッと、折れた扇子を握り潰した。『ひい~~ 』と、ヨナン達の声が漏れる。
「「「ス、スミマセン、でしたーーっ!! 」」」
三人は声をあげて謝って、父は息子を担いて部屋から逃げるように出ていった。その後をカシラも追いかける。
「ほほほほほっ…… 」
「ふふふふふふっ……… 」
静寂が戻った病院内に、二人の低い笑い声が響き渡っていた。
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