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戦うとみぃ
49話。ティファリーゼ
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ティファリーゼが俺たちデーモンバスターズに加入して1週間ほど、俺たちは連携を深めるために冒険者組合で片っ端から討伐系の依頼を受注して戦闘経験を重ねていた。
「アイリスちゃんはそのままグレーウルフを! トミーくんはレッドベアの対応をお願い!」
「分かりましたわ!」
「おけ!」
木の上に立ち、風魔法を込めた弓で魔物を牽制するティファリーゼからの指示に従いこちらに向かって来るレッドベアへと駆け出す。
「『秘技、聖拳突き! 濃縮三倍!』」
右拳に魔力を集め、キーワードを口にすることでそれを光属性へと変換。
さらに聖属性へと昇華するために魔力を練り上げて拳を振るう。
拳はレッドベアの腹部に突き刺さり、そこを起点に光が爆ぜる。
一瞬のうちにレッドベア魔石と毛皮を残して黒いモヤへと姿を変えた。
「『ホーリーレイ』ですわ!」
アイリスは広範囲に展開しているグレーウルフに対して聖属性の光線を放つ。
幾本もの光線がグレーウルフを貫きグレーウルフを黒いモヤへと変えていく。
光線が弧を描き、木の裏に隠れている個体をも貫く。
意味がわからない。
なんで光線が曲がるの?
「来たわ! 西からブラックタイガー!」
「わたくしが行きますわ!」
ティファリーゼからの追加の指示にレーザーでグレーウルフを全滅させたアイリスが自分が対処すると宣言、マジックバックから剣を取り出して現れた黒い虎の魔物へと斬りかかった。
「イノシシ貰うよ!」
一言声を掛けてティファリーゼが牽制していた茶色っぽいイノシシの魔物へと肉薄、先程のレッドベアと同じように「聖拳突き」を使用して一撃で屠る。
「ティファリーゼ、他は?」
「終わりましたわ! ティファ、他に魔物は?」
アイリスの方も戦闘を終えたようで、同じタイミングでティファリーゼに確認を行う。
「とりあえず近くには居ないみたい」
ティファリーゼは周囲を見渡してそう告げる。
精密な索敵はこれからのようだ。
「なら今のうちに回収しとく。イノシシと虎も倒したし、これで依頼は達成だね」
「そうですわね」
本日俺たちが受注している依頼は、ブラックタイガーとブラウンボアの討伐である。
本来森の奥にしか出現しないはずの二種類の魔物が何故か森の浅い所に現れたので、危険と判断した組合が依頼を出していたのだ。
最初に見た時は森の中に海老? と混乱したのだが、普通に黒い虎だと聞いてなんだかなぁと思ってしまった。
エビフライ食べたい。
「索敵完了、周囲数百メートルに反応無しよ」
「了解」
簡易的な索敵ではなく、風魔法を使用した索敵でも周囲に魔物が居ないと報告を受ける。
一応、デーモンバスターズのリーダーは俺なので、この後の判断は俺が下さないといけない。
「こっちは回収終わり、アイリス、そっちは?」
「こちらも終わりましたわ!」
魔石とドロップ品の回収も完了したので、今日は終わりにしようと二人に告げて森を出る。
「終わったー……ねぇ、今日も家に寄ってもいい?」
「いいけど、飲んだくれてそのまま寝ないでね」
「それは約束出来ないわね!」
一応、近くに自分の家はあるそうなのだが、自分で食事の用意をするのが面倒臭いと言ってほぼ毎日我が家に飯を食いにやってくる。
それは別にいいのだが、高確率で酔いつぶれてそのままリビングで寝てしまうのだ。
ティファリーゼには困った癖があり、酔って寝てしまうと寝ていながらに服を脱ぎ散らかすのだ。
リビングの隣の部屋で生活している俺からすれば、リビングで潰れられると大変に邪魔なので大人しく帰ってもらいたい。
それかせめて相手いる部屋で寝て欲しい。
夜トイレ行く時とか気を使うじゃん。
「トミーくんが気にしなかったらいいだけじゃん」
「さすがにねぇ……」
150歳も年上のエルフを恋愛対象としては見ていないが、見た目妙齢の、しかもとんでもない美人があられもない姿で寝ているリビングを通ってトイレに行くのは流石に困る。
トイレに篭もる時間が長くなってしまったらどうしてくれるのだろうか。
「トミー、もういくら言っても無駄ですわ……」
「諦めるなよ」
当然、アイリスも最初は苦言を呈していたのだが、糠に釘、暖簾に腕押しな態度のティファリーゼに早々に諦めてしまっている。
「トミーが手を出さなければ問題無いのですわ」
疲れきった顔で呟いたアイリスの姿が忘れられない。
「とにかく、頼むからリビングで寝るのだけは勘弁して。空いてる部屋なら好きに使っていいから……」
「ホント? ならアタシも住んでいい?」
「どうしてそうなるの……」
最初会った時には落ち着いていて理知的なエルフのお姉さんだと思っていたのにどうしてこうなった?
パーティの輪を乱すからと追い出そうかと考えたこともあるけど、それ以上に優秀なのにも困る。
戦闘中の指示出しは完璧だし、組合や貴族との付き合い方も熟知しているティファリーゼに甘えている部分もあるのだ。
この開けっぴろげな性格さえなんとかなれば文句は無いんだけどなぁ……
「まぁ少年がムラムラするのも分かるから、襲いたいなら一声掛けてからにしてね?」
「絶対ダメですわ!」
手を出すことは無いからもう静かにして欲しい。
波乱万丈とかいらないから、のんびり生活したいというのは高望みなのだろうか?
……フィルさん、あなたを選んでいたらこんなに疲れることは無かったのでしょうか?
「アイリスちゃんはそのままグレーウルフを! トミーくんはレッドベアの対応をお願い!」
「分かりましたわ!」
「おけ!」
木の上に立ち、風魔法を込めた弓で魔物を牽制するティファリーゼからの指示に従いこちらに向かって来るレッドベアへと駆け出す。
「『秘技、聖拳突き! 濃縮三倍!』」
右拳に魔力を集め、キーワードを口にすることでそれを光属性へと変換。
さらに聖属性へと昇華するために魔力を練り上げて拳を振るう。
拳はレッドベアの腹部に突き刺さり、そこを起点に光が爆ぜる。
一瞬のうちにレッドベア魔石と毛皮を残して黒いモヤへと姿を変えた。
「『ホーリーレイ』ですわ!」
アイリスは広範囲に展開しているグレーウルフに対して聖属性の光線を放つ。
幾本もの光線がグレーウルフを貫きグレーウルフを黒いモヤへと変えていく。
光線が弧を描き、木の裏に隠れている個体をも貫く。
意味がわからない。
なんで光線が曲がるの?
「来たわ! 西からブラックタイガー!」
「わたくしが行きますわ!」
ティファリーゼからの追加の指示にレーザーでグレーウルフを全滅させたアイリスが自分が対処すると宣言、マジックバックから剣を取り出して現れた黒い虎の魔物へと斬りかかった。
「イノシシ貰うよ!」
一言声を掛けてティファリーゼが牽制していた茶色っぽいイノシシの魔物へと肉薄、先程のレッドベアと同じように「聖拳突き」を使用して一撃で屠る。
「ティファリーゼ、他は?」
「終わりましたわ! ティファ、他に魔物は?」
アイリスの方も戦闘を終えたようで、同じタイミングでティファリーゼに確認を行う。
「とりあえず近くには居ないみたい」
ティファリーゼは周囲を見渡してそう告げる。
精密な索敵はこれからのようだ。
「なら今のうちに回収しとく。イノシシと虎も倒したし、これで依頼は達成だね」
「そうですわね」
本日俺たちが受注している依頼は、ブラックタイガーとブラウンボアの討伐である。
本来森の奥にしか出現しないはずの二種類の魔物が何故か森の浅い所に現れたので、危険と判断した組合が依頼を出していたのだ。
最初に見た時は森の中に海老? と混乱したのだが、普通に黒い虎だと聞いてなんだかなぁと思ってしまった。
エビフライ食べたい。
「索敵完了、周囲数百メートルに反応無しよ」
「了解」
簡易的な索敵ではなく、風魔法を使用した索敵でも周囲に魔物が居ないと報告を受ける。
一応、デーモンバスターズのリーダーは俺なので、この後の判断は俺が下さないといけない。
「こっちは回収終わり、アイリス、そっちは?」
「こちらも終わりましたわ!」
魔石とドロップ品の回収も完了したので、今日は終わりにしようと二人に告げて森を出る。
「終わったー……ねぇ、今日も家に寄ってもいい?」
「いいけど、飲んだくれてそのまま寝ないでね」
「それは約束出来ないわね!」
一応、近くに自分の家はあるそうなのだが、自分で食事の用意をするのが面倒臭いと言ってほぼ毎日我が家に飯を食いにやってくる。
それは別にいいのだが、高確率で酔いつぶれてそのままリビングで寝てしまうのだ。
ティファリーゼには困った癖があり、酔って寝てしまうと寝ていながらに服を脱ぎ散らかすのだ。
リビングの隣の部屋で生活している俺からすれば、リビングで潰れられると大変に邪魔なので大人しく帰ってもらいたい。
それかせめて相手いる部屋で寝て欲しい。
夜トイレ行く時とか気を使うじゃん。
「トミーくんが気にしなかったらいいだけじゃん」
「さすがにねぇ……」
150歳も年上のエルフを恋愛対象としては見ていないが、見た目妙齢の、しかもとんでもない美人があられもない姿で寝ているリビングを通ってトイレに行くのは流石に困る。
トイレに篭もる時間が長くなってしまったらどうしてくれるのだろうか。
「トミー、もういくら言っても無駄ですわ……」
「諦めるなよ」
当然、アイリスも最初は苦言を呈していたのだが、糠に釘、暖簾に腕押しな態度のティファリーゼに早々に諦めてしまっている。
「トミーが手を出さなければ問題無いのですわ」
疲れきった顔で呟いたアイリスの姿が忘れられない。
「とにかく、頼むからリビングで寝るのだけは勘弁して。空いてる部屋なら好きに使っていいから……」
「ホント? ならアタシも住んでいい?」
「どうしてそうなるの……」
最初会った時には落ち着いていて理知的なエルフのお姉さんだと思っていたのにどうしてこうなった?
パーティの輪を乱すからと追い出そうかと考えたこともあるけど、それ以上に優秀なのにも困る。
戦闘中の指示出しは完璧だし、組合や貴族との付き合い方も熟知しているティファリーゼに甘えている部分もあるのだ。
この開けっぴろげな性格さえなんとかなれば文句は無いんだけどなぁ……
「まぁ少年がムラムラするのも分かるから、襲いたいなら一声掛けてからにしてね?」
「絶対ダメですわ!」
手を出すことは無いからもう静かにして欲しい。
波乱万丈とかいらないから、のんびり生活したいというのは高望みなのだろうか?
……フィルさん、あなたを選んでいたらこんなに疲れることは無かったのでしょうか?
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