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楽しい旅行。
『星降る丘で、出会ってラブラブ作戦』成功。
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エドワードが公園で、ドリ◯ムをしている頃。
朝食後、少年と消えたエドワードを見送ってご満悦のシュガレス父がいた。
「は、ははっ、家族水入らずだな。邪魔者もいないし。」
「そうですわね。あなた、お茶ですわ。」
母も機嫌を取りながら、お茶を勧める。
「お父さま、あ~ん。」
シエリアはお菓子を持って、父に『あ~ん』と差し出した。
一瞬、母とシエリアの目線が重なり合う。無言の了解だ。
「ははははっ、エリー。父は今日は甘いものは控えようと思ってな、エリーが食べなさい。」
だが、敵もさる者何かを感づいてのらりくらりとかわして来る。
「あなた、お茶をお飲みになって。」
母がお茶を勧める。
「ははははっ。今日は、水を飲みたい気分なんだよ。」
父は自らコップを持って、蛇口から水をそそいで飲む。必要以上にコップを水道水で洗って。
(さすが、腹黒お父さま。)
(感がいいわね、あなた。)
二人して一服盛ろうと色んなものを勧めるが、かわされる。まさか水道水、じかに薬を盛ることはできない。
「お父さま、お昼…… 」
「はははっ、父はもう外で食べてきたよ。みんなゆっくり食べなさい。」
(くっ!! )
(いつの間に…… )
二人対一人。張り付いた笑顔の下、母とシエリアの父への攻防が水面下で続く。
「お母さま、このままでは一服盛れませんわ。」
「流石だわ、あなた。」
昼も過ぎ、おやつの時間も過ぎる頃、母とシエリアは焦っていた。
『星降る丘で、出会ってラブラブ作戦』まで、時間がない。
「お母さま。」
「そうね…… 」
母とシエリアは、目を合わした。
ソファに座ってニコニコと、水道水を飲んでいる父の後ろから母が近づく。
「愛してるわ、あなた。」
「お父さま。ほら、あ~ん。」
「うグッ!! 」
彼女らは、力技に出た。
母が父の後ろから首筋をホールドする。首筋を絞められて、息をもとめて口を開けた所をシエリアが『あ~ん』と薬をじかに口の中に放り込む。
「うグッ!! 」
と、薬が喉元を通り過ぎるのをシエリアは父の口元を押さえて待つ。
(ギブ、ギブッ!! )
声も出せず、父がホールドされている腕を叩いて講義するが離れない。
ごっくんと、薬が喉を通る音をシエリアは聞いた。
「飲んだわ!! 」
「そう。」
母は手を放した。
ぐったりと、父はソファの上に倒れた。動かなくなった父。
「速効性なのね、この薬。」
「そうね。」
薬ではなく、母の締め付けによって既に父は落ちていた。
「シア、シア!! 」
シエリアは振り向き、エリシアに抱きついた。
「お出かけしましょ。」
「えっ、お父様は? 」
ソファ方を見ると、父が寝そべっている。エリシアには、母とシエリアの強行は死角(シエリアの背中)に入って見えていなかった。
「お父さまは眠ってしまったわ。だから、二人でお出かけしましょ。」
「行ってらっしゃい、エリシア。」
母は父を肩に担いで寝室へ連れて行った。
「行こ、シア。」
シエリアはエリシアの手を引く。
「星降る丘に行きたいの!! 」
「えっ、あそこわ…… 」
(あそこは、エドワード様と二人で行きたい…… )
エリシアは躊躇する。
「ねえ。行きたい、行きたい、行きたいの~~!! 」
シエリアはエリシアの手を持って、左右に揺さぶりながら駄々をこねて甘える。
こうなったら、後には引かないシエリアである。
「分かったわ。」
「やったーー!! 」
飛び跳ねて喜ぶシエリアを見つめて、エリシアは寂しそうに微笑んだ。
満天の星空。
「エリシア…… 」
「エドワード様…… 」
星降る丘にで、エリシアはエドワードと出会う。
「『星降る丘で、出会ってラブラブ作戦』、成功ね!! 」
「そうだな。」
(酷いネーミングだな。)
とリョウは思いながら。
こっそりと隠れ、エリシアとエドワードを見守るシエリアとリョウがいた。
朝食後、少年と消えたエドワードを見送ってご満悦のシュガレス父がいた。
「は、ははっ、家族水入らずだな。邪魔者もいないし。」
「そうですわね。あなた、お茶ですわ。」
母も機嫌を取りながら、お茶を勧める。
「お父さま、あ~ん。」
シエリアはお菓子を持って、父に『あ~ん』と差し出した。
一瞬、母とシエリアの目線が重なり合う。無言の了解だ。
「ははははっ、エリー。父は今日は甘いものは控えようと思ってな、エリーが食べなさい。」
だが、敵もさる者何かを感づいてのらりくらりとかわして来る。
「あなた、お茶をお飲みになって。」
母がお茶を勧める。
「ははははっ。今日は、水を飲みたい気分なんだよ。」
父は自らコップを持って、蛇口から水をそそいで飲む。必要以上にコップを水道水で洗って。
(さすが、腹黒お父さま。)
(感がいいわね、あなた。)
二人して一服盛ろうと色んなものを勧めるが、かわされる。まさか水道水、じかに薬を盛ることはできない。
「お父さま、お昼…… 」
「はははっ、父はもう外で食べてきたよ。みんなゆっくり食べなさい。」
(くっ!! )
(いつの間に…… )
二人対一人。張り付いた笑顔の下、母とシエリアの父への攻防が水面下で続く。
「お母さま、このままでは一服盛れませんわ。」
「流石だわ、あなた。」
昼も過ぎ、おやつの時間も過ぎる頃、母とシエリアは焦っていた。
『星降る丘で、出会ってラブラブ作戦』まで、時間がない。
「お母さま。」
「そうね…… 」
母とシエリアは、目を合わした。
ソファに座ってニコニコと、水道水を飲んでいる父の後ろから母が近づく。
「愛してるわ、あなた。」
「お父さま。ほら、あ~ん。」
「うグッ!! 」
彼女らは、力技に出た。
母が父の後ろから首筋をホールドする。首筋を絞められて、息をもとめて口を開けた所をシエリアが『あ~ん』と薬をじかに口の中に放り込む。
「うグッ!! 」
と、薬が喉元を通り過ぎるのをシエリアは父の口元を押さえて待つ。
(ギブ、ギブッ!! )
声も出せず、父がホールドされている腕を叩いて講義するが離れない。
ごっくんと、薬が喉を通る音をシエリアは聞いた。
「飲んだわ!! 」
「そう。」
母は手を放した。
ぐったりと、父はソファの上に倒れた。動かなくなった父。
「速効性なのね、この薬。」
「そうね。」
薬ではなく、母の締め付けによって既に父は落ちていた。
「シア、シア!! 」
シエリアは振り向き、エリシアに抱きついた。
「お出かけしましょ。」
「えっ、お父様は? 」
ソファ方を見ると、父が寝そべっている。エリシアには、母とシエリアの強行は死角(シエリアの背中)に入って見えていなかった。
「お父さまは眠ってしまったわ。だから、二人でお出かけしましょ。」
「行ってらっしゃい、エリシア。」
母は父を肩に担いで寝室へ連れて行った。
「行こ、シア。」
シエリアはエリシアの手を引く。
「星降る丘に行きたいの!! 」
「えっ、あそこわ…… 」
(あそこは、エドワード様と二人で行きたい…… )
エリシアは躊躇する。
「ねえ。行きたい、行きたい、行きたいの~~!! 」
シエリアはエリシアの手を持って、左右に揺さぶりながら駄々をこねて甘える。
こうなったら、後には引かないシエリアである。
「分かったわ。」
「やったーー!! 」
飛び跳ねて喜ぶシエリアを見つめて、エリシアは寂しそうに微笑んだ。
満天の星空。
「エリシア…… 」
「エドワード様…… 」
星降る丘にで、エリシアはエドワードと出会う。
「『星降る丘で、出会ってラブラブ作戦』、成功ね!! 」
「そうだな。」
(酷いネーミングだな。)
とリョウは思いながら。
こっそりと隠れ、エリシアとエドワードを見守るシエリアとリョウがいた。
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