31 / 45
楽しい旅行。
ドリ◯ム、サンキューにのせて。
しおりを挟む
「なんか、ごめん。」
今日も今日とて、リョウはエドワードに謝った。
「なんか、ごめん。」
次の日も、また次の日も、リョウはエドワードに謝る。
「なんか、ごめん。」
旅行の最終日もやっぱり、リョウはエドワードに謝った。
「いやー、今日で最終日か。家族旅行は、楽しかったな!! 」
父はご満足である。ちらりと、後ろにいるエドワードを見る。
エドワードは悲しそうな顔で家族連れを見ていた。エリシアがエドワードに向かって、微笑む。
「お父様、そんな…… 家族旅行だなんて、 」
ぽっとエリシアはエドワードを見つめながら頬を赤らめた。
「エリシア…… 」
「エドワード様。」
エリシアは父が既にエドワードを自分達家族に迎え入れてくれたと内心喜んでいた。
二人は見つめながら微笑み合う。
「うっ、胸が!! 」
「お父様、大丈夫!! 」
エリシアは心配して父に寄り添う。
「あなた…… 」
母の目が、日に日に細まっていっていることに父は気づいていなかった。
夜エリシアとしようと思って買っていた花火、日の目を見ることなく昼間の公園。
エドワードはホテルの公園に水をはったバケツを持っていた。目の前で、煙に襲われて走りながら花火をするリョウは、
「キレイ 」
と涙目で言うから、
エドワードは、笑った。
煙の匂い残る公園で、男二人ブランコに座って、話のきっかけを探して黙っていたら急にリョウが歌を歌いだしたから、
エドワードは笑った。
「えらかったな。」
とリョウが言ったから、
ポロポロ愚痴がこぼれそうになる。
「二人きりになりたかったな…… 」
言った後、エドワードは泣けてきた。また、涙目のリョウを見てエドワードは笑って泣いた。
「ちょっとカッコ悪いけど、髪切るならつきあうよ。」
なんて、リョウが短い黒髪を掻き揚げながら言う。
エドワードは、笑う。
「ふられてないわ!! 」
笑いながら、額に怒りの皺がよりながら叫んだ。
「別れてないわ!! 」
エドワードはリョウの肩を持って揺さぶった。リョウは目を逸らして、「あはははは」と笑い続ける。
「まあ、旅行の最終日。虚しく男同士で飲もうぜ。付き合うぞ。」
リョウは気遣うように言う。
「ああ…… 」
エドワードは俯向きながら頷いた。
(来てくれて良かった…… )
エドワードは内心思った。だが、出来れば一日後にきてくれれば良かったと思っていた。エリシアに指輪を渡した次の日に。
(いてくれて良かった。)
シュガレス夫妻が来てからリョウがいてくれたら、一人っきりにならなくて良かったとエドワードは内心リョウに感謝していた。
(ほんと、サンキュー )
心の中では礼を言っていたが、やはり初日のことで礼を言う気になれなかった。
二人は昼間から居酒屋に向かったが、総ての店に入店を断られた。
「リョウ、なぜ年齢証明書を持ってこなかった!! 」
「うるせぇ!! 忘れたもんは、仕方ないだろ!! 」
そう、リョウの見た目お子様の為、居酒屋は入店拒否をしていた。
二人は健全なジャンクフードのお店で、飲み食いをするのであった。
「よし、最後に『星降る丘』に行くか!! 」
夕闇迫る頃、リョウは思い立ったように言葉を出す。
「そんな所、男同士で行ってどうする。」
怪訝な顔でエドワードはリョウに言う。
「観光名所だろ。僕も、ゆっくり見てないし。」
リョウは初日に丘の上で、愛を叫んであまりの周りを見てなかった。すぐにエドワードに捕獲された所為でもある。
「男同士で行きたくない。」
「まあ、まあ、そう言うなって。流れ星に願いを込めたら叶うかもよ。」
「乙女チックだな。」
「あはははは」と笑いながら、リョウはエドワードの背を押して『星降る丘』に向かった。
空満面に星が輝いている。
まるで、星が降って来そうなほどの空。
きらきらと輝く中に、
「エドワード様…… 」
「エリシア…… 」
今日も今日とて、リョウはエドワードに謝った。
「なんか、ごめん。」
次の日も、また次の日も、リョウはエドワードに謝る。
「なんか、ごめん。」
旅行の最終日もやっぱり、リョウはエドワードに謝った。
「いやー、今日で最終日か。家族旅行は、楽しかったな!! 」
父はご満足である。ちらりと、後ろにいるエドワードを見る。
エドワードは悲しそうな顔で家族連れを見ていた。エリシアがエドワードに向かって、微笑む。
「お父様、そんな…… 家族旅行だなんて、 」
ぽっとエリシアはエドワードを見つめながら頬を赤らめた。
「エリシア…… 」
「エドワード様。」
エリシアは父が既にエドワードを自分達家族に迎え入れてくれたと内心喜んでいた。
二人は見つめながら微笑み合う。
「うっ、胸が!! 」
「お父様、大丈夫!! 」
エリシアは心配して父に寄り添う。
「あなた…… 」
母の目が、日に日に細まっていっていることに父は気づいていなかった。
夜エリシアとしようと思って買っていた花火、日の目を見ることなく昼間の公園。
エドワードはホテルの公園に水をはったバケツを持っていた。目の前で、煙に襲われて走りながら花火をするリョウは、
「キレイ 」
と涙目で言うから、
エドワードは、笑った。
煙の匂い残る公園で、男二人ブランコに座って、話のきっかけを探して黙っていたら急にリョウが歌を歌いだしたから、
エドワードは笑った。
「えらかったな。」
とリョウが言ったから、
ポロポロ愚痴がこぼれそうになる。
「二人きりになりたかったな…… 」
言った後、エドワードは泣けてきた。また、涙目のリョウを見てエドワードは笑って泣いた。
「ちょっとカッコ悪いけど、髪切るならつきあうよ。」
なんて、リョウが短い黒髪を掻き揚げながら言う。
エドワードは、笑う。
「ふられてないわ!! 」
笑いながら、額に怒りの皺がよりながら叫んだ。
「別れてないわ!! 」
エドワードはリョウの肩を持って揺さぶった。リョウは目を逸らして、「あはははは」と笑い続ける。
「まあ、旅行の最終日。虚しく男同士で飲もうぜ。付き合うぞ。」
リョウは気遣うように言う。
「ああ…… 」
エドワードは俯向きながら頷いた。
(来てくれて良かった…… )
エドワードは内心思った。だが、出来れば一日後にきてくれれば良かったと思っていた。エリシアに指輪を渡した次の日に。
(いてくれて良かった。)
シュガレス夫妻が来てからリョウがいてくれたら、一人っきりにならなくて良かったとエドワードは内心リョウに感謝していた。
(ほんと、サンキュー )
心の中では礼を言っていたが、やはり初日のことで礼を言う気になれなかった。
二人は昼間から居酒屋に向かったが、総ての店に入店を断られた。
「リョウ、なぜ年齢証明書を持ってこなかった!! 」
「うるせぇ!! 忘れたもんは、仕方ないだろ!! 」
そう、リョウの見た目お子様の為、居酒屋は入店拒否をしていた。
二人は健全なジャンクフードのお店で、飲み食いをするのであった。
「よし、最後に『星降る丘』に行くか!! 」
夕闇迫る頃、リョウは思い立ったように言葉を出す。
「そんな所、男同士で行ってどうする。」
怪訝な顔でエドワードはリョウに言う。
「観光名所だろ。僕も、ゆっくり見てないし。」
リョウは初日に丘の上で、愛を叫んであまりの周りを見てなかった。すぐにエドワードに捕獲された所為でもある。
「男同士で行きたくない。」
「まあ、まあ、そう言うなって。流れ星に願いを込めたら叶うかもよ。」
「乙女チックだな。」
「あはははは」と笑いながら、リョウはエドワードの背を押して『星降る丘』に向かった。
空満面に星が輝いている。
まるで、星が降って来そうなほどの空。
きらきらと輝く中に、
「エドワード様…… 」
「エリシア…… 」
72
あなたにおすすめの小説
王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。
けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。
「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。
ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。
そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。
学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。
けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。
暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。
※長くなりそうだったら長編に変更します。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!
恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。
誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、
三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。
「キャ...ス...といっしょ?」
キャス……?
その名を知るはずのない我が子が、どうして?
胸騒ぎはやがて確信へと変わる。
夫が隠し続けていた“女の影”が、
じわりと家族の中に染み出していた。
だがそれは、いま目の前の裏切りではない。
学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。
その一夜の結果は、静かに、確実に、
フローレンスの家族を壊しはじめていた。
愛しているのに疑ってしまう。
信じたいのに、信じられない。
夫は嘘をつき続け、女は影のように
フローレンスの生活に忍び寄る。
──私は、この結婚を守れるの?
──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの?
秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。
真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
君を幸せにする、そんな言葉を信じた私が馬鹿だった
白羽天使
恋愛
学園生活も残りわずかとなったある日、アリスは婚約者のフロイドに中庭へと呼び出される。そこで彼が告げたのは、「君に愛はないんだ」という残酷な一言だった。幼いころから将来を約束されていた二人。家同士の結びつきの中で育まれたその関係は、アリスにとって大切な生きる希望だった。フロイドもまた、「君を幸せにする」と繰り返し口にしてくれていたはずだったのに――。
ほんの少しの仕返し
turarin
恋愛
公爵夫人のアリーは気づいてしまった。夫のイディオンが、離婚して戻ってきた従姉妹フリンと恋をしていることを。
アリーの実家クレバー侯爵家は、王国一の商会を経営している。その財力を頼られての政略結婚であった。
アリーは皇太子マークと幼なじみであり、マークには皇太子妃にと求められていたが、クレバー侯爵家の影響力が大きくなることを恐れた国王が認めなかった。
皇太子妃教育まで終えている、優秀なアリーは、陰に日向にイディオンを支えてきたが、真実を知って、怒りに震えた。侯爵家からの離縁は難しい。
ならば、周りから、離縁を勧めてもらいましょう。日々、ちょっとずつ、仕返ししていけばいいのです。
もうすぐです。
さようなら、イディオン
たくさんのお気に入りや♥ありがとうございます。感激しています。
番ではなくなった私たち
拝詩ルルー
恋愛
アンは薬屋の一人娘だ。ハスキー犬の獣人のラルフとは幼馴染で、彼がアンのことを番だと言って猛烈なアプローチをした結果、二人は晴れて恋人同士になった。
ラルフは恵まれた体躯と素晴らしい剣の腕前から、勇者パーティーにスカウトされ、魔王討伐の旅について行くことに。
──それから二年後。魔王は倒されたが、番の絆を失ってしまったラルフが街に戻って来た。
アンとラルフの恋の行方は……?
※全5話の短編です。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる