【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

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楽しい旅行。

井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る。

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(馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な!! )
父は冷や汗を流す。

(ありえない、ありえない、ありえない!! )
目の前のカードが、次々と消えていく。

(負けるというのか? 我が!? このオオカミ如きに? )
父は狼狽える。

(総てを記憶し諳んじる事のできる、我が!!! )
見れば、目の前のリョウオオカミはカードとの距離をギリギリ近くにとり前かがみになっている。

「瑠璃も~ 玻璃も~ 照らせば光る~ 」
読みての声に、リョウは『』の時点で反応する既に条件反射の如くカードを張り上げる。

美しく舞い上がるカードに、父は絶望を感じた。

(これが、原産国本場の力量なのか!! )

『底引き網のリョウ』その二つ名の通り、リョウは根こそぎカードを次から次へと取っていく。

目の前の見た目子供のリョウが、父には大きく見えた。まるでカード全体を覆い尽くす、巨大な城壁のように。

(負ける、我が!!? )
父は震えた。

『お父さま~~ 助けて、お父さま~~ 』
『シエリアーー!! 』
目の前でシエリア愛しい娘が、オオカミに拐われる幻を見る父。

(井の中のかわず、我はかわずであったのか!!!! )
父は苦悩する。

「あの坊や、すごいわね。あれが、プロ(子供の頃から習得された)の技なのね。」
「リョウちん、すごい!! リョウちん、すごい!! 」
シエリアも真似をして手をブンブンと振っていた。

「エドワード様…… 」
エリシアは心配そうに途方に暮れているエドワードを見つめた。 

勝負は呆気なくついた。

勝者は『底引き網のリョウ』。

2位は、父。最後のプライドとして近くにあるカード3枚を死守した。

最下位はエドワードである、それもボウズであった。
 
ふらふらになりながら、エドワードはエリシアの前で床に崩れ落ちた。

「すまないエリシア。君の為にせめて1枚でもと…… 」
「いいえ、いいえ、私の為に戦ってくださったことを誇りに思います。」
エリシアは震えるエドワードに縋り付いた。
 
「字も分からないのに、勝負に参加するなど浅はかだった。」
エドワードは『かるた』の文字がとさえ分からなかった。勝負前の問題である。

「そんな無謀なエドワード様も、素敵ですわ。」
エリシアはエドワードの手を取る。

「プライドも恥もかなぐり捨てて、私を守ろうとしてくれたエドワード様はカッコいいです。」

エリシアはあの日の事を思い出していた。自分を守るために、男達の前で土下座をしていたエドワードを。そして今も、自分の為に無謀な戦いに参戦してくれたエドワードを。

「エドワード様が、大好きです。」
「エリシア…… 」
恥ずかしくも頬を染めながらも、力強くエリシアは自分の気持ちをエドワードに伝える。

「ああ、エリシア。私も君を大好きで、愛している。」
「私も愛してます。」
見つめ合い手を取り合う二人。エリシアの指に嵌めてある指輪ががキラリと光った。


「リョウちん、すごい!! リョウちん、すごい!! 」
「ははは、もっと褒めるがいい若人よ!! 」
リョウはシエリアの興奮した褒め言葉に鼻高らかに胸を張り、手持ちの戦利品のカードを開いて見せた。

「リョウちん、すっごーーい!! 」
「あははは!! 」
エリシアは目をきらきらさせてリョウを褒めていた。


「うグググググっ…… 」
戦いの場から立ち上がれず、父は唇を噛み締めていた。

(負けた…… 完膚なき負けた…… )

「あなた…… 」
「笑ってくれ、私は『井の中のかわず』であった。大海を知らず、の……」
「されど、空の青さを知る。」
打ち砕かれた夫に妻は微笑んだ。

「これから大海を知って行けばいいでしょ。あなたならきっとそうするわ。」
「くっ…… 」
夫は涙を流した、男泣きである。

「あなた。」
「分かっている。」
父顔を上げて、リョウに声をかけた。

「うぐぐぐ…… 」
「あなた。」
血反吐を吐く声で呟く。

「リョウちんとやら、貴様とシエリアのを認めよう!! 」
「えっ、なんの話!!! 」










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