【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
42 / 45
楽しい旅行。

リョウちんとエリちんの話。

しおりを挟む
『婚約を認めよう。』
その言葉はリョウにとって、青天の霹靂せいてんのへきれきである。

いや、寝耳に水、足元から鳥が立つ、驚天動地、鳩が豆鉄砲を食ったよう、 藪から棒。
要するに、すっごくびっくらこいたのである。

「えっ、なんの話!!! 」
「きゃあああぁぁーーー!!! おめでとう、シエリア!!! 」
叫んだリョウの声は、エリシアの歓喜の悲鳴でかき消される。

「リョウちんと? 」
シエリアにとってもびっくりであった。エリシアに抱きしめられながら、聞き返す。

「そうよ、お父様が認めてくださったのよ!! 」
「お父さまが? 」
シエリアは父を見る。

「ま、まだ、結婚は認めた訳じゃないんだからな!! 」
「あなた、婚約イコール結婚よ。」
「うっ、うおお~ん!! うおお~ん!! 」
父は泣き出した。
愛しい娘が二人とも結婚に進んだ事に、涙と共に悲しみが溢れ出す。

「幸せにしないと、許さないんだからな~~!! 」
泣き続ける父にエリシアと妻は寄り添う。

「リョウちんと、結婚? 」
「そうよ、エリー!! 」
エリシアは自分の事のように喜んだ。

「ずっと楽しかったでしょう。」
「うん。」
母の言葉にシエリアは頷く。

彼女にとって、この旅行は楽しいものであった。どんなに走り回っても、リョウちんは付き合ってくれるのだ。今までシエリアはを出し切って遊んだことはなかった。

(シエリア。今迄辛い思いをさせてごめんなさいね。)
母は心の中で思う。

自分が言った何気ない一言。
『おっぱい星人なんて、エリシアに近づけては駄目よ!! 』
素直に母の言葉を聞いて、実行していたシエリア。

(嫌な思いをさせて、ごめんなさい。)
その一言をいった自分は憶えていなかった。

(なのに、辛くあたってしまって。)
エリシアに近づく男性を、ことごとく誘惑? していったシエリアである。

そしてその男性は二手に別れた。
残ったのはになった者。『ついていけない!! 』とエリシアに戻ろうとしたフザけた者達は、いつの間にやら消えていた。

(社会的に抹殺しましたけどね。あの人が、ふふっ。)

この旅行に来て、シエリアが黒髪の少年と楽しそうに全力で走り回っている姿を見た母は思った。


例えでも構わない、シエリアの幸せの為に必ずゲットしょうと。

そしたら、シエリアより年上であった。しかもしっかり働いている社会人あ~ンドおっぱい星人ではない。
シエリアの貴重な存在。

(これは神様が与えてくれた、奇跡だわ。)
『割れ鍋に綴じ蓋』のように、シエリアに相応しい相手を与えてくれたと。

「やったーー!! リョウちんと結婚だーー!! 」
「「おめでとう、シエリア。」」
「うお~~お~~ん!! うお~~お~~ん!! 」
エドワードとリョウをそっちのけで、盛り上がる家族。

「ちっ、ちょっと待ってください。何の話ですか??? 」
盛り上がる家族にリョウはもの申す。知らぬ間に自分の結婚が決まってしまいそうなのである。

「リョウちんとエリちんの話。」
「結婚の話よ。」
「まだ、婚約だ!! 」
バンザイをしてリョウの方に振り向くシエリアに、母と足掻く父。

「だから何の話!?? 」
リョウには分からない。

「婚約イコール結婚よ、あなた。ふふふっ、シエリアの新居はアスレチックコースのついた庭のマッスル邸がいいわ。」
「わーーい!! マッスル、マッスル!! 」
既に二人が住む家まで考える母に、喜ぶシエリア。

マッスル邸、つまりシエリアは屋敷付きお嬢でリョウちんは輿である。

「マッスル邸なら、私の新居リリー邸と近いからいいわ。」
さらりと、コチラもエリシアがエドワード輿発言をする。

「な、なにっ!! 一緒に住むのではないのか!? マスオさんになるのではないのか!!! 」

※マスオさんとは『サザエさん』の旦那さんで妻の実家でサザエさんのご両親と一緒に住んでいる。

「あなた、新婚さんには酷な事を言わないの。それに、マスオさんも最初は別々に暮らしてたのよ。」

※何かの都合で、マスオさんは妻のご両親と住むことになったのである。

「エリシアとシエリアの婿は、社長になる二人を支える為に一緒に住んでもらわなければ困るぞ!! 」
父はエドワードとリョウに顔を向け言い切った。

「「何の話!?? 」」
エドワードとリョウは声を合わせて、聞き返した。


しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~

水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。 婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。 5話で完結の短いお話です。 いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。 お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

君を幸せにする、そんな言葉を信じた私が馬鹿だった

白羽天使
恋愛
学園生活も残りわずかとなったある日、アリスは婚約者のフロイドに中庭へと呼び出される。そこで彼が告げたのは、「君に愛はないんだ」という残酷な一言だった。幼いころから将来を約束されていた二人。家同士の結びつきの中で育まれたその関係は、アリスにとって大切な生きる希望だった。フロイドもまた、「君を幸せにする」と繰り返し口にしてくれていたはずだったのに――。

もう何も信じられない

ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。 ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。 その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。 「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」 あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。

ほんの少しの仕返し

turarin
恋愛
公爵夫人のアリーは気づいてしまった。夫のイディオンが、離婚して戻ってきた従姉妹フリンと恋をしていることを。 アリーの実家クレバー侯爵家は、王国一の商会を経営している。その財力を頼られての政略結婚であった。 アリーは皇太子マークと幼なじみであり、マークには皇太子妃にと求められていたが、クレバー侯爵家の影響力が大きくなることを恐れた国王が認めなかった。 皇太子妃教育まで終えている、優秀なアリーは、陰に日向にイディオンを支えてきたが、真実を知って、怒りに震えた。侯爵家からの離縁は難しい。 ならば、周りから、離縁を勧めてもらいましょう。日々、ちょっとずつ、仕返ししていけばいいのです。 もうすぐです。 さようなら、イディオン たくさんのお気に入りや♥ありがとうございます。感激しています。

番ではなくなった私たち

拝詩ルルー
恋愛
アンは薬屋の一人娘だ。ハスキー犬の獣人のラルフとは幼馴染で、彼がアンのことを番だと言って猛烈なアプローチをした結果、二人は晴れて恋人同士になった。 ラルフは恵まれた体躯と素晴らしい剣の腕前から、勇者パーティーにスカウトされ、魔王討伐の旅について行くことに。 ──それから二年後。魔王は倒されたが、番の絆を失ってしまったラルフが街に戻って来た。 アンとラルフの恋の行方は……? ※全5話の短編です。

処理中です...