【完結】そして私は、奴隷と化す。

❄️冬は つとめて

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そして俺は、彼女に溺れる。

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そんなつもりでは、なかった。
妻になんと言えばいい? 

ついほだされたと、言えるわけがない。あの哀しそうな瞳につい。
どうすれいい? 

彼女はついてくる。
俺の後を追ってくる。

このまま家まで、ついてくるつもりか? どうすればいい?

一時の感情で彼女に食事を与え、触れてしまった。

多分捨てられたのであろう、店の隅で泣いていた。悲しい切ない声に、つい声をかけてしまった。

潤んだ瞳でじっと俺を見る。
俺は庇護欲にかられた。

彼女に声をかけてしまった。
触れてしまった。

彼女はじっと俺を見る。
駄目だ、俺には家族がいる。
家族がいるんだ!! 

すまない、許してくれ!!
君に期待をさせてしまって。

だが君とは一緒にいられない。
俺には家族がいるんだ。

きっと娘は、裏切られたと俺を見るだろう。哀しい瞳を俺に向けるだろう。

ああ、どうすればいい。
助けてくれ!!
ついてこないでくれ!!

俺はどうすればいい? 
そんな瞳で俺を見ないでくれ!!
許してくれ!!

ああ、俺は…… 俺は……

彼女を、放っておけない………

俺はついてくる彼女をそっと抱き締めた。腕の中で彼女はじっと俺に抱きしめられていた。













「ごめん!! この子飼っていい!? 」
「あなた、また拾ってきたの。」

「ワンワン!! 」 
「くう~ん。」
「愛美、仲良くしてやってな。」






【完】
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